悲報❗フライドポテト好きは死亡リスクが2倍❗これって因果関係???

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大人から子供まで愛されている「フライドポテト」。

フライドポテトを週2回以上食べる人はフライドポテトを週1回以下の人と比べると死亡リスクが2倍に上昇する

という某ファストフードが震え上がるような論文が出てきました。

週に2回以上フライドポテトを食べると死亡リスクが2倍になる⁉

問題の論文は「Fried potato consumption is associated with elevated mortality: an 8-y longitudinal cohort study」(Am J Clin Nut June 7, 2017)という医学系論文で45〜79歳の4440人を対象に8年間追跡調査したものです(もともとは変形性関節症発症コホート研究のデータ)。

フライドポテト (ハッシュポテトは論文では含まれています)を油で揚げたじゃがいもと考えると、本年2017年の北海道産じゃがいもの不作に伴った「ポテトチップス販売中止」を恐れて予め買いだめした人はヒヤヒヤしているのではないでしょうか?

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http://toyokeizai.net/articles/-/171388?page=3

赤線で跳ね上がったところがありますが、これは「じゃがいも不足でポテトチップスが販売中止なるかもしれない」と慌てた人がスーパーにおける店ごとの売上個数を急上昇させたものと考えられます。

じゃがいもは、もともと体に悪い成分があるんじゃなかったけ?

じゃがいもの芽に毒性があることは常識だと思っていたら、その常識を知らずに学校の授業で作ったじゃがいもで食中毒を起こした事件が以前ありました。農林水産省のホームページには以下のように注意喚起されています。

ジャガイモによる食中毒の事例は?

主に小学校の調理実習などで、ソラニンやチャコニンを原因とする食中毒が毎年起きています。

事例:2015年1月22日、奈良県内の小学校で、校内で栽培・収穫したジャガイモを調理・喫食した51名のうち31名に吐き気、腹痛等の症状が出た。なお、残った粉ふきいもを分析したところ、100 gあたり19-39 mg(0.019-0.039 g)のソラニン類が検出された。

ジャガイモによる食中毒を予防するために」農林水産省

主に小学校の調理実習などで、ソラニンやチャコニンを原因とする食中毒が毎年起きています、と書かれています。

食中毒の原因としてあげられているのが、ソラニンとチャコニンという天然の毒(半可通な自然派信奉者さん、オーガニック野菜でも毒はあるんですぜ)です。

ちょっと詳しい人はじゃがいもなどの炭水化物を多く含む食材を高温で揚げたり焼いたりすると「アクリルアミド」という化学物質(えーっとですね、自然派嗜好さま、どんな物質も化学物質ですけどね)ができちゃいます。

アクリルアミドは急性毒というわけではなく、発がん物質として考えられていますので、WHOはもちろんのこと日本国内でもできるだけ少なくするように注意を促しています。因みのこのアクリルアミドは喫煙でも体内に入り込みます。

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アクリルアミドはポテトチップスよりフライドポテトに多く含まれているようです。今回のフライドポテトを週2回以上食べる人は死亡リスクが2倍になる説の一つの要因なのかもしれませんが、亡くなった方の多くの死因が「がん」であったわけではないし、極端な量を摂取しているとも考えにくいので多分他のことが原因と考えられます。

例の「トランス脂肪酸」が死亡リスクを上昇させている?

トランス脂肪酸の過剰摂取は心血管系の病気のリスクを高めることは、数々の研究によって確立されています。

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日清オイリオサイト

 
まあ予想通りに米国での消費量はずば抜けていますね。

フライドポテトのようなトランス脂肪酸を含む食べ物を摂取する量自体がトンデモない量のような気もしますけど⋯。

週2回以上フライドポテトを食べる人の多くの死因が心血管系の病気だったら「トランス脂肪酸原因説」が考えられますが、どうもそのようなデータは出ていない模様。

食べ物と死亡リスク、相関関係にあっても因果関係とはいえないものが多い❗

「なになにを食べるとがんになりにくい」「なになにを食べると心血管系の病気になり死亡リスクが上昇」なんて感じの健康関連記事が毎日のようにメディアに掲載されています。しかし、

その多くは原因と結果ではなく、相関関係にある場合が多いことに注意を払う必要があります

例えば今回取り上げた論文はフライドポテトに焦点を絞っていますが、フライドチキンやハンバーガーのような揚げ物、焼き物でも同じような傾向が観察されるかも知れません。また、他の状況も考えられます。

フライドポテトを好んで食べる人は食生活が乱れていて、健康自体にも関心がない、だから死亡リスクが2倍になる可能性もあります。

さらにフライドポテトをそのまま食べる人ってほとんどいないと思います。多くの人は塩をたっぷりフライドポテトに振りかけてから食べますから、ひょっとしたら塩分が今回のフライドポテトが死亡リスクを高める原因かもしれません。

さらにさらにこんな考え方もできます。ファストフード店でフライドポテトだけを頼む人って稀であり、普通はコーラ等の炭酸飲料とメインのハンバーガー、あるいはフライドチキン等をオーダーしますよね。

じゃがいもが悪いわけではないのです。もしも、トランス脂肪酸が犯人であるのならフライドポテトにしないで、マッシュポテトするとかポテトサラダにするとか、蒸したじゃがいもとして食すればいいのです。塩分が原因の可能性があるのなら、どっさり塩を振りかけなければいいのです。

大事なことはフライドポテトをしょっちゅう食べている人は食べない人と比較して死亡リスクが2倍になるとの一本の医学論文が出た、ということです。

しかし、それはあくまで相関関係であり、原因と結果、因果関係ではありません。今後もこのフライドポテトを扱った研究論文が多数でてくることが予想されますので、週刊誌等の健康情報の「何々は食べるな」「がんにならないために何々を食べろ」的な情報は、まあそんな話もあるよねレベルで解釈して下さいね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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