花粉症の漢方薬、主成分の漢方は必要ないんじゃない⁉

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以前某東洋経済に漢方薬である葛根湯は妊婦さんが安易に服用するべきじゃない、との記事を投稿したところ「お前は産婦人科じゃないじゃん」「お前は漢方のプロじゃないのに」という多くの批判を浴びました。第二のWELQか、と焦りまくった東洋経済の編集長及び編集者の方、ご心配をお掛けしました。

でもね~、開業医って専門分野はウリにはしますが、基礎的知識としてそれくらいしっている、あるいは知っていなければいけないんだけどね。なぜそんな炎上系の記事を書いたかというと、漢方薬 = 副作用が無く安全、というわけではないことを伝えるためでした。

漢方薬に詳しい方、ぜひご教示くださいませ(棒読み)

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「花粉症の薬 現役薬剤師が語るその全て」(http://www.deji1.info/naifuku/honobien.html)

そのときにめっちゃ私を批判してくれた方にぜひお尋ねいたします。

市販薬であり、漢方薬を主成分としている花粉症治療薬「ホノビエン錠」にトッピングされている「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」はこの薬においてどんな働き・役目を担っているのでしょうか?d-クロルフェニラミンマレイン酸塩単独でも、花粉症に効果あるんじゃないの???

漢方薬になぜ西洋薬をプラスする必要があるんだ?

d-クロルフェニラミンマレイン酸塩って第一世代抗ヒスタミン薬と呼ばれている西洋薬です。スタンダード医療嫌いのナチュラリストさん達が「化学成分」「合成された化学薬品」と目の敵にしているものですね(笑)。

一方、西洋薬を嫌った漢方薬ファンの方が花粉症の薬に対する評価は「漢方薬は眠気が来ない」というのがあります。眠くなりにくい漢方が主成分である花粉症の薬「ホノビエン錠」にd-クロルフェニラミンマレイン酸塩が成分として含まれていることをご存知なんでしょうか?d-クロルフェニラミンマレイン酸塩の有名かつ代表的な副作用が「眠気」なんですけど⋯。

主成分の漢方が十分に効果あるのなら、この成分は必要ないじゃん❗

との素朴な疑問を抱いてしまいました。さらにさらにd-クロルフェニラミンマレイン酸塩による眠気の副作用への対抗策としてか、無水カフェインもトッピングされているんです。

一日の服用量ってポララミンと同じだぞ❗

近年は第一世代抗ヒスタミン薬の眠気という副作用を少なくした第2世代の抗ヒスタミン薬が花粉症治療の主役となっています。第一世代のポララミンの使い方としては、第2世代の抗ヒスタミン薬だけでは効果が弱いときに頓服として服用してもらっている処方を多く見受けます。

漢方が主成分のホノビエン錠は一日9錠飲む必要があります。その9錠に含まれるマレイン酸クロルフェニラミンの量は9mgです。一方、眠くなるので最近はあまり使わなくなったポララミンは1錠中にd-クロルフェニラミンマレイン酸塩が2mg含まれています。1日1~4回服用することになっています。最高量の4錠を服用した場合、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩の総量は8㎎。ホノビエン錠で花粉症をコントロールすることは、ポララミンを服用する以上の効果があって当たり前になります。

漢方だけじゃ効果ないからd-クロルフェニラミンマレイン酸塩とか入れたんじゃない疑惑

ホノビエン錠の成分は添付文書によればこのようになっています。

ケイガイエキス27.5mg 、 サイシンエキス36mg 、シンイエキス70mg 、ビャクシエキス60mg
、カンゾウ末900mg 、ショウキョウ末100mg 、無水カフェイン・90mg マレイン酸クロルフェニラミン9mg

漢方は主成分であり、西洋薬はほんの付け足し程度であることに間違いはありません。でも、それは含まれる重さによるものであって、実際に効果を発揮しているのはマレイン酸クロルフェニラミンであるような気がするのは私だけでしょうか?

しっかりと薬剤師さんの話を聞いてから購入しないと、思わぬ副作用に悩まされることもありえます。また、漢方が主成分と思っていてもそうではない場合もあるわけです。

追記 「ホノビエン錠」は現在「ホノビエン錠deux」しか販売されていないようです。ホノビエン錠にはマレイン酸クロルフェニラミンが含まれていて、「ホノビエン錠deux」にはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれています。「d」が付いているか、いないかで薬効に違いがあります。「ホノビエン錠deux」に含有されているd-クロルフェニラミンマレイン酸塩は4.5㎎ですので、ポララミン約2錠分相当になります。御指摘いただきました方に感謝をするとともに、訂正させていただきます。
2017年3月29日 15:39

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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