ヘルスケア大学という医師が執筆あるいは監修したとされる健康情報サイトがあります。ウェルク問題で信頼度の低い医療情報サイトは自主的に消滅する運命だと思っていたのですが、ヘルスケア大学は粘りますね〜。
実は初期のヘルスケア大学には私も記事を投稿したり、監修を手伝ったことがあります(無報酬)。
時を経るとともにページ数増加目的なのか、雑な医療情報、非医学的・非科学的な内容が増えたために現在では協力を辞退しております。姉妹サイトとも言える「スキンケア大学」ではこんなことさえつい最近まで行われていました⋯スキンケア大学、ホメオパシー化粧品を認定して大丈夫でしょうか??
本記事の内容
医師が監修しているとのヘルスケア大学の水素水の話が怪しげ⁉
未だにヘンテコな医学情報満載の医療情報サイトのヘルスケア大学ですが、このような記事を掲載して大丈夫なんでしょうか?縁が切れたといえ、いっときでも関わったサイトの今後が心配でなりません。
ヘルスケア大学参画ドクターが監修って何?
まず、この水素水をお風呂に入れたと思われる「水素風呂」の効果・効能の検証は置いといて、「ヘルスケア大学参画ドクター」という謎の文言は何を意味するのでしょうか?以前監修を行った医師がWELQ騒動によって協力解消をしたため一時的対応、あるいは責任の所在を複数の医師に持たせるためにそのような記載になったのか?
スッゲー悪意を持った考え方だと、外注あるいは社内で記事を書いたけど、監修する医師が見つからなかった場合もあり得ますよね
そうなるとヘルスケア大学の記事も実はWELQ方式の寄せ集めの可能性も出てきますから、ヘルスケア参画ドクター、って書き方は改めた方がよろしいかと老婆心ながら書き添えておきます。
では、水素風呂の効果について検証していきますね。
水素の分子は非常に小さい(ナノレベル)ため、他の物質では入り込めない細胞の隙間にまで入っていくことができます。
まず、これにかなーり違和感をお持ちになった医療関係者、理系うるさ型オッサン多数と予想します。
何でもかんでも分子量が小さけりゃ、細胞の隙間から体内に入るのでしょうか?万が一、水素分子はナノレベルなんで細胞の隙間から体内に入り込んだとして、その水素が血中に取り込まれて血流として全身を駆け巡るらないと人体に効果はないと思うんですけど⋯。そんなこと、ちょっと考えれば不可能ってわかるんじゃないでしょうか、だってこの記事は肌呼吸によって水素が皮膚から吸収されて、全身を駆け巡るという不思議な理論によって、水素風呂の効果を説明しています。
ところで「肌呼吸」ってなんですか?(笑)
これに続く文章では「皮膚呼吸」という一瞬医学用語っぽい話が出てきますが、これも怪しげです。
だって
人間って皮膚呼吸なんかに全く頼っていませんもの❗
人間はカエルやサンショウウオじゃないので、呼吸は肺を中心に行っています。「皮膚呼吸」って化粧品業界の一部が使用している言葉であり、肌が厚く体自体が大きくなった人間が皮膚呼吸に依存していたら、即酸欠になりますもんねー。
もっともらしく参考文献を記載しているけど⋯
記事の最後に参考文献として水素の医学的効用を研究されている太田教授の論文が記されています。参考文献を引用したヘルスケア大学の記事には以下のように記載されています。
皮膚呼吸によって体内に入り込んだ水素が全身に巡り渡るまでには、約7分と言われています。ですので、水素風呂の効果を得るためには、ぬるめの温度で10分以上を目安に入浴する必要があります[1]。
http://www.skincare-univ.com/article/006594/
まず、太田教授の論文は皮膚呼吸で全身に巡るために7分必要なんて言っていませんし、水素ガスが全身に行き渡るのに10分と書かれています、さらにこのデータは「論文としては未発表です。」とも記されています。
9.2. Hydrogen Bath H2 easily penetrates the skin and distributes throughout the body via blood flow. Thus, taking a warm water bath with dissolved H2 is a method of incorporating H2 into the body in daily life, especially in Japan. It takes only 10 minutes to distribute throughout the whole body, as judged by measuring hydrogen gas in expiration (unpublished results) .
「Recent Progress Toward Hydrogen Medicine: Potential of Molecular Hydrogen for Preventive and Therapeutic Applications」 (Curr Pharm Des. 2011 Jul; 17 (22) : 2241–2252.
皮膚呼吸で吸収された水素が全身に行き渡るのに7分と書いた、その直後に水素風呂の効果を得るためには10分必要ってなんなのでしょう(笑)。
太田教授のせっかくの研究成果をこのような形で利用して、いかにも医学論文の裏付けがありまっせ的手法に惑わされてしまう一般の方は多いのではないでしょうか?
ちなみに私は水素水自体をこのように考えております⋯素朴な疑問「水素水って健康によいのですか?」には「いいえ、あなたが期待している効果はありません」とお答えします。
どう見ても入浴することによって、皮膚呼吸を利用して水素が体内に入ると解説しているじゃん
ヘルスケア大学の水素風呂の記事では、普通の呼吸によっても水素が体内に入り込むことも書いていますが、少なくとも強調したい点は「水素風呂」+「皮膚呼吸」と読み取れます。水素ガスが人体にある程度の影響を及ぼすことに対しての研究は今現在も多数行われています。しかし、多くの研究は直接水素ガスを吸入するものです。水素水自体の効果・効能も多くの疑問点が指摘されています。皮膚呼吸が人体にとって本当に大きな影響を及ぼすのであれば、このような現象が認められるかもしれません。
でもね〜、皮膚を通過して空気は体内に入り込まないし、皮膚って基本的には汗とかを排出する働きを担っているし、外から安易に異物が入り込まないように防御しているし、人体の形を維持しているだけなんだけどなあ⋯。水素風呂で効果があった、という人の皮膚の構造ってスッカスカなんでしょうかね?