子宮頸がんワクチン接種をめぐる問題点をテレビ等の報道でご存知の方も多いかと思われます。
私はほとんどのワクチンに関しては積極的に摂取するべきと考えているのですが、子宮頸がんワクチンの副反応で苦しむ方を見てしまうと、子宮頸がんワクチンの効果云々以前に行政及び医療関係者がもう少し検討しておくべきかなあ、と常々考えていました。
本記事の内容
昨日まで読むことができた「子宮頸がんワクチン」記事が突然削除❗
数日前に医療や健康、介護問題を扱った一般の方でも見ることのできる、「yomiDr.(ヨミドクター)」で子宮頸がんワクチンはどのように取り上げられているかを知るためにチェックしていました。
その中で「第2弾 子どもにワクチンを打つ小児科医の立場から」とのタイトルで長崎大学小児科学教室主任教授(感染症学)森内浩幸氏が積極的に子宮頸がんワクチンは接種するべし、との記事、これは多くの医師が感じてはいるけど、副反応被害者の方のことを考慮すると言いにくいんだよね的な意見を淡々と述べているのが印象的でした。
2016年12月28日の診療前に見つけた記事なので、昼休み中にでもゆっくり読もうと思っていたら⋯
こんなことになっていたのです❗例のDeNAの健康情報サイトWELQ(ウェルク)問題以降、メディアが医療記事に対して非常にナーバスになっていることは知っていました。
しかし、レガシーメディアである読売新聞が運営するウェブサイトでありながら、突然の削除となると、当然なんか問題あったの?と考えてしまいます。削除あるいは非公開、あるいは公開が終了?した記事のどこに問題があったのか、少々検討して見ますね。
間違った引用によるデータや数字が原因で削除?
医療モノの記事を書く場合、信頼度の低い一次ソースやもともと間違った解釈をしている論文を元にしてしまうと、当然間違った結果の医療記事になります。今回、森内浩幸氏が数字や疫学の間違いをしていたなら、一時的にウェブページを非公開として、推敲し直して公開という流れでも大きな問題にはならないはずです、もちろん事実誤認があったことも明記する必要はありますね。
先生の記事にこのような部分があります。
ワクチンによって予防できる病気で死んでいく大人も毎年200万人近くいて、その死因の第2位はB型肝炎に続く肝硬変と肝がん(年間約60万人)、そして第3位はヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん(年間約30万人)でした
前述の今は見られないページより引用 この数字は世界中のものであり、数字の間違いは無いようです(ちなみに日本に限れば子宮頸がんで亡くなる方は一年間で3000人程度です)。
「ワクチンで救われてきた子供の命」というサブタイトルでは一時期中止されていた百日咳ワクチンによって、多くの人が過去の病気と思われていたのに113名が亡くなったことを伝えてます。
これは副反応の報告が相次いだために1975年に百日咳ワクチンが中止されたことをさすと思われます(三ヶ月後に再開されましたが、接種率は極端に低下した)。その後、やはり百日咳患者さんが1万人以上発生したために、ワクチンの改良とともに1981年に三種混合ワクチンとして再び接種されるようになりました。
森内浩幸先生は3年間で113名死亡と書かれていますが、中止されていた期間(再開されていたけど、極端に接種率が落ちた期間)は約6年間です。「113名」と3年間という数字の根拠を探したのですが、なかなか見つけることができませんでした。多分ラジオNIKKEI2014年2月17日に放送された福岡歯科大学小児科教授の岡田賢司氏のお話を根拠としたと考えられます。http://medical.radionikkei.jp/vaccine/vaccine_pdf/vaccine-140217.pdf このPDFの下の方に「その5年後に113名の百日咳による死亡が報告されました」と書かれいます。
この113名という死亡者、また3年と5年の違いはあとで修正して書き直す(もちろん書き直しましたと明記)すればいいわけで、非公開あるいは記事ごと削除する必要はないと考えます。紙の新聞だって「訂正欄」があるくらいですからね。
表現がキツすぎたから削除?
森内浩幸先生の記事中、私がこれはちょっとねえ、と感じた部分があります。それは
ワクチンによる重い副作用がゼロだと言うわけではありません。でもそれは雷に当たるよりも億万長者になるよりも 稀まれ なことなのです。
と
このワクチンの副作用と称されているものは、ニュースでは非常に大きく取り上げられます。一方、ワクチンが数多くの命を救うことは全くニュースになりません。おそらくその理由の一つは、「犬が人を 咬か んでもニュースにならないが、人が犬を咬んだらニュースになる」という報道の原理が働くからです。珍しいことだからニュースになり、当たり前すぎることにはニュースの価値がありませんから。しかしそのようなニュースが繰り返し目に飛び込み耳に入るようになると、「近頃は、犬に咬みつく人が増えているんだって」というメッセージが、疑いようのない事実として浸透していくのです。
両者ともに今は見ることのできないhttps://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160823-OYTET50014/ からの引用です。
ワクチンによる重篤な副反応の症例の例えとして、雷に当たるより、億万長者になるより、この表現はワクチン接種で何事もなかった人やこれからワクチン接種を受けようと考えている人に対しては説得力があります。
しかし、2016年12月26日のヨミドクターで「子宮頸がんワクチン非接種でも、『副作用』と同じ症状が一定数」(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161226-OYTET50053/)と報じていても、実際に副反応が出ている方にとってはあまりにも冷たい表現に思われます。2016年の年末ジャンボ宝くじは5億枚発行されますので「宝くじに当たる」的な表現は好ましくないと思います。
二つ目のメディアの扱いの表現もちょっと副反応被害者の感情を逆撫でするものと考えます。しかし、常々メディアは悲惨な被害者の方を優先的に取り上げて、実際に副反応被害から回復した方のことは取り上げないのは問題ではないかと感じていました。
子宮頸がんワクチン接種が原因とは言えないまでも、きっかけとして副反応に苦しんでいる方にとっても、回復する人もいるんだよとの報道は治療・回復に対するモチベーションになるのではないでしょうか?
なんの断りもなく削除しちゃうと、WELQと同じになっちゃうかも?
いい加減な医療記事をそれも他のサイトからのコピペ改竄で埋め尽くしたウェルクと比較して、一般的に「新聞」の信頼度は比較にならないくらい高いものです。その傘下にあるヨミドクターはいくらウェブサイトといっても、普通はバックに読売新聞がついているのだから、信頼度が高いと評価されているはずです。
もしも、掲載された記事に事実誤認やうっかりミスがあったら、訂正文を記載して正しい情報を加筆すればいいのではないでしょうか?
削除された、あるいは一時的非公開であっても、その理由を記載しないとあらぬ疑いをかけられます、ってそんな疑いかけているのは私だけ?
注意:今は見ることのできない記事ですが、ウェルクの件以降ブログの参考にする記事は魚拓にしてあります。引用した文章は魚拓からのものです。