医療記事の信頼度、どうすれば正しい医療情報を見つけることができるか?

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自分や家族が病気になった時、その病気の症状や治療法はどのようなものであるかを調べますよね。

昔は「家庭の医学」という本が一家に一冊あったと記憶しています。至急手当が必要と思われる場合は東京なら「#7119 救急相談センター」に相談して、救急車を呼ぶレベルの病状であるかを確認することができます。

医療情報記事の信頼度は何をあてにすればいいのか?

現在多くの方は病気に関する情報をネットで収集していると思います。

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「疾患情報への接触と受診行動との関連実態調査報告」http://www.qlife.co.jp/news/160719qlife_research.pdf

このデータから病気の症状や原因を調べる人が圧倒的に多いのがわかります。しかし、いくつかのキーワードで検索して結果として現れた医療情報が医師の目で見ると、必ずしも正確でないことが多々あるんです。

では、どのような医学情報を正しいものと判断するか、この問題に関して考えてみます。

医師が監修しているから正確で安心は本当でしょうか?

昨年大騒動となったWELQの件以来、医療情報サイトで「医師が執筆」「医師監修」と表示されているサイトが増えました。医師が執筆しているのなら、名前と所属が明確であるならばそれなりの覚悟で書いた記事であり信頼度は高いと思われます。

医師監修となると微妙です

「監修」の意味は大辞林によれば「書物の著述・編集などを監督すること」となっています。さらに「監督」の意味は「取り締まったり、指図をしたりすること」や「法律で、人または機関の行為が、その守るべき義務に違反していないか、その目的達成のために適当か否かを監視し、必要なときには指示・命令などを出すこと」とデジタル大辞泉では説明しています。

守るべき義務を監視して、必要に応じて指示・命令を出す重要な役目が「監修」という仕事です。

医療記事の多くはライターさんが原稿を書いて、監修する医師に提出してチェックしてもらう流れが一般的です

ということは監修した医師は記事に間違いがあれば訂正するように指示を出すか、あるいは自分で記事を書き直す必要がありますよね。果たして全ての医師監修と書かれた医療記事が正しい医療情報か疑問が残ります⋯だって、医師監修となっている医療記事といいながら、医師だったら当然知っているはずなのに間違っている情報が目立つんだもん。

第三者機関に記事をチェックしてもらっていれば正しい医療情報か?

医師の間でも多種多様な考え方があります。そこでどの医療記事が正しい情報かを第三者機関に判定してもらい認証するシステムがあります。

例えばHON(Health On the Net Foundation)という組織があって、ここは日本語のサイトにも認証を与えています。その基準は

1、Authority(健康アドバイスは、専門教育を受けた者が提供すること)
2、Complementarity(医師と患者との関係をサポートする範囲までの情報で
あること)
3、Confidentiality(個人のプライバシー保護を遵守すること)
4、Attribution(必要なリンクの提示、最終更新日の表示をすること)
5、Justifiability(偏りのない公正な情報を提供すること)
6、Transparency of authorship(コンテンツ制作者の連絡先やユーザー
サポート先を表示すること)
7、Transparency of sponsorship(スポンサー企業がある場合は明確に表示
すること)
8、Honesty in advertising & editorial policy(広告とオリジナル情報の
区別、広告ポリシーを提示すること)

http://www.healthbizwatch.com/mailmagazine/unique/70.html

これだけで医療記事が正確であり信頼できると判断できるのか非常に、疑問が残ります。

だって記事の内容を精査していない様子なんだもん

認証を与える機関に医学に詳しく日本語で内容をチェックしている人がいるのか不明です。

テレビとかでネットに詳しい人が勧めるサイトだから安心?

奥様向け情報バラエティ番組でも海外の面白い動画を紹介していますよね(若者が見たらそんなのとっくにネットで見たよ的なやつ)。ニュースを織り込んだ情報番組とかで、いかにもネットリテラシーが高そうな方がネット情報の正しい利用法を解説していたりします。

しかし、こんな例もありまして⋯それもWELQ騒動の後に書かれています

http://www.rich.co.jp/ より

婦人向けの雑誌で信頼できるヘルスケア情報として紹介しているサイトも、甚だ疑問があることはここ数日のブログで書いてきました。別に特定のサイトに恨みがあるわけじゃないのですが、様々な健康関連キーワードで検索すると上位に表示され、目立っちゃうんだもん。

大学病院や研究機関、政府機関の健康情報を優先するという意見もある

医療情報は「go.jp」や「ac.jp」「or.jp」がつく医療機関や省庁のサイトを検索エンジンは優先して上位表示するべき、との意見もあります。

でも、これも問題があります。というのはネットの世界って自由であることが重要だと思いませんか?多種多様な意見を見ることができるのがネットだと考えています。

上記のようなドメインが優先されると私のブログなんて、はるかかなたに吹っ飛ばされてしまいます。

ネットで広告収入を得るビジネスモデルを行なっている業者さんに求められるのは「モラル」です

最低限のモラルを守らない限り、結局は自分の首を自分で締めることになると思う、今日この頃です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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