果物を食べてアレルギーが出る人がいます。リンゴ、モモ、サクランボ、イチジク、キウイフルーツ、メロン、パイナップル、トマトといった果物・野菜でアレルギーが出てしまう人、ご自身がそうでなくても身近にもきっといらっしゃるはずです。
本記事の内容
果物アレルギーと口腔アレルギー症候群との違い
アレルギーはⅠ型アレルギー (即時型) 、Ⅱ型アレルギー(細胞傷害型)、Ⅲ型アレルギー(アルサス型)、Ⅳ型アレルギー(遅延型)の4種類に分けることができます。
アレルギーといえば国民病ともいえる花粉症ですが、本来花粉症は正式な病名ではなく、鼻に症状が出れば「アレルギー性鼻炎」、目に症状が出れば「アレルギー性結膜炎」と呼びますが、これは即時型(Ⅰ型)に分類されています。Ⅰ型アレルギーの特徴は免疫グロブリンの一つであるIgEが関与しているものです。花粉症以外にも気管支喘息や蕁麻疹やアトピー性皮膚炎が即時型(Ⅰ型)アレルギーで引き起こされる病気です。
一方、口腔粘膜を中心を主な発症部位とするのが口腔アレルギー症候群で、小学生くらいから発症するのですが、大人になってから発症する場合も多く見られます。小さな子供が果物でアレルギーを起こす場合、原因となる果物はバナナやキウイが多く、アトピー性皮膚炎の原因が果物だった、なんてことがあります。
ショックさえ起こす、耳慣れない口腔アレルギー症候群とは
口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome 略してOAS)は主に果物が発症原因となりますが、野菜が原因となる場合もあります。症状としては口がピリピリする、舌や喉が痒くなる、口や舌や喉がしびれるなんてことも起きてしまいます。喉がアレルギーで浮腫と呼ばれる状態になると、呼吸ができなくなり生命を左右しますし、アレルギーの症状の中でも恐ろしい病態である、アナフィラキシーショックを起こすことさえあります。
口腔アレルギー症候群の原因となる果物として、メロン・スイカ・マンゴ・さくらんぼ・桃・梨・リンゴなどまさかアレルギーの原因となるとは思いにくいものがあるので注意が必要です。口腔アレルギー症候群もIgEが関与していますので、即時型アレルギーが口腔粘膜を中心として現れるもの、と解釈して問題ありません。
花粉症の時期に悪化する口腔アレルギー症候群
花粉症といえばスギあるいはヒノキと春の季節ものと考えられがちですが、夏や秋でも花粉症になる方は多数います。花粉症を持病としている方の中にはある果物を食べると口の周りが痒くなる、口の中に違和感というかイガイガ感を感じる方がいるのですが、その場合は口腔アレルギー症候群を強く疑います。
果物でアレルギーが出るのにIgEが関与していることは前に述べましたが、花粉症もIgEが関与しています。花粉症のアレルゲン(アレルギーの原因物質)と果物のアレルゲンの構造自体が似通っている場合、免疫機構の一つとして働くIgEが花粉症で増加していると、その増加したIgEが果物に含まれるアレルゲンと反応してアレルギー症状が出ますので、花粉症の時期は口腔アレルギー症候群が起きやすい季節であるとも言えるのです。
このようにアレルゲンの構造が似ているために、本来のアレルゲンを摂取しなくてもアレルギー反応が起きてしまうことを「交差反応」と呼び、手術用の手袋の原料であるラテックスでカブレル人の中には果物アレルギーがある場合があり、ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれています。
果物のアレルギーがある人はどの花粉症の時期に注意が必要か?
花粉症の原因の植物のアレルゲンが果物のアレルゲンと似通った構造であるために起きてしまう口腔アレルギー症候群。じゃあ、どんな花粉と果物が危ないのか、以下のものに注意が必要です。
- スギやヒノキ⋯トマト
- カバノキ科(シラカンバ・ハンノキ)⋯桃・リンゴ・サクランボ
- イネ⋯メロン・スイカ・トマト・キウイ・オレンジ
- ヨモギ⋯マンゴー・メロン
- ブタクサ⋯メロン・スイカ・バナナ