食品ジャーナリストとかフードプロデューサー、食の評論家を自称する方々の特徴はとにかく食品添加物は危険であり、添加物が多量に使用されているコンビニ食は危険な食べ物であることを必要以上に強調することです。
多くの場合がご本人たちがどこかで聞いた話、聞きかじりが元になっていたり、添加物が体に影響する量を計算間違いしていたり⋯本を読み慣れて、日常生活で電卓を使うような人が読んだら「あれっ?」って感じる記事・文章・著作が多く見受けられます。
食品添加物の恐怖を語り、コンビニを目の敵にする食品ジャーナリスト
今回は福島原発事故鼻血事件をお書きになった雁屋哲さんが「美味しんぼ」中で登場させた「食品添加物の神様」である安部司さんのどこが非科学的であり、無用の不安を世の中に撒き散らしているのか、そして何故安部司さんは執拗に食品添加物の危険性を訴えるのか、その理由を考えて見ます。
自称・他称「食のプロ」と呼ばれる方々の著作物です。もっと沢山持っているのですが、表紙がぼろぼろだったりしますので、以前ブログで俎上に載せた本だけ画像をアップしました。関連ブログはこんな感じです
食品ジャーナリスト達は「コンビニおでん」いじめが旬のようです。でも根拠は間違いだらけだよ❗
フードプロデューサーさま、ニセ医学系の健康に関する異説を唱えるなら、せめて1次ソースを調べてからにしてくださいませ。
経歴不詳の食品添加物の神様が食品添加物の危険を訴えるようになったきっかけ
安部司さんのインタビュー記事が東洋経済2009年3月12日(http://toyokeizai.net/articles/-/9927)に掲載されていました(ちょっと古すぎかなあ)。この東洋経済オンラインは私も寄稿したことがあるのですけど、寄せられたコメントの酷さに今は寄稿を控えています。だって、自称産婦人科の人が私が漢方薬の隠れた危険性を書いたところ「専門家じゃないくせに」と批判するんですもん、あんただって漢方の専門家じゃないじゃん、と言いたくなってしまいました⋯あまりにもレベルの低い知識・情報を裏付けとした批判に晒されると結構萎えます(涙)。
本題に戻りますね。この食品添加物の神様は東洋経済では食品ジャーナリストとしてインタビューに答えています。
一例を挙げれば、ファストフードは添加物がないと商品自体ができない。ただ、ファストフードがもたらす問題は、カロリー過多の栄養失調だけではない。排出する石油製品のゴミの量はすごい。コンビニの廃棄する弁当についても、エネルギーロス、環境負担についてきちんと考えないといけない。
前掲サイトより 食品添加物の危険性から今では地球環境問題まで、ご高説の範囲が広がっているようです。
食品添加物の危険性を訴えながら、ファストフードの害を教え、地球環境問題まで語るグローバルな知見は多くの無邪気な地方自治体や意識高い系の子育てママ(意識高い系は決して意識は高くない、という法則も有志の間では囁かれていますけどね)に受けが良いことが推察されます。さらに安部司さんは
講演などで質問を受けると五つのうち三つは、では安部さんはなにを食べているのか、あるいは自分たちは何を食べればいいのかということだ。それは、安全性からいって、日本の伝統食品、継承食品しかない。3世代を経ているものを絶対安全とするならば、人間では100年経なければならない。それなら伝統食品。いわば人体実験も終わっているし、自然に育まれて生み出された伝統食品は、栄養的にも理にかなっている。
前掲サイトより とおっしゃっています。ここで素朴な疑問があります。
1:安部司さんが食べているものは果たして医学的見地から健康になれるものであるか?
2:日本の伝統食や継承食は本当に安全なのか?
3:三世代経た食べ物は安全なのか?
1:ミランダ・カーが実践している、をウリにしている美肌法・食事法・ダイエット方法が彼女が本当に全部実践していたらどんなことになってしまうのだろう、とこっちが心配になるくらい溢れかえっています。
しかし、現時点で彼女のライフスタイル・ダイエット法を実践して彼女の容貌になったとの報告は見受けられません(当院独自の調査による)。もしも、安部司さんが食べているとされているものが、健康的であるとのデータあるいは研究があったらぜひご提示いただいきたいと思います。
2:昔はよかった、お母さんが一日中忙しくしていながら作ってくれた「お袋の味」幻想に囚われている人が多く目につきます。日本の伝統食が西洋型の食事より優れている、ってことをおっしゃりたいのであろうと忖度いたしますが⋯そんなことないよ❗って医学論文がありますので、その辺りについては後ほどご紹介しますね。
3:何故三世代経過した食べ物は安全であると言えるのか、それを裏付けるデータや研究結果あるいはレポートがあればぜひ拝見したいです。また文中で「絶対安全」との言葉を使用していますが、それはこのような方々がいつもこだわる「ゼロリスク」のことなのでしょうか?
また、その三世代は昭和の戦前・戦後と平成の三世代なのか、明治・大正・昭和、あるいは大正・昭和・平成なのでしょうか?あるいは伝統を強調していますので江戸時代、さらに遡って縄文時代の三世代100年間を指すのか?
ぜひご教示いただきたいと存じます。
日本食は他国の食事より優れているって本当?
安部司さんが目の敵にしているファストフードは米国発祥のものが多いですし、いわゆる食品添加物まみれの例としてよく使われる食材も米国のものが多いと思います。
安部司さんが日本食・伝統食が優れた食事であると強調するのは特に米国型ヨーロッパ型のいわゆる欧米化された食事のことでしょう。でもね〜、その考えと真逆な医学論文が出ているんだよ❗
PLOS ONEはネットで誰でも読むことができますから、医学系科学系の新鮮な話題にアクセスしたい方はこれからも積極的にご活用ください。
査読付きのオープンアクセスが運営におけるモットーですから、時々早とちりしたあわてんぼうさんの論文も掲載されますのでご注意ください。
この医学論文は日本人研究者のものです。日本人の食事パターンとがんや心血管系の病気との関連性を調べたものです。野菜や海藻や魚を頻回に食している場合、確かにがんや心血管系の病気になるリスクは低くなっていました。実はこの食事、想像以上に塩分が含まれているのですが、心血管系やがんとは無関係だったらしいのです、これは驚きの結果ですね。
それよりも驚きは対象として用意された欧米化パターンでも心血管系の疾患による死亡リスクは低くなっていたのです❗
さあおまちかね
安部司さんの推奨する伝統的日本食(米飯・味噌汁・魚介類)は果たして健康で病気にならない食事だったのでしょうか?
「A traditional Japanese dietary pattern was not associated with these risks」と前述のPLOS ONEの医学記事には書かれています。これって病気になるリスクとは関連性がなかった、と読むこともできますが伝統食が病気になるリスクを減らすとは書かれていません。
ってことは100年の人体実験を経て安全であると強調されている「日本の伝統食、継承食品」を食べることが必ずしも、病気を防ぎ健康であることは証明されていないことになりませんか?
食品ジャーナリストとかフードプロデューサー、食の評論家は海外情報特に新しいものは苦手、ってのも特徴に加えて良さそうです。