近藤誠理論VS標準医療⋯なぜトンデモ理論を選択のするか?追記あり

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近藤誠先生のトンデモ説に対して、大方の医学の大家は「ホットケっ」との態度を取っています。近藤理論を信奉するあまり、病状が悪化して結局は標準医療に駆け込む患者さんが増えています。

最終的な駆け込み場所として日本医科大学の腫瘍内科の勝俣範之教授の外来が知られています。勝俣先生としては標準医療を受けていればこんな状態にはならなかったのに、死に至ることはなかったのに、と日々悔しい思いをされています。

医学は科学ではない、との考え方の隙間をついた近藤誠理論

マスメディアとしてはトンデモ系の今まではなかった治療法というか、「ガンなんかホットケ」治療って物珍しく、取り上げやすい話題なのですね。

医師だって現代医学絶対なんて考えていません。今の治療で満足している医師なんてマズ特殊な方を除いているわけありません。現状の治療方法で満足していたら、新薬の開発も新しい手術方法もだーれも研究するわけありません。さらに現状で標準医療を盲信している医師も研究者もいません。

現時点で優れていると考えられている治療法を長期に渡って検討して、「あんまり効果なかった」との論文も毎月のように発表されます。つまり、現時点で標準医療とされているものでさえ、常に追試が行なわれていると考えてください。

近藤誠の理論を放置してはいけない理由

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/cr/201604/546480_2.html

現代物理学においても「アインシュタインの相対性理論は間違っていた❗」と発表するトンデモさんが多数出現してますが、彼らの多くは相対性理論を世界中の物理学者が100パーセント信じ込んでいる、と考えがちです。

相対性理論に対する実験は世界中で行われているのですが、一瞬「間違い見っけ」と論文に書いても、追試で実験方法の間違いが指摘されたり、データの解析間違いがあることによって、現時点でも相対性理論に反する結果は得られていません。

より効果のある治療法を確立するか日夜努力をしていんるですけど

物理や化学を専攻している方から見ると「医学って科学じゃない」との思われがちです。その理由として、カール・ポパーが言った「科学理論は実験によって反証出来なければならない」があります。

間の体は個体差が数かぎりなくあり、今までの生活史、取り巻く環境、社会的・経済的な差などなど、健康面に対する因子は膨大であり、さらにその因子の順列・組み合わせによって、あたと全く同じ条件下の第三者は存在しないのです。そこで二つの方法でかぎりなく科学に近づけるための方法がとられています。

まずは細胞レベルでの実験を行い(この細胞に個体差はありません)、ある程度効果の認められた薬剤を今度は同じ遺伝子を持った動物に対して薬を投与します。これで薬を投与したグループと投与しなかったグループを比較して、効果があった場合、今度は安全性、有効な投与量を検討します。

次にこの薬剤を人体に投与して安全性と有効性を検討します(本当はもっと複雑な段階を経ます)。動物実験で効果があっても、種の違う人間に使用した場合、期待された効果がでないばかりではなく、逆に副作用の方が強い場合もあります。一般的には1000種類の薬剤が開発されてとしても、人体に有効なものは1〜2薬剤になってしまいます。

もう一つは疫学です。ある治療方法をとった世界中の論文を集めて最終的にその治療法は効果があったのか、なかったのかを検討します。よくマスメディアに取り上げられる「コーヒーを1日何杯飲めばガンにならない」とか「牛乳を飲むとガンになりやすい」とかの患者さんの日常生活に密接した統計学的な処理をした研究結果も疫学の分野です。この疫学は統計学を知らないと、医師であっても間違いを起こしがちです。

だからこそ医学専門誌に掲載することによって、多くの医学関係者の目に触れて間違いが指摘されたり、こんな因子も検討して研究をやり直すようにとかのアドバイスがなされます。

研究結果を論文にすることによって、多くの人のチェックを受けることによって標準医療は常に厳しい監視下に置かれているのです。しかし、近藤先生の理論って反証が不可能なんです、データを開示していませんので。

なんで近藤誠先生は論文にしないのでしょうか?

近藤本って数百万冊も売れる大ベストセラーらしいです(私もほとんど持っています⋯アマゾンの中古ですけどw)。医学論文の引用を元に書かれているため、「そうなんだ❗」と思ってしまう方も多いでしょう。

しかし、近藤先生が引用している元の論文を確かめて読む患者さんってほとんどいないでしょうね。私も幾つかの引用されている論文をチェックしたのですが、一部のデータを引用している、ご自分の理論を支持するような部分だけ引用しているものが多く、その論文が言わんとしているところとは全く違う解釈がかなりあります。

日本医科大学の勝俣教授がいくら近藤理論の間違いを指摘しても、信者さんは減らないようです。勝俣先生が一番努力をしなければならない点は「患者さんの洗脳を解く」ところのようです。

近藤理論を放置してはいけない

近藤本を読んでから、近藤誠先生のクリニックに行くことは、ある程度賛同する気持ちを持っての来院と思われます。大物政治家(やっていることは賛否あり)であってもリアルにお会いすると「この人いい人かも」「スッゲーオーラがある」「細かいところにも気がつく」って感じてしまいます。あまり関心のない芸能人に会って、握手でもしたら「この人いい人」って出演作や歌っている曲を知らないでも思いがちです。これも洗脳の一種と考えます。

近藤先生の本を読んだら、まずはかかりつけの医師に相談してみてください。さらにスタンダードな治療を行っている専門医に相談してください。それでも近藤先生のセカンドオピニオン外来を受診される方は、本を読んだことで既に前洗脳状態になってしまっていることになるんですね。

「最終的に判断するのはあなたです」って言うらしい近藤誠先生って、オカルト方面の方が「信じるも、信じないもあなた次第です」っての同じじゃん。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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