尿蛋白とは
尿蛋白は尿に含まれる蛋白のことで、蛋白が尿に漏れ出ている場合を蛋白尿といいます。健康診断の尿検査によって指摘されることがあります。
健康な人でも1日150mgまでは認められますが、一過性のものであれば特に問題ありません。1日150mg以上が継続的に見られる場合、病気が潜んでいる可能性があります。
尿蛋白の種類
一過性蛋白尿
発熱、激しい運動後、ストレスなどで起こりますが、特に問題ありません。
間歇性(かんけつせい)蛋白尿
一時的な蛋白尿を繰り返すもので、ほとんどの場合は問題ありませんが、持続性蛋白尿に移行する場合があるため、長期的な観察が必要です。
持続性蛋白尿
複数回の尿検査で常に陽性判定が出る場合は、病気の疑いがあるため確定診断を進めます。原因によって腎前性、腎性、腎後性の3つのタイプに分けられます。
早朝尿が陰性の場合は体位性蛋白尿の疑いがあり、年に数回の尿検査とクレアチニン・クリアランスおよび血圧測定を行います。
診断と検査
基本的な尿検査としては、尿試験紙法と尿沈渣法があります。
尿試験紙法では、尿試験紙を尿に浸して検査を行います。試験紙が変色し、色の違いによって陽性(1+、2+、3+)、偽陽性(±)、陰性(−)と判定されます。
陽性と判定された場合、それが病的なものかどうかを判定するために、再度検査を行います。ほかに血液検査、血液生化学検査、免疫血清検査などがあります。
持続性蛋白尿と判断された場合は、1日尿蛋白量の測定を行い、24時間の尿を蓄尿した上で診断を進めます。ほかに腹部エコー、IVP (静脈性腎盂造影) 、CT、腎機能、腎生検などを行います。
健康診断の尿潜血項目で陽性/偽陽性と判定された方へ
陽性(1+〜3+)
+の数が多くなるほど、尿に含まれる蛋白の量が多いことを示しています。「要検査」という判定の場合は医療機関の受診をお勧めします。
偽陽性(プラスマイナス/±)
陽性と陰性のほかに偽陽性(±)と判定されることがあります。陽性といえるほどではありませんが、陰性よりも蛋白尿が多い状態です。発熱、激しい運動後、ストレスなどが原因の場合や、尿試験紙自体の劣化、薬剤による偽反応の場合があります。
尿蛋白の基準値
尿1dl(1デシリットル=100ミリリットル)に含まれる蛋白量を測定します。尿試験紙(あくまでスクリーニング検査なので偽陽性が多く見られる)によっても異なりますが、おおよその基準値は以下のとおりです。
- 偽陽性(±)… 15mg /dl
- 陽性(1+)… 30mg /dl
- 陽性(2+)… 100mg /dl
- 陽性(3+)… 300mg /dl
尿蛋白で疑われる病気
- 多発性骨髄腫、溶血、横紋筋融解症
- 糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、ループス腎炎、アミロイド腎
- 間質性腎炎、中毒性腎障害、先天性尿細管疾患
- 尿路結石症、炎症、腫瘍
当クリニックの考え方・治療方法
スクリーニングで陽性とされたら定量検査を行います。
定量検査で高い値が出た場合は腎中心の血液検査を行い、必要に応じて専門機関をご紹介いたします。
処方される主な薬
原発性糸球体腎炎等が原因の場合はステロイドが処方されます
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