全ての人にオーガニックな暮らしを送って欲しい、って考えで運用されいる「IN YOU」というサイトがあります。
本記事の内容
子育て中の母親を標的にした「IN YOU」、頭が良くなる食材なんてあるのか?
まあ「IN YOU」は、いわゆる意識高い系御用達と言って差し支えないでしょう。あっ、ここで私的な解釈を前もって言っておきますと、意識高い系と意識が高い人って全く別物だと考えています。意識の高い人のライフスタイルを送りたい願望をがある人が「意識高い系」。意識高い系の人の動きを見るとかなり滑稽です。
「IN YOU」の記事の一つに「子どもの脳は3歳までに8割が完成!頭の良い子を作るための健脳食材リストを作成しました」ってのがありまして、これがやっぱり予想を裏切らない内容なんです(https://macrobiotic-daisuki.jp/kennousyokuzai-46211.html)。
この「IN YOU」に記事を投稿している人はオーガニックスペリャリスト、オーガニックセルフセラピストとかの名称を名乗っていて、基本的な考え方はオーガニックでナチュラル、ケミカルフリーってことですね。そのオーガニック自体の定義も曖昧だし、オーガニックって国によって基準が違っているなんてことは無視して、記事を専門家と称して書かれていると私には感じられます。できれば、スペシャリストさんは、これでも前もって読んでから書いて下さいね→オーガニック流行りですが、そもそもオーガニックの意味や定義を知っていますか?
では、どうしたら自分の子供が頭の良い子になれるかとお悩みの子育て中ママをターゲットにした、この記事を吟味してみましょう。
子供の脳は3歳までに8割完成する、その根拠はなんですか?
3歳までに8割が完成するという脳、これって脳の機能なのか脳の構造なのか、それとも⋯脳の重さとかだったりしませんか?オーガニックスペシャリストの方によれば
私たち人間の脳は3歳までに80%完成し、6歳までに90%、12歳までに100%完成する事が分かってきたためです。
https://macrobiotic-daisuki.jp/kennousyokuzai-46211.html
続く文章に「中枢機関」とありますが「中枢器官」の間違いであることは敢えて読み流します(かなり大人の対応ができるようになった私って偉い)。
子供の脳の重量は生まれたばかりの赤ちゃんが400グラム程度、3歳で1100グラムくらい、大人で1400グラムです(もちろん個人差あります)。1100を1400で割ると、0.786になるんで四捨五入すると、IN YOUのスペシャリストの方が主張する「脳は3歳までに80%完成」は正しいですね。でもね~
脳の重さ自体で脳の機能や頭の良さを判断するのは危険だよ
天才アインシュタインは1230gグラムで平均でどちらかと言えば軽い方であることは広く知られています。一方、Cuvierという解剖学者の脳の重さは1861グラム (慶應義塾大学解剖学教室による)と巨大重量ですけど、多分だーれも知らない人。アナトール・フランスの脳の重量はたったの1017グラム。ってことから脳の重さは頭の良さとは関係ないと考えて間違いないでしょう。
「IN YOU」に寄稿している人たちって、かなりある一定方向の思考を持っているようで、ちょっと不気味です。
まあ、幼児の早期教育を強く訴える内容の記事で溢れかえっている「IN YOU」なんで、頭の良さとか脳の機能が3歳までの食事で決まる、と言いたいのでしょうね、多分。じゃあ、脳の機能や能力が3歳までに決まっちゃうとのエビデンスを示してよ。
子供の脳が元気になる健脳食材、ってなんだ?
「IN YOU」によれば、子供の脳が元気になるブレインフードってものがあるそうです。脳血管関門(blood brain barrier)についても触れています。血液脳関門の働きは人体にとって害のある物質を脳に到達させないことです。もちろん血液脳関門を通り抜けちゃう有害物質もあります。例えばオーガニックでナチュラル、ケミカルフリー方面の方が目の敵にする「薬」あるいは重金属の一部です。この方はこんなこと書いています。
脳血管関門を通過できるのは酸素、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸、また、ある種の脂溶性物質だけ
それに続いて脳に良い食べ物として
健脳アイテム1:ブドウ糖 + (ビタミンB1 + ビタミンB6や葉酸など)= 玄米
あれあれっ、ビタミンB1 もビタミンB6葉酸も水溶性のビタミンだぜ❗
すぐ前に脳血管関門を通過できるものの一つとしてある種の脂溶性物質だけ、って書いておきながら。
大丈夫でしょうか?オーガニックスペリャリストさん❗連続する文章で矛盾すること書いちゃって・・・ご自分で書いたこと忘れちゃったの?
健脳アイテムの一つ「コリン」なんですけど⋯
大豆から蛋白を摂取することは、動物性タンパクに偏りがちな食生活を健康的にすることに間違いありません。
なぜかオーガニックでナチュラル、ケミカルフリーな方々は発酵食品がお好みです
この記事でも納豆が登場しています、こんな取り上げ方で。
納豆には記憶力、学習能力を高めるレシチン、脳内の神経伝達物質の合成を活発化(脳の働きの活性化)するタンパク質、脳の神経伝達物質の材料となるコリン、が豊富。
話が長くなるので「コリン」に絞って考えますね。このコリンを含むサプリメントが出回っています。宣伝文句としては「脂肪を燃焼する」「高血圧を予防する」「動脈硬化を防ぐ」ってあんばいです。一部で認知症にも有効との報告もありますがコリンは経口摂取での有効性は認めらていないことが医学論文「Alzheimer disease: lack of effect of lecithin treatment for 3 months」(Neurology. 1981 Dec;31)になっていますし、アルツハイマー認知症の進行を抑える効果もないことが「Failure of long term high-dose lecithin to retard progression of early-onset Alzheimer’s disease」(J Neural Transm Suppl. 1987;24:279-86)という医学論文として発表されています。
さらに自称なんとかスペシャリストさんは
コリンは水溶性のビタミンの一種で、脳内の神経伝達物質アセチルコリン(記憶力と学習能力に大きく関係する)の材料。
って語っているけど、
そもそもコリンってビタミンじゃねーし❗
コリンが認知症に有効である、という話をどっかで聞いた著者がそれなら子供の頭も良くなるんだろうというヘンテコなロジックを使って、コリンを頭の良い子にする食材の一つと考えた模様(笑)。
おまけ:最近、飛ばしまくっている医師監修の「ヘルスケア大学」でもコリンについて記事になっています、間違ってるけど
追記:このブログは昨年書いたもので、以下のおまけは当時のものであり現時点では内容が変わっているかもしれません。できればスルーしてください(2018年2月16日 13:07)。
やぱり燃焼系として扱っていますが、これは読み流します。コリンは、水溶性ビタミンB群の一種という間違いも読み飛ばします(IN YOUもそう書いてあったっけ、ひょっとすると⋯突っ込まない私、スッゲー大人の対応ができるようになった)。下の方に「コリンを過剰に摂取した場合の副作用は今のところ確認されていません」って書かれているのですが
コリンはしっかり副作用があるよ❗医師の監修を受けたヘルスケア大学さん
FDAがこんな声明をだしています。「Nutrient Content Claims Notification for Choline Containing Foods」(www.fda.gov/)によれば
The critical adverse effect from high intake of choline is hypotension, with corroborative evidence on cholinergic side effects
大量摂取によって低血圧が起こり、これは重大な副作用だよ、ってことが書かれているんです。まあ、通常の食生活で副作用がでるほど大量にコリンを食べることはないでしょうけど、医師監修あるいはオーガニックスペシャリストが書いた医学系記事を真に受けるのはいかがなものでしょうね。
「IN YOU」と「ヘルスケア大学」これからも目が離せません。この両者ネタ、まだまだ続く予感。