朝日新聞系の媒体アエラに掲載されていたトンデモ医療記事に対するブログをまとめてみました。
笑い飛ばせるトンデモさんから深刻な問題含みの危なっかしい記事もあります。医療健康情報は一つの情報源を信じ込むより、いくつかの媒体から情報を収集することをおすすめします。
本記事の内容
アエラのトンデモ医療記事、なんでこんなの掲載しちゃうんだ?
朝日新聞系の週刊誌「AERA(アエラ)」の医療健康情報が気になってしかたありません。朝日新聞といえば、朝日嫌いの人もいれば、朝日は日本の良心だ的評価をする人もいます。思想信条、特に政治的方向性は問わないで、へんなものはヘンと言いたいのが私のポリシーであることをご了承の上読み進めてください。
これは紙媒体のアエラ
そして、これがアエラのデジタル版AERA dot.(アエラ ドット)です。
朝日新聞は「インターネットの健康情報は落とし穴がいっぱい」でこんなことを言っています。
インターネットで情報を調べる人は多いのではないでしょうか。ですが、その情報の信憑性(しんぴょうせい)は玉石混交なのが実情です。
https://www.asahi.com/articles/SDI201907112436.html
もろブーメラン状況にあるのが、朝日新聞系のアエラです。
紙のアエラに掲載されたかは不明ながら、AERA dot.にかなりヘンテコというか、トンデモな電子レンジを使わないと宣言している食の専門家の記事があり、こんなブログを書きました。
この方は食の専門家と称しながら、調理のことを全くご理解されていないようす。電子レンジを使わない理由は、タンパク質が変質するから、なんです。そもそも、電子レンジを使用しないでも熱を通せば食材のタンパク質は変性することを知らないで食の評論家を名乗っているところがちょっと怖いです。ちなみにこの食の専門家はフードプロデューサーなるご職業らしいので、彼がプロデュースしたレストランに行こうと思ったら⋯閉店していました。本業の方もちょっと難があるのでしょうかね?
99%の医師がトンデモ認定しているオーソモレキュラー療法をヨイショ
オーソモレキュラー療法、分子矯正栄養学とか分子栄養学とか呼ばれているトンデモ系ニセ医学があります。オーソモレキュラー療法で有名な治療が高濃度ビタミンC点滴療法です。
99%の医師(実際に調べたわけじゃないけど体感的にはこのくらい、あるいはこれ以上)はこんな治療方法が有効である、特にがん治療としては全く効果が無いばかりではなく、標準治療を受ける機会を損失してしまう可能性がある時間とお金を浪費しつつ、病状を悪化させてしまうリスクを懸念しています。
メディアとして売れる手法として逆張りがあります。特に週刊誌系がよく使うのが標準治療を悪者にして、一般の方々にショックを与える手法です。その典型が患者数が多い生活習慣病の治療、多くの場合薬による治療を否定するものです。
標準治療は数々の症例の積み重ねによって選びに選ばれた治療のエリートです。アエラの血圧はさげるな説を支持しているのは個人の体験談であり、たまたまそのようなことがあると印象に残る認知バイアスの一つである生存者バイアスかかりまくりの記事です。
アエラの記事を鵜呑みにした高血圧の患者さんにトラブルが起きたとしても、「だって、そんなことを言ったお医者さんがいるんだもん」と逃げ道をしっかり確保しているのでしょうね。
スピっているトンデモ大物医師の連載もあります
けっして患者さんを邪険にしているわけでもないし、お金儲けのためじゃなくて、心の底から患者さんのためになると信じて行っている治療方法や治療方針がトンデモということもあります。例えば医学系トンデモ医師の重鎮である帯津良一医師、私はリアルでほんの少々会話をした経験があり、「なんて温厚なお医者さんだろう」と感じました。
しかし、温厚であろうと人格者であろうと、仏様のようなご尊顔になろうと、間違った医学はダメです。帯津先生は偉い偉いお医者さんなんだから、たぶんご自分の患者さんはいわゆるチャンピオンデータなんだと予想されます。帯津先生の治療方針に同意して良好な結果が得られた患者さんにとっては、神様のような存在になったとしても、全く効果がなかった患者さんは黙って先生のもとを去っていることが大いに考えられます。
データを読めない疑惑のアエラ
新聞の記事で社会部や政治部の記者さんが医療健康情報記事を書くと、医療関係者から見るとかなりヘンテコな内容になっている事が少なくありません。科学部あるいは医療班の記者さんがかけばよっぽどヘンテコな思想に絡め取られていない限りは、それなりのまともな医療健康情報記事になるはずです。
3.11後の影響はこれからも厳重に監視されるべきです。しかし、無闇矢鱈と検査をすることは治療の必要がない病気を発見し、無駄な治療をすることになり、患者さんにとってのメリットは少なくなります。
そう言えば、アエラには2020年日本中、世界中で問題になった感染症に関してこんな表現で報道しています。新宿区PCRセンターで「陽性率4割」の衝撃結果⋯桁違いの跳ね上がりに「感染拡大は明らか」と医師・・・いくらなんでも衝撃結果「陽性率4割」とは煽りすぎなのでは?と言わずにはいられない内容なのです。
アエラ、医学系の良い連載記事もあるのに残念です。
メディア、特に新聞の場合は両論併記が原則とされています。しかし、この両論併記は政治で言えば与党を取材したら、野党も取材することと私は理解しています。
もちろん科学や医学でも真っ向から意見が対立することはあっても、どちらの意見も特に科学的手法による検証が行われた医学的根拠が必要なはずです。
トンデモ健康関連記事が目立つアエラであっても、私が楽しみにしている連載が2つあります。
日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授早川智先生の「歴史上の人物を診る」 (https://dot.asahi.com/columnist/profile/series/?series_id=rekishijinbutsu) は毎回毎回わくわくしながら読ませていただいています。歴史は私の少ない趣味のなかの一つです。歴史にIFは禁物としても歴史上の人物がどのような持病になやまされ、どのような死因で亡くなったのか、当時現代医療があればその後の歴史はどのように変わったのか、などの空想を巡らせるのも歴史の楽しみ方の一つです。
京都大学医学部特定准教授大塚篤司先生の「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」 (https://dot.asahi.com/columnist/profile/series/?series_id=kanjatoissyo) は日常の診察・診療に役立つのは当然ながら、大塚先生の人柄に感心しながら読み進めています。
早川先生、大塚先生の連載は一般の方でも十分楽しめる内容です。
面白くて役立つ情報もアエラには連載されています。玉石混交であっても、「玉」が光り輝いていても「石」が多すぎると、メディアとしての価値は、アエラは一見信頼度が高そうな印象があるだけに残念なことになっているのが現状です。悪貨は良貨を駆逐する、この流れが着々と進行していることをアエラとしては余計なお世話なんでしょうけど私は危惧しています。