先日もブログに書きましたが、一部の幼稚園・保育園(正式には保育所)でお弁当に冷凍食品や加工食品の使用を禁止しているところがあると話題になっています(この話が勃発したサイトは、仮名での投稿なので禁止令を出している幼稚園の存在が事実であるかは判断できません)。
今回はお弁当は全て手作りだと、何に対してどんな効果があるのかと素朴な疑問に対して「あんまり意味ないじゃん」との結論を披露します。その理由としてはある一定方向の考えかたを広めようとしているトンデモさんがオピニオンリーダー的に存在しているからです。
本記事の内容
お弁当はママが手作りするべき論のヘンテコな理論指導者がいる
今のママは食に関して無関心、だから安易なお弁当作りをする
との考え方が出回っています。それって
働くママが合理的に食材を工夫していることを否定しつつ、専業主婦推進論
を唱えているようにしか感じられません。
一部の意見として「専業主婦=勝ち組」なんて言われかたもしていますので、職業を持ったママがお弁当作りに力を入れないことが、子供の弁当ごときでさらに負け組とされる風潮って気持ちが悪い世の中になってしまいます。
意識高めのママを刺激する方法としては「愛情たっぷりの手作り弁当」は魅惑的です。有機野菜を使用して食品添加物を避けて、加工食品使わないで毎日、毎日お弁当を作ることは、専業主婦でもない限りハードルが高いのではないでしょうか?賛否は別として政府の戦略として「女性が輝く日本」があり、出産後の就業率を高めることが目標の一つになっています。手作りかつ有機野菜の使用・食品添加物不使用・冷凍食品禁止・加工食品禁止でお弁当を作るとしたら、材料費も高くなることは当然予想されます。
キャラ弁禁止は分からないわけでもないですけど(無用な競争が園児間・ママ間に勃発する危険があるもんね)
女性が仕事に就く一つの理由として経済面もあるはずですから、ご主人がたっぷり稼ぎ、食費も気にしないで使える専業主婦が「愛情たっぷりのママ」の有力候補になってしまいます。
コンビニを異常に嫌悪しているフードプロデューサーを名乗る方がいます(詳細は『食品ジャーナリスト達は「コンビニおでん」いじめが旬のようです。でも根拠は間違いだらけだよ❗』を)。
またこの方は「牛乳・チーズ・ヨーグルトは発ガン性があり」と不思議な説も唱えています。
当然、冷凍食品も健康に悪い、食後のフルーツも体に悪いなどなどニセ医学・擬似科学のオンパレードです。今回の幼稚園のお弁当冷凍食品禁止の真贋を追求しなくても、間違った食の神話が流布していことは間違いのない事実です。
一方的で申し訳のないのですが、ニセ医学的食品トンデモ説を拡散しているフードプロデューサーさんの著作・ネット記事を元に考察を進めさせていただきます。
美味礼賛を崇めつつフランス料理の食材を否定するフードプロデューサー
ブリア・サヴァランという美食家が18世紀から19世紀にかけてフランスにいました。「美味礼讃」という著書の中で「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間か言いあててみせよう」との名言があると日本の書籍では記されています(原文は読んでいません、私)。
この言葉を例のフードプロデューサーさんは記事に引用しています。要は食べているものによって、人間がどんな風に作られるかが決まる、その一方で現代人は食の質に対する意識が低すぎる、健康レベルも人間性も変わってしまう、と読み取れる記述が著作にあります(「40歳からは食べてはいけない 病気になる食べもの」南清貴著 KADOKAWA出版)。
でもさあ、このサヴァランって人はかなりフランスの上流階級に属する人だから、食に対して贅沢三昧できたんじゃないの???サヴァランはフランス料理中心に食していたはずなのに、このフードプロデューサーさんは砂糖を目の敵にしています、「『白い悪魔の三兄弟』である白砂糖、白米、白い小麦粉」(http://biz-journal.jp/2015/11/post_12606_2.html)だって(笑)。小麦粉を使わないフランス料理ってどんなんだい(実は私、フレンチあんまり食したことないですけど 汗)。
少なくとも砂糖はデザートにはたっぷり使用されていますよね、クイーンアリスの有名シェフの石鍋裕さんも「フランス料理と砂糖の甘い関係」でおっしゃっていますもの。フードプロデューサーさんはご自身の著作でフレンチの食通の名言?を引用しつつ、フレンチが体に悪いことを主張するって、山本太郎議員が安倍首相の演説を礼賛して引用して、ご自分のトンデモ発言・行動の理論武装をするくらい違和感があります。
カット野菜は栄養がない、ってウソだよね❗
「カット野菜は、野菜じゃない❗」と「じつは体に悪い19の食習慣」(南清貴著 ワニブックス)でおっしゃっています。なんでもカット野菜は消毒して、水に漬けるので栄養素が残っていないそうです(笑)。
野菜を消毒?するのは生野菜で食べるより農薬や雑菌を洗い落とすことが目的ですし、水につけたら栄養って流れ出すのは水溶性のビタミンであるビタミンCやビタミンB群であり、脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンEは影響を受けないんですけど⋯。水溶性のビタミンCでさえ極端には減少しません。
何を根拠に「カット野菜は栄養がほとんどない」的なお話をしているのでしょうか。書籍ではなく、聞き伝えでなく、どっかで聞いたかもではなく、できれば医学系あるいは科学系の論文をご提示ください。
果物はデザートにはNG?
フードプロデューサーさんは「食後のデザートに果物はNG」としか読み取れないことを「じつは体に悪い19の食習慣」にお書きになっています。これってひょっとして人を疑うことを知らに心清らかな幼稚園の指導者が読んだために、幼稚園でデザート禁止令が出ていた可能性も否定はできません。
食後に果物を食べてはいけない理由として、消化されにくい肉や魚やご飯が胃に残っている後に消化の良い果物が入ると果物の酵素の働きによって肉や魚やご飯が発酵・腐敗して毒性が発生するからと説明しています。でもねフードプロデューサーさん、肉でも魚でもご飯でも酵素って含まれているんですよ、更に胃液って酵素がたっぷり含まれていますしね〜。
これからは美食家ブリア・サヴァランを尊敬しているフードプロデューサーさん、幼稚園のお弁当のデザートはフランス料理式にチーズの盛り合わせならよろしいでしょうか。
幼稚園等でお弁当の内容に指導が入っているか否かはリアル判定はできませんが、明らかに合理的なお弁当作りを根拠のない話で否定して惑わす自称専門家がチヤホヤされているので、テキトウーな説を信奉している園長先生もいるかもしれません。
働くママは「冷凍食品やカット野菜を使う私って愛情が足りないのかしら」なんて決して考えないでください、一秒も考えないでください。余った時間を使ってお子さんと会話を楽しんだり、遊べばいいんですから。