ダイエット流行りで、朝食は抜いたほうがいいとか、朝食はしっかり食べましょう、など様々な方法が出回っています。
朝食を食べないと学力が低下する、という話
一般的にはその日一日の活力を得るためには朝食はしっかりと食べた方が良いと考えられています。例えば
朝食を抜くと学力が2-3割落ちる
つまり、勉強ができない原因が朝食を食べないことにある、とする説も登場しています。
朝食を食べない人たちは食べる人たちに比べ、学力が2~3割低く、脳出血のリスクが約4割高く、冷え性に2倍なりやすい-。こんなことが最近の調査で分かってきた。忙しい朝は、つい睡眠を優先して食事を抜いてしまいがちだが、実は残念な結果を自ら呼び寄せてしまうようだ。
2017年6月11日 産経ニュースより 言いたいことは分かるのですが、なぜ調査の対象となった小中学生が朝食を抜いているのでしょうか?ひょっとしてダイエットのためかもしれませんし、深夜まで勉強をしていて朝は頭がボーっとしているためかもしれません。実は
朝食を抜く子供のいる家庭は朝食をしっかりと食べている家庭と比較して低収入である
との調査もあります。朝食抜きが学力に悪い影響があるとすると、その根源は経済格差である可能性も出てきます。
朝食抜きと経済格差の関連性
子供の食生活とその家庭の経済状況に関してこのような報告があります。
低所得の家庭の子供は休日の朝食を抜きがちで、野菜はあまり食べず、インスタント食品をよく食べている――。小学生約900人を対象に実施した厚生労働省研究班の調査で、こんな傾向が明らかになった。
2014年8月1日 日本経済新聞より ようするに一週間のうちに休日、土曜日・日曜日・祝日は低所得の家庭だとそこの子供は朝食を食べていない傾向があるのです。日経のこの記事と産経の記事を合わせて読み解くと
低所得家庭の子供は学力が低い傾向にある
との結論も導きだせることになります。
経済格差が学力格差を生む原因
中学校受験や高校受験は学校の勉強だけでは、希望する学校に入るのはかなり厳しいのが現状だと考えます。学校の勉強に加えて塾通いが必要となることは多くの人が認識しているはずです。例えばこんな研究があります。統計学的な処理はしていませんが、学校以外の勉強にお金をかけている方が学力は高い、といえるんじゃないでしょうか?
またこの研究ではこのような結果も出ています。
1学校外教育支出と学力との関係は強く、学校外支出が多い家庭ほど子どもの学力も高い。世帯収入が高くなるにつれ学校外教育支出も多くなる傾向がある。負担感と学力との間には明確な関係は見られない。2生活習慣と学力との関係については、「子どもが決まった時刻に起きるよう(起こすよう)にしている」「子どもを決まった時刻に寝かせるようにしている」「毎日子どもに朝食を食べさせている」家庭の子どもの方が高い学力を示している。
これからもわかるように、経済的な格差が学力に影響していることは間違いのないことだと思われます(頭の良さ悪さではなく、学力である点に注意が必要です)。
因果関係があるのなら、朝食をしっかり食べたら勉強が出来るようになるか?
もし、朝食抜きが学力低下の原因であると仮定すると、朝食をしっかり食べるようになると学力が上がることになります。朝食を毎日しっかり食べることが出来るためには、経済格差を無くす必要があります。
近年「親学」とか「食育」といった言葉をよく耳にしますが、子供に朝食をしっかり食べさせていなのは「親学」の問題であり、だから学力も落ちることを説明するのは「食育」ってことなのでしょうか?親学にしろ食育にしろ科学的な分析をふまえた学問というよりは、道徳的な話が中心であると、少なくとも私が入手した資料では考えられます。以前「ゲーム脳」という言葉が流行しましたが、これはある学者が唱えた説が一般受けしたものであり、科学的な実験方法によって明確になった症状?でがありませんでした。
人間の体は複雑怪奇です。ある一つの因子がある結果と一対一の関係にあることは非常に少ないのです。