トンデモ系教授武田邦彦さんの医療批判がこれまたヘンテコ⁉

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東日本大地震時における原発問題に関して、標準的な科学の考え方に対する「逆張り」発言で注目を集めた中部大学総合工学研究所特任教授の武田邦彦さん。医療方面においても「喫煙した方が長生きする」なんて標準医学に対しても逆ばり発言をしていることは多くの方がご存知だと思われます。

炎上中❗トンデモ発言を繰り返すニセ医学の伝導者、武田邦彦先生を無理やり庇ってみました。追記あり

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今度は武田さんは医療批判として「『高血圧はキケン』の嘘はもうやめよう。武田教授が指摘する医療の闇」なんてことを言いだしたようです (http://www.mag2.com/p/news/256905) 。

高血圧は危険は嘘であり、医療に闇があるのは真実なのか?

原発問題でトンデモ発言を繰り返した武田邦彦さんによる医療批判、こんな感じで武田さんのご意見が取り上げられています。

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http://www.mag2.com/p/news/256905

この記事中では高血圧・コレステロール・メタボについて武田さんの独特なお考えが書かれています(もちろのトンデモさん特有の陰謀論に基づいたもの)。今回は高血圧に絞って話を進めます。武田さんが指摘しているのは

  1. 血圧が高い方が末梢まで血液が行き渡り、それは温泉に入ると血流がよくなるのと同じである。
  2. 血圧を下げると血の巡り(?)が悪くなり、健康に悪いことは当然である。
  3. 高血圧学会(多分日本高血圧学会のことか?)や厚労省は血圧は下げろは矛盾がある。

この3点が要旨だと思われます (武田さんの場合、高血圧の基準値が示されていないのでこのあたりもトンデモさん特有の思考回路だと考えられます)。

まず1ですが、温泉で血流がよくなるのは体が温まり体内にこもった熱を放散させるために、血管が開いて熱を逃すからであり、血圧とは関係ありません。温泉に入ることが血流不全による腰痛等を緩和する作用は血流の改善もあるでしょうが、リラックスすることによって副交感神経優位にすることも大きな作用です。

次に2です。血圧を下げることが健康に悪いことは当然であるとのご意見ですが、この疫学データをどのように解釈されるのでしょうか?

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http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/research/disease04.html

この研究は九州大学が長年久山町という町の住民の健康状態を前向きに調査してきた「久山町研究」と呼ばれる貴重な疫学データです。このグラフを見ただけであっても高血圧は心血管病の発症と強く関連があることが理解できるはずです。

3は血圧が低い方が健康に良いという武田先生の考えに対して、高血圧学会や厚生労働省の考え方が相反する、との意味であり高血圧学会及び厚生労働省の見解の中において矛盾があるわけではありません。ご自分の考えと合わない意見に対して「矛盾」という言葉を使用するのには違和感がありますよね。

武田邦彦さんは専門分野の知識も怪しげに感じるのは私だけ?

高山正之さんや青山繁晴さんなどの一般人とは違った世情の見方を披露されていた、CS番組「虎ノ門ニュース」にも武田邦彦さんは出演されていたようですが、私としては彼の出演日の放送はほとんど観たことありません。だって、どうみてもどこからか拾ってきた情報を自分で勝手にアレンジしてセンセーショナルに話しているだけなんだもん。

トンデモさんの特徴として数字と量の概念が乏しいと今まで何度かブログに書いてきました。トンデモ系の教授武田さんもこんなことをやらかしています。

世田谷で1時間あたり2.7ミリシーベルトが観測されましたが、道路の脇の藪の傍で、当然、死の灰の性質からいって予想されることです。毒物が飛散した場合、「どこに毒物があるか」というスタンスで毒物の多いところを探して、そこを警戒するのに、「できるだけ事故を小さく見せたい」ということで公園の真ん中など意味のないところを測定していたのです。

「世田谷の高線量率と福島の新米(緊急)」と題してBLOGOSに投稿されています。

一見何も問題ないかに思える文章ですが、物理を学んだものであればひっくり返るくらいの間違いがあるのです。それは「1時間あたり2.7ミリシーベルト」との記載です。こんな線量が世田谷で観察されるワケがありません。これは明らかに「2.7マイクロシーベルト」の間違いです。武田邦彦さんは工学博士でもあるので、単位にはウルサイはずですし、放射線に関して日頃から見慣れているのであれば、typoであったとしても一回読み直せば間違いに気づかれるはずなんですけど⋯さすがトンデモさんです。

武田邦彦さんはトンデモさんなのか、たんなるデマゴーギーなのか?

今では「トンデモ」は人を強く批判するときに使われることがありますが、と学会認定?の「トンデモ」の正しい使い方は著者が知識の欠如や妄想等によって書かれた著作を著者の言わんとする意図とは別の楽しみ方ができる本を「トンデモ本」と呼んでおり、著者の人格等を批判するものではないことにご注意ください。

ちなみにと学会が選考した第一回トンデモ本大賞は「ノストラダムス複合解釈」(川尻徹著)です。川尻さんは医師でもあり、以前こんなブログを書きましたのでお時間があれば目を通していただければ正しい「トンデモ」の使い方が理解できると思います。

「トンデモ医師列伝」古典編その1 医師にもこんな素敵な方が沢山いるよ❗ 

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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