多くの人に影響を与える媒体としてネットがありますが、爆発的な影響力はテレビにはかないません。例えばこんな感じの痩せるためのサプリの広告を見たら、どう思いますか?
本記事の内容
なぜ多くの人が全く効果のないサプリを信じ込むか、その手法を妄想してみます
それに続く画像がこれです。
ガリガリに痩せることができるサプリが「NHKスペシャル」「みんなの家庭の医学」で実験が行われ、、サプリの効果が証明されたと多くの方は思い込んじゃうことを、意識して作られたとしか考えられない広告手法です。また商品名も処方薬である「ラックビー」に似ている点は故意なのでしょうか?
腸内フローラのバランスが崩れると肥満になる?
このダイエットサプリは「NHKスペシャル」が腸内フローラがダイエットのコツであるかを放映したように思わせる表現を使っています。NHKスペシャルは腸内フローラと健康の関係を取り上げた番組であり、このサプリのことなんて一切触れていません。信頼度としては民放よりNHKがダントツ、そんな一般の方の誤認識する思考回路を読みきって自分が売り込みたい商品の信用度を高めています。
2015年2月22日にNHKスペシャルは「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」を放映していますし、2015年3月3日に「みんなの家庭の医学」で太らない秘密として、腸内フローラのことには触れています(医療関係者はNHKスペシャルに対して多くは批判的でした 例えば 「腸内フローラ」長寿、ダイエット、うつに影響? NHKスペシャルには疑いの声も)。
でもこれってこの広告ページが売り込みたい商品を取り上げたわけではありません。テレビのバラエティ番組でやってた話題がいつの間にやらNHKで紹介された痩せるダイエットサプリに変貌を遂げてしまうのです。その経緯はこんな感じなんじゃないでしょうか?
腸内フローラが肥満と関係 → テレビで痩せる効果が証明された → NHKスペシャルで効果が実証された
こんな風にデマ的な間違いにどんどん進化する可能性があります。例えば夕方の情報番組で取り上げられた話題を「夕方のニュースでやっていた」って言う人が周りにいませんか?
「NHKスペシャル」であっても専門家から見ると間違いネタを扱うことがありますし、「みんなの家庭の医学」はあくまで医学風の話題を扱ったバラエティ番組と解釈しなければなりません。
情報の質としては
新聞 > テレビ > ネット
と考えますが、拡散力は
テレビ > ネット > 新聞
でしょうから、医学ものを扱うテレビ局は自分ところの番組がこんな使い方をされているんだ、との認識を持っていた方がいいですね。自分たちが主張しようと思っている方向と全く違った受け取り方をさせる手法がネットには、はびこっていますから。
腸内フローラの改善を希望する方に医学的な裏付けがある方法をお教えします
腸内フローラを一気に入れ替える方法として、糞便移植という医学的手法があります。FMT ( fecal microbiota transplants)糞便移植は米国ではFDAの承認を受けるために治験が行われる予定であることを以前お伝えしました。糞便移植治療ってやりたくないな。 集団感染の対策っていわれても⋯。
最近では日本でもこの糞便移植に取り組む医療機関が続々と現れています。
ここでは腸内フローラを確実に改善するための医学的手法として「糞便移植」を試みていますが、目的は「潰瘍性大腸炎」の治療であり、痩せるためじゃありません。しかし、生き馬の目を抜く広告手法を得意とする悪質なサイトが大学病院でも採用されているダイエット法を自宅でお手軽に実現できますと表現したインチキ広告が近々登場するであろうと予想します。
腸内細菌叢の改善で痩せることができるならば、糞便でも飲むことを厭わない方もいるでしょうね、だって以前自分の尿を飲む健康法がありましたもん。なお、糞便移植は自分の糞便を飲んでも意味がないので、よそ様の糞便を飲むことに躊躇する人が多数でしょうから、ポピュラーにはならないでしょうから、そうなると「自宅で簡単にできる腸内フローラ改善方法」としてこのニセ医学広告のようなサプリを選択することになります。
日本で行われている糞便移植は大腸から濾過した液体を注入するものです。潰瘍性大腸炎は決定的な治療法が確立されていない病気ですから、もしもご興味がある方は是非、千葉大学の研究にご協力お願いいたします。
デマ医学情報の拡散を防ぐためには⋯
ヘンテコなインチキサプリが薬機法に抵触するような表現を使っていても、ビジネスが成り立つ理由として、手軽に効果を挙げたい層が存在するからです。医療機関を受診するのが面倒、自宅で手軽に安く効果を実感したい、こんな考え方をする人が多数いるのです。酷い広告を信じちゃう人って情報を自分で取りに行く手間暇さえ惜しんで、ネット上に流れてきて自分が興味あるものをついついクリックしちゃうんでしょうね。知識が足りない層を狙ったあくどい手法が未だに排除できないのは、一部のユーザーにも問題はあります。
そういえば先日、いいかげんな医療情報を垂れ流していた健康情報サイト「WELQ(ウェルク)」が閉鎖されました。医学的情報を求める医師は普通はこんなサイトを見たことないことが、医療関係者限定のm3で明らかになっています。プロが情報を求めるソースと一般の方がついついクリックしてしまうサイトは全く違ったものなんです。となると、私のような権威はない町医者風情でも健康を害する、あるいは全く効果のない医学的な裏付けが取れない広告・情報をこまめに潰して行くしかないのです。だからこそ私はブログを書き続けていきます❗
じゃあ、なんでお前はこの嘘くさい広告を知ったんだよ、とのご質問もあるでしょう⋯ある程度ファンがつくと「こんなインチキ臭い広告あるんですけど」「こんないい加減な医学情報を提供しているサイトがあるんですけど」と教えてくれる方が多くなるのです。こんなヘンテコな話見つけたよ、って方は是非ご一報くださいませ。