鼻の美容外科手術の全てについて語るインタビュー

松下洋二医師は五本木クリニックに勤務する以前から、形成外科医、また美容外科医をつとめていました。

形成外科医としての経験から、容貌をあるべき元の姿に戻す治療に尽力しています。

今日では特に鼻プロテーゼのトラブルにおいて、多くの患者さんが遠方からも来院していただけけるようになりました。

そこで、今回は松下医師に鼻プロテーゼを中心とする、鼻の美容医療についてインタビューし、本音を語ってもらうことにいたしました。

これから当クリニックを受診しよう考えている方だけでなく、鼻の美容医療を受けようと思っている全ての方にも参考になると思いますので、是非ご覧ください。

以前は美容クリニックで鼻の美容外科手術を多く手掛けていたとのことですが、どのような手術が多かったですか?

  • 小鼻を小さくする手術。これは鼻の下の広がっている部分を縮め鼻の穴を小さく見せる
  • 鼻先を細くする手術。団子鼻などを改善する手術ですね
  • 鼻を高くする手術。

この3つが圧倒的に多かったですね。その中でも鼻を高くしたいという要望が圧倒的に多かったです。

鼻を高くしたいという願いを持っている方が多いということですが、では鼻を高くする方法としてはどんなものがありますか?

プロテーゼ以外にも実は色々方法はあります。プチ整形に分類されるような手軽な方法もあります。

まずはヒアルロン酸注入ですね。

これが一番手軽な方法です。欠点としては長持ちしないことが挙げられます。効果は1年ぐらいから、硬いヒアルロン酸であれば2年ぐらいです。

長持ちしないのは最終的に体に吸収される素材だからです。体に吸収されるから悪影響が出にくく安全なのですが、長持ちしないのです。

溶ける糸を埋め込む方法もあります。

顔のたるみを引き上げて修正するために使うスレッドリフトに使う糸は、引っ掛けるためのギザギザが付いていますが、鼻を高くするための糸はギザギザがない細いものを使います。

一本一本は非常に細いので、希望する高さにするためには数十本といった本数を埋め込む必要があります。

これくらいの高さが欲しいからということで、例えば40本たばにして埋め込めれば簡単なのですが、そういかないので大変なのです。

もし40本埋め込むためには40回針を通して埋め込む必要があります。このように手間がかかるのですが、細かく鼻の形をデザインすることもできません。

吸収されて溶けてなくなる素材なので、安全性は高いものの、あまりメリットがある方法とは言えないですね。

やはりそこでプロテーゼが一番の選択肢となります。

プロテーゼにはI型とL型があります。

こちらがL型プロテーゼ

L型プロテーゼ

こちらがI型プロテーゼ

I型プロテーゼ

L型は鼻先のこの赤く矢印で示した部分が徐々に浮き出てくるというトラブルが多く発生し、現在ではほとんど使用されなくなってきています。

しかし今でもL型プロテーゼを使用しているクリニックが一部あるようです。

L型プロテーゼが鼻の中に埋め込まれている様子

数年後にトラブルが起きる可能性が高いことが分かっているにも関わらず、いまだにL型を使っているというのは、後でトラブルになってもその時は自分で対処するつもりはないのでしょうね。美容外科の医師の離職率は高く、報酬が高い病院に移ったり、自分で開業して退職するケースが多いのです。

プロテーゼは入れるのは難しくないのですが、トラブルが起きたときの対処が非常に難しく、ほとんどの医師は対処できないのが現状です。対処するのはどうせ自分ではないからと考えているとしか私には思えないのです。

といったわけで、もしプロテーゼを入れるのであれば、トラブルの少ないI型をおすすめします。

プロテーゼの材質は一般的にはシリコンが多く使用されています。またゴアテックスという人工血管と同じ素材が使われることもあります。

ゴアテックスは非常に柔らかい素材で、眉と眉の間の部分から高くしたいといった場合に用いることがあります。

しかし、鼻の組織と癒着して取れなくなることがあるため、トラブルがあったときに抜くことが難しいためあまりおすすめできません。

あと自己組織を使う方法もありますが、自分の体を使うので安全であることはメリットです。

しかし、体にどれだけ吸収されるかがわからないため、仕上がりが予想しにくいです。また、完全に体の一部になってしまうため、形に満足できなかった場合には修正が非常に難しくなります。プロテーゼは簡単に修正がきくのでまずはプロテーゼがいいですね。

プロテーゼの手術でも金額が大きく違う手術があるようなのですが、どこが違うのでしょうか?

安い手術と高い手術で金額が何倍も違うようですね。

今まで私が診てきた患者さんから聞いた話です。

ホームページやパンフレットには安いコースが載っていて、これくらいの金額ならやってみようと思ってクリニックに行ってみると、結局は高いコースに誘導してくるようですね。

「安いこちらの施術はプロテーゼの品質がよくない」とか「安いコースは長持ちしない」といってたくみに高いコースに誘導するとのことらしいです。

でも、プロテーゼの品質を高いものにしたとしても、材料代はたいして変わらないです。また、安いコースだからといってわざわざ長持ちしない、手抜きの手術をするというのもおかしな話ですよね。実際はほとんど変わりないといっていいわけです。ようするに商売の都合ってことです。

当クリニックでは鼻プロテーゼの手術は行ってませんが、もし、知り合いや家族から「鼻を高くする手術を考えている」と相談されたら、やはりプロテーゼをすすめますか?

そうですね。知り合いでも家族でもI型のプロテーゼをおすすめしますね。いずれ抜かなければならなくなる可能性は高いのですが、やはり一番最初の施術としてはプロテーゼがいいですね。

プロテーゼは人工物なので将来的に不具合がでる可能性が非常に高いのですが、その時になったら抜去して自己組織に入れ替える手術が必要になります。その将来の見通しを理解してもらえるのであれば、プロテーゼがいいと思います。

プチ整形の隆鼻術についてはどう考えますか?いずれ吸収される素材であれば危険性も少ないということですが

プチ整形にカテゴライズされるヒアルロン酸の注入による隆鼻術は、とっても危険なんです。目と目の間に注入するのはリスクが非常に高いのです。

ヒアルロン酸が血管に入ってつまらせてしまうと失明の危険性があります。非常に危険なんです。手術後の不具合の危険性は少ないものの、私としては絶対にやりたくない施術ですね。鼻プロテーゼの手術のほうがリスクが圧倒的に少ないです。

溶ける糸は先程も言いましたように手間がかかるので費用もかかりますし、それでいて長く持つわけでもないし、美しい鼻の形をデザインして作ることもできませんのでおすすめする理由がありません。

結局の所、20年後といった未来に抜去することを前提に、プロテーゼにするのが一番良いというのが結論です。

そこで松下先生の仕事になるということですが、プロテーゼの抜き方について教えてもらっていいですか

プロテーゼが石灰化したり鼻の組織に癒着していなければ難しくはありません。

鼻の穴の中にプロテーゼを入れたときに、切った手術跡の傷がありますので、その傷のところを切って中のプロテーゼをつまんで引っ張るだけです。私の場合は抜くだけなら慣れているので1分程度で終わります。

石灰化して癒着している場合は、癒着しているところを眉間まで入る手術用の細長いハサミを使ってきれいに切って剥がす必要があります。

長年プロテーゼを入れているとプロテーゼの周囲に皮膜が形成されて、カプセル状になることもあります。皮膜とプロテーゼがあまりにも強固にくっついている場合はカプセル状になったプロテーゼをそのまま引っこ抜く場合がもあります。

これもまたケースバイケースで、そのまま引っこ抜けない場合もあります。

特に穴開きのプロテーゼでは穴の部分に鼻の組織が入り込んで癒着してしまうことがあり、抜きにくいケースが多いです。その場合はプロテーゼの上の2・3箇所の穴の部分を、ハサミで引っかかっているところを丁寧に切って剥がしていく作業が必要になります。

もっと取るのが難しいケースもあります。

今まで1,000例以上プロテーゼの抜去を行ってきました。その中で30例ぐらい経験していますがプロテーゼを鼻の中でバラバラに切って取るしかない時もあります。

このようにして取った場合は取り出したプロテーゼを組み立てて、全ての破片が揃っていることを必ず確認します。普通だったら1分程度で終わるのですが、この場合は2~30分程度かかります。

プロテーゼを入れたのがちゃんとした美容外科医であった場合と、そうでない場合で抜く場合の手間が変わりますか?

基本的には変わらないですね。むしろ下手な美容外科医のほうが抜くのは楽なケースがあります。

プロテーゼは鼻骨の骨膜に固定しないとグラグラして安定しません。

プロテーゼは鼻骨の骨膜に固定

下手な美容外科医はこの固定を行わないことがあります。それだとむしろ抜きやすい可能性が高いです。

1分ぐらいで終わることが多いとのことですが、患者さんには2時間程度の時間をいただいていますが、他にはどのようなことをしているのでしょうか?

実はプロテーゼを抜くだけなら普通は全く大変ではないです。

抜くだけだとプロテーゼを入れる前より鼻は低くなるだけでなく、逆Uの字のような形に鼻筋がへこんでしまいます。そのため、プロテーゼの入っていた部分を埋めてあげる必要があります。

そのために患者さんの組織を採取して移植します。

当クリニックにでは患者さんの側頭部から筋膜という組織を採取して、埋め込む作業を行います。これが大変なのです。採取する作業と埋め込む作業の両方が必要になるわけなので。

採取した筋膜はこんな感じです。

鼻プロテーゼを抜去し、自己組織に置き換えるために採取した筋膜

こんな感じに筋膜を巻き込んで棒状にします。

鼻プロテーゼを抜去し、自己組織に置き換えるために採取した筋膜を巻き込んで棒状にした様子

筋膜に糸を通します。

鼻プロテーゼを抜去し、自己組織に置き換えるために採取した筋膜を巻き込んで棒状にしたあとで糸を通した様子

糸を引っ張って筋膜をたぐり上げて鼻の中に埋め込みます。

鼻プロテーゼを抜去し、自己組織に置き換えるために採取した筋膜を巻き込んで棒状にしたあとで糸で引っ張り上げる様子

一般的な美容クリニックだとプロテーゼを抜いた跡のへこみの処理のために別のプロテーゼを埋め込んだりすることもあります。それでは全く根本的な解決になりません。

鼻の皮が薄くなってしまったり、プロテーゼが飛び出してしまっているようなケースでは、むしろ悪化するので解決する方法としては自己組織の埋め込みしかないのですが、これができるクリニックはとても少ないです。

色々クリニックを回ってどこでも断られて、当クリニックでようやくやってもらえたという患者さんが実に多いです。

手術器具についてのこだわりとかはありますか?

私の場合は特にこだわりはないです。ちなみに使っている器具はこんなものです。

鼻の手術に使う用具

特別なものはなく、結局は技術と経験しかありませんね。

特に心がけていることってありますか?

手際よく手術を終えることですね。

美容医療で最も問題になることのひとつがダウンタイムです。施術が終わったあとで腫れが引いて普通の生活に戻れるようになるまでの期間のことですね。

傷口を大きくしたり、手術時間が長くなるとダメージがその分だけ大きくなり、腫れがひどくなりダウンタイムが長くなります。

そのため、切る部分を最小限にし、最短の時間で終わらせることを心がけています。

詳しくはこちらの記事「五本木クリニックの鼻の手術はほとんど腫れません❗それには5つの秘訣があります」に書きましたので御覧ください。

ー緊急に施術が必要になった場合は可能でしょうか?特に遠距離の場合では何回も通院できないと思いますがそれでも大丈夫ですか?

例えばボールが当たってずれてしまったといったような場合ですね。

手で元の位置に戻せる場合もありますし、手術が必要になるケースもありますね。

予約があいていれば緊急で対応が可能ですので是非お問い合わせください。

手術した場合のスケジュールですが、当日手術、テープを外すために3日後に来院、1週間後に抜糸となります。遠方から来られる場合であれば、テープを外すのと抜糸は1週間後の同日でも可能なので、当日と1週間後の2回だけの通院で済ませることも可能です。

ー最後にこれまで鼻の手術を続けている理由や喜びについて教えて下さい

いままでいろいろなクリニックに相談して断られた患者さんが、辛そうな表情で来院されます。「大丈夫、できますよ」と言ったときの晴れやかな表情が見られた時ですね。

そして、体の中の異物が取れてスッキリして嬉しいと感想を頂いた時ですね。これがあるから今まで20年以上も続けてこれたのだと思います。

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