O-リングテスト(オーリングテスト)、これで病気を見つけて治療はリスキー?

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懐疑派の医師からは医療版コックリさんと呼ばれているオーリングテスト(O ring test) ですが、無資格で医療に携わっている方はもちろんのこと、なぜかこのトンデモ診断法を積極的に使用している医師や歯科医師、あるいは鍼灸マッサージさんが多数。

もともとはキネシオロジーという身体の動きと脳神経あるいは末梢神経の関係を研究するまっとうな医学・科学分野のものでした。それがなぜか拡大解釈的に応用されて医学・科学的とは言い難い「Applied kinesiology アプライドキネコロジー」に変化し、そのまた亜流としての「Oリングテスト(オーリングテスト)」があみ出されたようです。

日本人医師が開発したといわれるオーリングテスト(O ring test) 、どんな病気も発見できる⁉

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https://ja.wikipedia.org/wiki/O-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88 より

オーリングテストの開発者とされる大村恵昭さんは日本人医師と著作等ではなっていますが、詳細な情報を得ることはあえていたしません。だって

医師が開発したものであろうと、非医療関係者が開発したものであろうとOリングテストってへんなんだもん❗

どのようにヘンなのかを私なりに検証してみますね。

そもそのオーリングテストで使われる指に筋肉って無いのですけど⋯

アプライドキネコロジー (AK) は手で触れることによって筋肉の硬さ・強さから体中の臓器の問題点を見つけることができる(これもトンデモ)から派生したのがオーリングテスト(O ring test) です。指でOの形をつくるからOリングなのか、開発者である大村恵昭さんの頭文字をとってOリングなのかは不明です。

ところでOリングテスト(オーリングテスト)は本家本元のキネシオロジーからはかなりあっち方面に向かっており、トンデモ臭の漂うアプライドキネコロジー (AK) からも自由奔放に進化?しているんです。なぜなら

そもそも指に筋肉は無いよ❗あるのは腱だよ❗

つまり一見アプライドキネコロジー (AK) の発展形に見えるOリングテスト(オーリングテスト)、こりゃ完璧にキネシオロジーとは全く縁の無い医学版コックリさんと呼ばれても仕方のない万能検査方法と考えて間違いないでしょうね。

オーリングテスト、これってトンデモ科学の波動が理論的背景なんじゃないですか?

「日本バイ・ディジタルO-リングテスト協会」(http://www.bdort.net/fr/ortreport.htm)というオーリングテストの普及活動をしている団体があります。そこには実際のオーリングテストのやりかたがかかれてます。

O-リング・テストの「O-リング」とは、患者さんの片方の手の親指と人差し指やその他の指でつくる丸い輪っかのことです。テストでは、まず患者さんに片方の手で抗がん剤を持ってもらい、もう片方の手の指でO-リングをつくってもらいます。そのO-リングの中に医師が左右の人差し指を挿入し、左右真横に引っ張ります。持っている抗がん剤で治療効果がある場合はO-リングは固く閉じられ、こじ開けられません。しかし、治療効果がない場合は、簡単にO-リングが開いてしまうのです

この方法は患者さんも医師もかなりバイアスかかることがわかります。さらにOリングテスト(オーリングテスト)の理論として

①あらゆる物質は固有の電磁波を出している→②手のひらに乗せたたばこなどの有害物質から出た固有の電磁波は、電気信号として脳へ伝えられる→③脳が無意識のうちに判断→④その情報を電気信号として手の筋肉に送り返す→⑤筋力の低下→⑥O-リングが開く

と一見科学風に見えるけど、どうみても科学的ではないし、医学的にもヘンテコな理論によってメカニズムが説明されています。ではO-リングテスト、オーリングテスト(O ring test) あるいはバイ・ディジタルO-リングテスト(様々な呼び方があります)信奉者の方、簡単に効果を証明する方法をお伝えします。

100名程度のボランティアを集めて、その方々の血液型を明らかにしてください

その結果で統計学的にオーリングテストの効果が有効であることが証明されたら私は全面的に疑ったことを謝罪を致します。あらゆる物質は固有の電磁波を出しているんですから、血液型なんて簡単にわかるはずですよね。

オーリングテスト、怪しげな商法に多用されています

例えば「オーリングテスト 歯科」「オーリングテスト クリニック」「オーリングテスト がん」などのキーワードで検索すると、多くの医療機関が上位表示されます。これらのほとんどはOリングテストのビリーバーの医療関係者のサイトであり、懐疑的にOリングテストを批評しているサイトが少ないのは残念なことです。がんと診断された方が標準医療では見つけられなかった微小な転移巣をOリングテストによって発見された、なんて話も見受けます。しかし、ヘンテコな検査方法で見つかったものが本当に転移巣であったかを確認せずに、さらに標準医療とはかけ離れた治療を受けている人の多さに驚かされます。

Oリングテストで「がん」を見つけてCEAT療法で治療⁉なんだこれ??

Oリングテストで「がん」を見つけてCEAT療法で治療⁉なんだこれ??

現代医療が絶対ではありませんし、もちろん万能でもありません。しかし、標準医療は科学的な手法によって効果が確認されているものです。となるとなぜ科学風を装ったトンデモ検査・トンデモ医療に多くの人が頼ってしまうのか?これを常に考え続けながら私は正しい医療を多くの方に知ってもらうためにブログで発信し続ける所存です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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