死亡率ワーストNo. 1の青森県、汚名返上するなら喫煙対策じゃないの?

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厚生労働省が発表する「人口動態統計月報年計の概況」の平成27年版の公表を受けてマスメディアは

前年と同様に青森県が男女ともに死亡率1位

といった感じで取り上げています。

死亡率が1位の青森県に余計なお世話でしょうけど秘策を伝授❗

新聞等はただ「厚労省が14日に発表した」と書いていますが、ベースとなった厚労省のデータは人口動態統計月報年計の概況の中の都道府県別年齢調整死亡率(人口10万対)の推移であることを報じているものはありませんでした。

青森県は死亡率・喫煙率・食塩摂取量などワースト1項目が多すぎる

これ厚労省のデータを独自に棒グラフにしました。

この年齢別調整というのはただ死亡率を比較すると高齢者が多い地域が高くなるのが当たり前ですから、そのような差を無くすために仮想的な人口モデルに全国のデータを合わせて求められる数字です。

青森県の死亡率がより高くなっている理由の一つとして、保存食として使われる塩分が原因との指摘があります。でも、

青森県が死亡率がワーストNo.1である理由は喫煙じゃないの⁉

との仮説を私は立ててみて、汚名返上の秘策として喫煙率を下げる、国に先行して受動喫煙防止を県でとっと始める、ついでに三次喫煙問題も県をあげて対応策を大々的に啓発活動を行う、なんてことを提案させていただきます。

日本人の死因の上位4位までは喫煙と深い関連があるんだよ❗

近年の日本人の死因の上位は悪性新生物(がん)、心疾患、肺炎、脳血管疾患が上位になっています。これらの疾患にとって喫煙が悪影響を及ぼしているのですが、実は

青森県って都道府県別の喫煙率もワーストNo. 1なんです

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国立がん研究センター「がん情報サービス」より 男性で喫煙率が高い県は青森、佐賀、北海道、福島、秋田がトップ5です。

日本人の死亡原因のトップは悪性新生物、つまり「がん」ですが、青森県は都道府県別がん死亡率も残念ながら1位なんです(がん情報サービス「がん登録・統計」による)。 

がんの早期発見に貢献しているのががん検診ですが、その受診率となるとこのような結果になっています。

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http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening.htmlのグラフを独自にまとめて見ました。

ダントツで青森県ががん検診をしていない、ってワケではないようです。

肺炎も喫煙と強い関連性があります

以前は日本人の死因のトップ3圏外であった「肺炎」ですが、ここ数年は3位となっています。この肺炎も実は喫煙と関係があるのです。少し古い医学論文ですが「Proportion of community-acquired pneumonia cases attributable to tobacco smoking」(Chest. 1999 Aug;116 (2) :375-9)では喫煙歴や吸うタバコの本数と肺炎とは強い関連性が示唆されています。実は

青森県って肺炎による死亡率も全国1位なんです

これは少し古いデータによる表ですが、見やすいので引用させていただきます。

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http://kenkou-seikatsu.jp/2012/05/2010shibou_haien.php より

肺炎と喫煙は関連性があると考えると、青森県が肺炎死亡率全国1位であることもなんとはなく理解できますよね。

日本人の死因の1位と3位が喫煙と関連性があり、喫煙率が高い青森県が死亡率1位という結果になった理由もその辺りにあるのではないでしょうか?

死因第2位の心疾患、これまた喫煙と関連があるんだよ❗

タバコが心臓病に悪影響を与えていることは周知の事実と考えます。タバコの箱にはこんな言葉がかかれています「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります」、でも心筋梗塞だけではなく、虚血性心疾患全体でも喫煙はリスクを高めています。

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http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/283.html より 前掲のがん研究センターのデータによると

喫煙すると心筋梗塞は3.6倍、虚血性心疾患でも2.9倍リスクが高くなる

ことがわかっています。

青森県が死亡率1位である理由として喫煙問題が深く関連していることに間違いはありません。

青森県が汚名返上するためには喫煙問題解決が一番じゃないかな?

今回の都道府県別の死亡率に関してのコメントとして、寒冷地の保存食は多量の塩分を使用する食文化の影響が大きい的なものがあります。しかし、日本人の死因はがん、心疾患、肺炎、脳血管疾患であり、肺炎は塩分摂取との関連性はありません。

がんであっても強い関連性が示唆されるのは胃がんであり、胃がんはがん検診等で早期発見されるために死因としては肺がんについで2位になっています。がんで亡くなる方のトップは肺がんであり、心疾患のリスクを高めるのも喫煙、さらに肺炎の原因の一つであるのも喫煙です。

青森県は国の法律改正を待つ前に、タバコの危険性を強く訴え、受動喫煙防止対策を行えば5年後の人口動態統計月報年計の概況、遅くても10年後の人口動態統計月報年計の概況では死亡率ワーストNo.1の汚名を返上できると提案させていただきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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