先週「医師たちが告発 『がん免疫療法』はインチキだ」という特集を組んで、医療関係者から称賛を浴びた週刊現代。今までは「血圧の薬は飲むな」とか「がんの手術は受けるな」的な標準医療批判記事を続けてきたはずの週刊現代が、なぜかまともな医師に支持されるような記事の特集を続けています⋯あの週刊現代が「がんの免疫療法はインチキだ❗」で医師から大絶賛❗
そのため
やればできるじゃん週刊現代、褒めて伸ばそう週刊現代
との言葉が私の周囲で流行っています。
本記事の内容
今週の週刊現代「がんが消える宣伝文句に気をつけて」は高評価❗
オプジーボ(ニボルマブ)が「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる為に、エビデンスなき自由診療クリニックで行われてきた「がん免疫療法」もがん治療に有効であるとの誤認が広がっている大きな原因と考えられます。
「免疫チェックポイント阻害剤」と一般的な「がん免疫療法」は名前こそ似てはいますが、科学的検証、医学的エビデンスにおいては似ても似つかぬものなのです
週刊誌はインチキ医療の金銭的な負担に重きをおいた記事が多いのですが、今週の週刊現代で「絶対に受けてはいけない」と一覧表になっているエビデンスが希薄とされているがん治療法をいくつかピックアップして説明しますね。
2週に渡って医療関係者から高評価の週刊現代(2017年8月19.26日号)、やればできるじゃん、がんばれ週刊現代❗
やたら目につく広告「樹状細胞ワクチン、ペプチドワクチン」によるがん治療
日本は言論の自由・出版の自由が保証されている国です。どんなにヘンテコな内容の本であっても出版はできます。一方、人はなぜか活字になったものを強く信じ込む傾向があります。テレビのニュースより、新聞の記事の方がなんとはなく信頼度が高い、と思い込むのと同じですね。
多くのがんが困りものなのは転移するからです。発生した臓器にがん細胞が留まっているのなら、外科的にその臓器を摘出してがん細胞が他の場所や遠くの臓器に転移することが防げます。
転移したがん細胞を退治することががん治療のキモとなってきます
週刊現代系のどちらかというと中年以降の方が好んで読む週刊誌には「樹状細胞ワクチンでがんが完治」なんて表現を使った記事風の広告や「ペプチドワクチンで末期がんが消失」などのサブタイトルがついた書籍広告を見かけます。
確かに試験管レベルでは樹状細胞ワクチンががん細胞を退治することはわかってはいますが、
どうやってがん細胞に樹状細胞ワクチンを届かせるか、という重要な問題はいまだ解決していません。
記事中で日本医科大学武蔵小杉病院の腫瘍内科の勝俣範之先生が「理論的に正しくても、人間に効果があるかは別問題」との内容を述べています。樹状細胞ワクチンにしろ、ペプチドワクチンにしろ、がん治療に対しての効果は判定されていませんし、効果があるのかさえ明らかにはなっていない「机上の空論」的な治療方法の一つなのです。
がんに対する高濃度ビタミンC大量点滴療法がまだ健在だとは⋯・
ビタミンCってなんとなーく、体に良さそうだと思いますよね。そのなんとなーく体に良さそうなビタミンCを大量に点滴することで、がん治療に使うとなんとなーく効果がありそう⋯こんないい加減な考えから「がんに対する高濃度療法」は始まりました。この高濃度のビタミンCが健康に良い、と考え一般の人に伝導したのが、厄介なことにノーベル賞受賞者なのです。
高濃度ビタミンC療法を提唱したライナス・ポーリングさんは2回もノーベル賞を受賞している(一つはノーベル化学賞、もう一つはノーベル平和賞)なので、絶対的な信頼度を普通の人は持ってしまいます。「騏驎も老いては駑馬に劣る」ではありませんが、
高濃度ビタミンC健康法に目覚めたポーリングさんは、ヘンテコな方向へ走り出しあのコーヒー浣腸の「ゲルソン療法」まで高評価しちゃいだしました
⋯「コーヒー浣腸」、こんなニセ医学的健康法は誰が始めたんだ??
ノーベル賞ダブル受賞のライナス・ポーリング博士が提唱した高濃度ビタミンC健康法、こりゃ一般人には魅力的かつ信頼度高い「ニセ医学」「インチキ健康法」です。週刊現代中で勝俣先生は「高濃度ビタミンC点滴も効果は0」(週刊現代 2017年8月19.26日号 P176)で述べています。
まあ、このビタミンCが水溶性であり、大量に点滴しても尿になるんで危険性は少ないですが、ライナス・ポーリングさんが「ビタミンA高濃度治療」なんてものを編み出さなくって良かったです(ビタミンAって水には溶けない脂溶性ですから、大量に点滴したらどんなことになっているのやら⋯)。
おまけ:ちなみにライナス・ポーリング博士はがんで亡くなっています。
これはメモっておきましょう「ニセ医学がん治療の広告の特徴」
雑誌の記事風広告や独自のがん治療を一般書籍にしたもの、さらにネット広告でニセ医学的インチキがん治療に騙されないための注意として勝俣先生が重要なことを述べています、これはメモしておきましょう❗
悪徳なクリニックには3つの特徴があります。まずは自由診療で保険が聞かないこと。次に『がんが消えた』という謳い文句。そして実際にがんが小さくなった患者の例などが大きく紹介されていることです
週刊現代 2017年8月19.26日号 P177より
はい、あなたやあなたの家族が「がん」と診断された場合、どんなことでもやれることはやろう、と思うはずです。標準治療を受けつつ「画期的な新しい治療法はないか」と調べるのも自然なこと。しかし、上記3つの文言がでてきたら速攻でネットならページを閉じで、雑誌広告は無視して、書籍も手をださないことです。お金と時間の無駄になるだけですから。
追記:同じ講談社でも「現代ビジネス」ではヘンテコな記事を取り上げています。