開業するなら泌尿器科、皮膚科、小児科?
私が泌尿器科に入局したとき同僚のひとりは親御さんが、「せっかく医学部に入ったのになんで泌尿器なんて」と泣き崩れたなんてエピソードがありました。それはそうですね、私が開業した時に受診したい科はどれですか、という質問票を書いていただいていたのですが(現在は項目に○をつける様に改良)、「泌尿器」ではなく「秘尿器」と書く方がたまにいました。
いまでは滅多に聞かない言葉である「尾籠(びろう)」も開業当時はよく耳にしました。ご年配の方が私に向かって、「尾籠な話なんですが」と切り出したときは泌尿器科の病気での受診です。この「尾籠」という言葉はweblio辞書によれば、「話題が下品だったり口にしづらかったりするさま」と説明されています。
私の祖父は熊本で開業医をしていました。標榜科目は「皮膚科」に続いて「花柳病」となっていた思い出があります。当時、日本では梅毒がありふれた病気であり特効薬である抗菌剤さえ入手しにくい状況だったのです。
そんなこんなの泌尿器科ですが、高齢化社会を迎えた現代では頻尿・夜間頻尿から日本人男性がいちばん罹りやすい前立腺がん、女性の多いとされている過活動膀胱、さらには男性不妊症やEDなど命に関わるものから生活の質の向上まで広い範囲をカバーするようになりました。
おしっこにまつわる気になる点がありましたら、ぜひ泌尿器科にご相談下さい。
参考サイト:m3「医療維新」「開業したい」多いのは泌尿器科、皮膚科、小児科(https://www.m3.com/news/iryoishin/969960)。