電磁波を必要以上に怖がる人たちがいます。この方たちの多くが電磁波の定義自体をよくご存知ではない様子。
電磁波を出すスマホによって脳に障害が起こると騒ぎ立てる医師もいれば、Wi-Fiで子供の学力が低下すると主張する議員さんまでいらっしゃいます。
彼ら彼女らがどのように電磁波を理解しているのかは想定不可能ですが、そもそも電磁波やWi-Fiは本当に脳に悪影響を及ぼし学力低下を招くのでしょうか?
本記事の内容
電磁波怖い怖いさんはWi-Fiも怖い怖い
久々の大型トンデモ案件を見つけました❗
Wi-Fi電磁波で学力低下を懸念、市議ら意見交換会
まず、電磁波とは何かを明確にしておく必要があります。電磁波は波長によって下の図のように分類されています。私達が電波と呼んでいるものも、光も電磁波ですし、放射能と呼びがちなX線やγ線も電磁波の仲間です。
Wi-Fiの波長はだいだい10cm ~ 1cmですから、上の図だとセンチ波と赤外線の間に位置します。ではWi-Fiのエネルギーを考えてみます。エネルギーと電磁波と周波数はつぎのような関係があります。
E=hν=hc/λ
Eがエネルギー、hがプランク定数(これは各自調べるように)、νが周波数、cが光の速さ、λが波長です。細かいことは知らなくても、波長が長くなればなるほどエネルギーは小さくなって、波長が短くなればなるほど、エネルギーは大きくなることさえ知っておけば、電磁波怖い怖いがいかにヘンテコであるか理解できます。
文部科学省検定済教科書 高等学校理科用「物理」 高木堅志郎 植松恒夫 編より⋯著作権に問題あったらお知らせください。正しい科学の知識を伝えるために使用したんで、著作権等があっても許してほしいけどね。
上の図の右の方の放射線は怖いですよね、真ん中あたりの赤外線を怖がる人はいないと思います。Wi-Fiは赤外線より波長が長いのでエネルギーは当然小さくなります⋯遠赤外線って身体にいいのよねえ〜、っていっている層がWi-Fi怖い怖いさんとオーバーラップしているような気もしますけど。
以前から必要以上に電磁波を怖がる人たちをウォッチングしております。
これでは電車もおちおち乗っていられません、電車ってでかいモーターで動くので当然電磁波はでまくります。
Wi-Fi怖い、怖いの言い出しっぺの医師のウェブサイトの方が怖いぞ!
東京都新宿区議会のよだかれん議員は次のように述べています。
「大人でもICT機器を使用すると前頭前野の機能が低下するという様々な研究報告がある。小学1年生からの使用で脳の発達への影響は懸念されないのか」
このICT機器を使用すると前頭前野の機能が低下することは2019年2月19日 (火) のNHKクローズアップ現代「“スマホ脳過労” 記憶力や意欲が低下⁉」で取り上げられたことだと予想できます(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4249/)。
クローズアップ現代中でスマホの使用で記憶力や意欲が低下することを伝えているのが、脳外科が専門の奥村歩医師です。ICTと脳の機能低下に関する医学論文を捜索する前に、奥村医師のクリニックのサイトを見つけてドン引きました。
崩れているよ、崩れてる。大丈夫でしょうか⋯たぶん、ホームページ・ビルダーというソフトのかなり古いバージョンをご使用でウェブサイトを自作されたんでしょうね。
奥村先生はこんな感じのウェブサイトもお持ちのようです。
スマホを怖がり、Wi-Fiを拒否するような生活をお続けになっているのかな?でもさあ、先生が注意喚起して受診する人たちって、ネットで検索するよね、スマホやWi-Fiでなんらかの障害が脳に起きてしまっている患者さんがこのサイトを見たら、どうなっちゃうんだろう⋯。
Wi-Fi怖い怖いさんは5Gに対してもこのようなデマを飛ばしつつ信じているようです。
目に見えないものはとりあえず怖がっておくかねえ的発想なんでしょうか?
一級電磁波測定士の資格を持ちながら、電磁波過敏症の発症を怖がる市議さん
加藤やすこさんは電磁波過敏症は短時間でも発症の危険性があることを述べ、それを受けて埼玉県日高市議会の松尾まよか議員は
Wi-Fiのアクセスポイントの位置を児童・生徒から遠ざけた場所に設置する、使用していない時は電源を落とすことを重要な点に位置付けた。
とのことです。
さすが一級電磁波測定士の資格(国家資格じゃない)をお持ちの埼玉県日高市議会の松尾まよか議員、電磁波の影響は距離に反比例することをご理解のようす。でも、この議員さんのプロフィールを見て、ドン引きつつも納得しました。
2011年(平成23) 自然療法家(ホリスティック医療家)の道へ歩み出す
医学界(トンデモのカテゴリー)でホリスティック医療と言えば帯津先生です。
帯津先生のクリニックのウェブサイトによれば
ホリスティック医学とは、からだの部分を診るのではなく、生命ある人間のからだを環境も含めた丸ごと全体としてとらえ、医者と患者さんが一緒になっていのちのエネルギーを高めていくことです
帯津三敬塾クリニック
ヘンテコなニセ医学の影響を受けたためか、この市議さんはこんなことさえ述べています。
はい、はい、わかりましたよ、なんでもかんでも、Wi-Fiが悪いんだよね、電磁波が病気の原因なんだよね。
いのちのエネルギーにWi-Fiは悪影響すると、松尾まよか議員はお考えなんでしょうかねえ。何回も繰り返すけど、Wi-Fiは自然光より波長が長いのですから、エネルギーは当然小さくなるんだけどね。電磁波怖いさん達は、太陽光をはじめ地球が発する電磁波は自然だからよい、という???な反論をしてくるのでしょうけど。
Wi-Fiを怖がりつつ、オンラインで意見交換会
Wi-Fiによる電磁波の影響で学力低下を懸念した市議さん達は意見交換会をなんとオンラインで開催しています。
オンラインってことは電磁波飛びまくりのWi-Fiが整った環境での意見交換ってことですよね(もしも、有線LANケーブルを使っていたとしても電磁波はでます)。
さすがというか、このトンデモ市議さんはオンライン会議のご様子をインスタにアップしているけど、こんな感じです。
Zoomで会議している風景をスマホでカシャっ(笑)、スマホ使ってるじゃん❗
まあ、いろいろなトンデモさんが登場した、「Wi-Fi電磁波で学力低下を懸念、市議ら意見交換会」でした。
常識人、特に若者はWi-Fiがないと通常の生活が送りにくいはずです。そんな私たちの生活に口を出してくる議員さんがこんなトンデモさん達なんです。選挙に行くことはとても大事なことだと改めて考えさせられる案件でした。