余計なお世話でしょうけど、意識高い系の人々の食生活を十分に満足させる食材を探し求めました。
それらの食材が本当に健康に良くダイエットに効果があるのか、医学論文を添えて検証してみます。
本記事の内容
最高の意識高い系の食材を発見したけど⋯
日本で手に入れることができる意識高い系さん向けの食材を余計なお世話であることは重々承知の上、近隣のスーパーをウロウロしたところ、
意識高い系のオーガニックでグルテンフリーでヴィーガンさん達が大喜びする食材を発見しました。
グルテンフリー、小麦フリー、無添加(additive free) 、アレルゲンフリー、という素晴らしい食材です。
セリアック病や小麦アレルギーの方にとっては利用価値の高い食材ですが、私はこれらのなんちゃらフリーをおしゃれで健康的な食生活の欠かせないと思い込んでいるいわゆる「意識高い系」の人々が気になってしかたないのです。
意識高い系の人々はついつい他人様の食生活にケチをつけて、いらんアドバイスをしてマウントすることに生きがいを感じているようですし、下手すりゃヘンテコなセミナーに勧誘してヘンテコな資格を取らせるような動きもあり、以前から批判をしてきました。
例えばこれ。
海外在住の出羽守、日本の食材をディスりまくりです。残念ながら見当外れの指摘ばかりで、マウント系トンデモさんは厄介であることを再認識しました。
今回、健康方面の意識高い系の方々を満足させることができると考えた食材ですが、実はかなり気になることを発見しました。その気になる発見とはなんでしょうか、ワクワクしながら最後までお読みいただけると嬉しいです。
オーガニックは健康に良いか?
普通のスーパーで普通に売られている食材よりオーガニックな食材の方がなんとなくセレブっぽくて健康に良さそうな気がしますよね。
オーガニックの食材とは有機栽培で育成されたものを示します。しかし、国によってオーガニックの定義が違ったり基準が違ったりしているのが現状です。
「Perceived risks of conventional and organic produce: pesticides, pathogens, and natural toxins」(PMID: 11414540)によれば、オーガニックだと安全であり栄養価が高いと思いこんでいる人が多いことがわかっています。
しかし、「Are organic foods safer or healthier than conventional alternatives?: a systematic review」(PMID: 22944875)というシステマティック・レビューでは、オーガニックの食材は通常の食材と栄養価に違いはない、との結論に至っています。
たしかに残留農薬の量に関してはオーガニックの食材のほうが若干少ない傾向はあったとしても、ヒトに対する影響は普通の食材と違いは無いと考えられています。
残留農薬など微々たる違いを重要視するのは、トンデモさんにありがちな特徴である、「量の概念に乏しい」が当てはまります。
結論:オーガニックであるからと言って、健康に良いとのエビデンスはありません。
ヴィーガンは健康に良いか?
野菜は健康に良さそう、でも菜食主義者(vegetarian ベジタリアン)となるとちょっとねえ、その更に上を行く意識高い系の食生活としてヴィーガン(vegan 「ビーガン」とも言う)があります。
もともとベジタリアンには「vegetarian」と「vegetalian」の2種類ありました。日本語ではどちらもベジタリアンなのですが、vegetarianは肉や魚は食べないけど乳製品や卵などは食べる菜食主義者で、vegetalianは肉や魚はもちろん動物性食品を一切食べない完全な菜食主義者です。RとLの発音の違いでしかないのですが、vegetarianな人たちに対してvegetalianな人は疑問を持っており、vegetalianが略されてveganと呼ばれるといいますか、自らを呼ぶようになり定着したという経緯があります。
ヴィーガンとベジタリアンの中間には数段階のクラスが存在していますが、ヴィーガンを簡単に説明すると絶対菜食主義者です。肉や魚はもちろんのこと、卵や牛乳、さらにははちみつさえ忌避するライフスタイルを送ることです。
「Mortality in British vegetarians: results from the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC-Oxford) 」(PMID: 19297458)では死亡率に関して菜食主義者と普通の食事を摂っているグループでな有意な差は認められませんでした。
「Vegan Diet in Young Children」(PMID: 31991425)という論文は幼児にヴィーガン食を与えることはタンパク質不足、亜鉛、ヨウ素、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB12不足の危険性を伝えています。
カリスマヴィーガンとして有名だった人気YouTuberがこっそり魚料理を食べていることがバレて炎上したこともありました。
ヴィーガンで売り出して築き上げた地位を魚料理食べたさ故に失いかねないほど、肉食は魅惑的であるという意味では中毒性のある食材であるといえるのかもしれませんね(苦笑)。
結論:ヴィーガンはなんらかの宗教的な裏付けや極端な特異体質である場合を除いて、ヴィーガンが健康に良いとの裏付けは全くありません。
グルテンフリーは健康に良いか?
この件に関しては先日「グルテンフリー神
話を読み解くシリーズ」を書きました。
結論:グルテンフリーが病気の予防になったりすることは無さそうですし、グルテンフリーでダイエットができることを明確にしたエビデンスはありません。
「無添加」とは、そもそも何が添加されていないのか?
添加物は身体に良くない、だから無添加の食材を選ぶ、という健康志向の人達がいます。そもそも、無添加との表示は何を添加していないことを意味しているのでしょうか?
例えば食材の腐敗の原因となる微生物の増殖をおさえる役目をはたすのは保存料です。この保存料を意識して添加しない場合は、「無添加」と表示することが可能であると消費者庁の「加工食品の表示に関するQ&A」には書かれています(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/qa/pdf/1208processed_food_all_qa.pdf)。
保存料が使用されていないことは、下手すりゃ食中毒や食材の変性を引き起こす可能性が出てきてしまいます。
なんとなく身体に良さそうな無添加の食材ですけど、「無添加」と表示することに対して2021年3月2日に消費者庁は明確な基準が無く、消費者が惑わされる可能性があることを問題視して見直そうとの動きがでているのです。
産経新聞によれば
消費者庁によると、事業者による「無添加」や「不使用」という表示の仕方によっては、消費者が「添加物を一切使用していない」と勘違いするケースがある。中には、添加物と同様の成分を含む代替食品を使用しているのに「無添加」と表示されている場合もある。
https://www.sankei.com/life/news/210304/lif2103040026-n1.html
とのこと。
結論:無添加と表示されていても、何が添加されていないのか意味不明
謎の言葉「有機ベーキングパウダー」ってなんだ?
今回取り上げた有機パンケーキミックス、グルテンフリーでヴィーガンで無添加と書かれているのですから、どう見ても健康に良さそうです。さらに有機ですからね。しかし、原料名に「有機ベーキングパウダー」というあまり見慣れない物質が表記されています。
あるウェブサイトによると有機ベーキングパウダーとは
有機コーンスターチ、酒石酸(有機ぶどう果汁由来)、重曹だけで作ったこだわりのベーキングパウダーです。
かねこや 「有機ベーキングパウダー」より
あれ、あれっ、酒石酸って食品添加物に指定されていなかったっけ?「食品衛生の窓」という東京都福祉保健局のウェブサイトにはこのように書かれているけど⋯。
さらに重曹ってもろ「炭酸水素ナトリウム」という化学物質じゃん。まあ、どんなものでも化学物質であり、人工的に作ったものだけが化学物質じゃないけどね。
結論:ケミカルフリーが化学物質フリーを意味するなら、それは無理。
オーガニックでグルテンフリーでヴィーガンで無添加であっても、化学物質から逃れることは出来ないようです。そうなると、オーガニックでグルテンフリーでヴィーガンで無添加至上主義にケミカルフリーがプラスされた意識高い系をめちゃくちゃこじらせた方々ってどんな食材でどのような食生活を日々送っているのか非常に気になってきました。
オーガニックでグルテンフリーでヴィーガンでケミカルフリーという自然派をこじらせたグランドスラム的意識高い系の人々を検証したブログ記事をいつか書きたいなあ。