NHK「あさイチ」市販薬の長期連用問題の問題点と疑問点

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NHKの朝の情報番組「あさイチ」は医師の間では評判の悪くない、高評価であることが多い番組だと認識していました。

しかし、「今こそ気をつけたい!身近な薬とのつきあい方」とのタイトルの放送内容をチェックしたところ、疑問やこの話はどう解釈すれば良いのかという問題点が気になってしまいました。

できるだけ医療機関を受診しないように話を進めているのか、それとも、病気のときは必ず医療機関受診をするように話を進めているのか、どっちつかずの番組に感じてしまいました。

私は以前から様々な市販薬の問題だけではなく、医療に関する問題を一気に解決する方法もあるにはあると考えています。

市販薬を長期連用することによる問題点の問題

鼻炎薬・皮ふ用薬・せき止め薬・睡眠改善薬の避けるべき長期連用は次のように「あさイチ」では説明しています。

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https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/201223/1.html

冬の時期にいちばん必要とされている風邪薬の長期連用について考えてみます。一番売れているのは大正製薬のパブロンゴールドAとのことなので、この市販薬を例とします。多くの方は市販薬の場合は箱の外書きの説明くらいは読むでしょうけど、なかに入っている添付文書とよばれる薬の詳しい説明までは読むことは稀なんじゃないかな(そりゃそうですよね、風邪で調子悪いのに細かい字がびっしりの添付文書を読む余裕は無いですから)。

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https://www.catalog-taisho.com/explanationbook/04515_Explanation1.pdf

パブロンゴールドAの添付文書はさらにもう一枚あります。風邪薬はそれなりに服用時に注意が必要だからだと思われます。

添付文書にも「長期連用はしないでください」と使用上の注意に赤文字で書かれています。しかし、具体的に何日服用を継続すると長期連用になってしまうのかについて詳細は書かれていません。ちなみにパブロンゴールドAは28包入と44包入が販売されいるので、1日3回服用すると7日間から14.7日(なんでこんな中途半端な包装になっているんだ?)と判断してしてしまいそうですね。

具体的にどの成分が市販薬の連用で問題となる依存症の原因になるのか?

パブロンゴールドAの成分表を見て、気になる成分は「ジヒドロコデインリン酸塩」と「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」です。

ジヒドロコデインは医師が処方することもある薬ですが、規制区分としては「麻薬」に分類されています。ということから、長期連用することによって依存症になってしまう可能性あるから危険なんですね。麻薬に分類される薬を処方する場合、医師であっても麻薬施用者免許が必要です。

もう一方の気になる成分であるメチルエフェドリンは覚せい剤の原料であるエフェドリンの仲間なので、やはり長期連用は避けるべきですし、ある操作によって⋯以下自粛。

市販薬と言えども、長期連用が問題になることはよーく理解できました。でも、依存や乱用問題は除いた長期連用の注意点というか問題が私には理解できないのです。

鼻炎の場合、一週間以上で長期連用となると花粉症の人はどうするの?

長期連用の依存症の問題は理解できたとして、ここからが本題です。春先は花粉症が持病の人にとっては辛い嫌な季節ですよね。そのシーズンに花粉症で悩まされないためには、風邪薬のCMじゃないですが、早め早めに薬を服用しだすことが良い、と考えられてます。スギ花粉の季節は2月から4月なので、数カ月間継続して花粉症の薬を飲む必要があります。

実は花粉症という病名は保険診療上は使わないことが推奨されている病名で「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」なのです。例えば花粉症の処方薬として有名だと思われる「アレグラ錠60mg」の適応症としては、アレルギー性鼻炎・蕁麻疹・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)であって「花粉症」とは書かれていません。

花粉症=アレルギー性鼻炎と考えた場合、市販薬で花粉症の症状を抑えることは不可能ということになりますよね、だって鼻炎の薬は一週間以上服用すると「長期連用」になっちゃうのですから⋯。

例えば市販の鼻炎薬「アレグラFX」の長期連用問題って何?

風邪薬は麻薬や覚醒剤に近い成分が含まれているために長期連用は問題になりますし、風邪をこじらせたら肺炎になりかねませんし、風邪と自己診断していても実は他の病気であることもあるので当たり前です。

しかし、花粉症の治療として鼻炎の市販薬を一週間以上連用することがなぜ問題となるのか私には理解できません。

処方薬のアレグラは市販薬としても販売されています。アレグラの市販薬であるアレグラFXの添付文書には「長期連用」に関する文言は一切書かれていないんだけどなぁ。

このようなことが書かれています。

1週間服用しても症状の改善がみられない場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。また、症状の改善がみられても2週間を超えて服用する場合は、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。

まあ、1週間服用しても効果が無いなら、薬が合わないか自己診断違いの可能性が高いので理解できます。でも、効果があってもなんで2週間以上を超えて服用する場合は医師や薬剤師に相談する必要があるの?

財政難に悩まされている健康保険組合連合会は2019年に花粉症の薬は健康保険の適用から外すことを提言して、ニュースになりました。つまり花粉症の人は医療機関で処方されるアレグラは健康保険は効かないから、市販薬であるアレグラFXを買ってね、ってことです。

すべての問題が一気に解決、私が本当に訴えたいことはこれ❗

世界的にマスク不足が大問題となった2020年です。台湾ではマスク購入の際に買い占め防止、平等に購入できるようにするために日本で言うところのマイナンバーカードが必要だったそうですね、長期連用による依存症や乱用問題はもちろんのこと、病歴やお薬手帳や受診歴もマイナンバーカードに含めちゃえば多くの問題が一気に解決、あるいは防ぐことが可能になると私は強く強く考えてしまうのでした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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