「釘が錆びないから抗酸化作用がある」ってサプリの実験⋯効果の証明になってないじゃん❗

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またヘンテコなサプリメントの広告を見つけちゃいました。

サプリを入れた水の中では釘が錆びない、水のみの釘は錆びた、だからこのサプリは抗酸化作用がある

こんな三段論法的に有用性を証明(?)しているネット上の広告があります。

小学生でもわかる「なぜ釘が錆びるのか?」

この広告を見て「あああ、本当にこのサプリは抗酸化作用があるんだ❗」って考えて、デトックス効果も兼ね備えたこのサプリを買っちゃった人もいるんじゃないでしょうか?

でもね〜

水につけた釘が錆びない実験って小学生の実験報告で十分説明できます

将来が楽しみな小学3年生の新井れなさんのレポートを使用しながら、このヘンテコな理論のサプリの実験を解説してみますね。

抗酸化作用のたとえとして「さびる」という言葉は使用しますけど⋯

ゼオライトを入れた水の中の釘が錆びない❗という驚きの結果を報告しているのはこれです。

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http://www.reservestock.jp/stores/article/112/1040
一方、小学3年生ながら素晴らしい実験報告を行なっているのがこれ❗

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「どうしてさびちゃうの?」

私が釘の酸化実験によって、抗酸化作用をつよーく主張しているサプリとして、初めて目にしたのはこれです。

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Dr’水素セレブ(http://www.drs-farma.jp/product/)

素晴らしいネーミングですね。

ゼオライト入りのサプリに抗酸化作用があることを証明した、って気持ちになっている大人は小学三年生の新井れなさんに笑われちゃうよ。

水中の釘が錆びる理由はこれ、錆びない理由はこれだよ❗

鉄でできた釘が錆びるためには酸素が関係しています(小学生レベルの理科の知識)。酸素が鉄の表面にくっつくことによって酸化鉄が生じます、これが「錆びる」と呼ばれる現象です。新井さんの実験で

砂糖水→つかっている所でもさびている部分とさびていない部分がある。こげ茶色にさびている。水の色はオレンジ色で一番濃かった。

という記述と

酢 →つかっている所はあまりさびていなかった。釘の上の部分が紙の毛みたいに黒色のさびがたくさんでていた。

があります(前掲「どうしてさびちゃうの?」より)。

この実験は何パーセントの砂糖水であり、何パーセントの酢が入った水であるか表記されていませんが、濃度が高い砂糖水であれば溶液中の酸素が少なくなるために錆びにくくなることが考えられます。一方、酢は新井さんもリトマス試験紙を使用して酸性であることに気づいていますが、本来はアルカリ性の水溶液の方が錆びないはずなのですが⋯・。多分、酢の成分である酢酸自体が錆の部分を溶かしている、とかわいらしい手書きの実験レポートの図から理系のオッサン達は考えるはずです。ちなみにめちゃ濃度の高い食塩水に釘をつけても、理論上は錆びないはずです(水の中の酸素が溶け込む余地がなくなるため)。このゼオライト入りのサプリの実験って釘が錆びない現象は単にゼオライト入りの水溶液はアルカリ性、って証明しているだけの可能性が高いのです。

ゼオライトの本来の働き

ゼオライトは沸石とも呼ばれスッカスカの構造をしている鉱物(ミネラル)です。この構造を利用してイオン交換機能、吸着作用を有していますので、水質の改善やろ過材(熱帯魚を飼っていた方ならご存知でしょう)として使用されています。釘が錆びない実験ですが、このろ過作用によって残留塩素(1PPM以下と定められている)の量を減らした可能性もあります。

先ほどゼオライト入りの水溶液はアルカリ性、って書いてしまいましたが実際問題としてゼオライトという鉱物が水に溶ける可能性は非常に低いのです。となると、このサプリを水に入れるとアルカリ性になっている、と予想されます。実際上、電界水素水・アルカリ還元水・還元水素水と呼ばれている水素水方面のサプリはアルカリイオン水ですからね。

ゼオライトを摂取した場合、どのような作用が人体内で起こるか?

アルカリ性、酸性という表現はその物質を水溶液にした場合、イオンはどうなっているかで決まります。アルカリ性は水酸化物イオン(OH⁻)、水に溶かした場合陽イオンと水酸化物イオンになることを意味するのです(これは小学生には無理)。

ゼオライトが水に溶けることは考えにくいので、イオン交換効果と吸着効果によって水道水をアルカリ性にする可能性はあります。でも、ゼオライトを服用あるいは摂取しても、体内の細胞や水分がアルカリ性になることはまず考えられません。

いくら水素水を摂取しても、その水素によって体内の抗酸化作用を抑えることはありえないと考えて問題ないです。国民生活センターが水素水業者さんに対して改善を求めた件は多くの方がご存知だと思います(国民生活センター 水素水関連(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html))

このようなことが書かれています。

水素水には公的な定義等がなく溶存水素濃度も様々です。また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは、現在のところありません。

「消費者へのアドバイス」

効果・効能を書いちゃうと薬機法に触れるので、ゼオライトと水素を含有した活性酸素除去水素サプリやDr’s水素セレブはいかに抗酸化機能をユーザーに伝えるか、苦労を重ねて「水につけた釘が錆びない」との表現を使用したのですね。

ちなみに簡単にアルカリ性の水溶液を作る方法があります。重曹を水に溶かせば弱アルカリ性になりますので、数万円を水素水+ゼオライト入りのサプリに消費するより安上がりです。重曹水を飲んだら抗酸化作用がある、ってわけにはいきませんけど⋯。小学三年生の新井れなさん、次は重曹水で実験してみてくださいね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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