気功で病気を治療する、って明らかなニセ医学が一時ブームになりました。中には医学者が気功の効果を実証した、なんて記事も週刊誌に掲載されていました。
しかし、医療の場合、効果があったと思われる実験に対しては追試が行われるのが普通ですが、なぜか気功に効果があったことを証明する研究は信頼出来るレベルの追試は行われていません。
本記事の内容
気功で病気が治っちゃう、それも遠隔治療でね(笑)
気功って一時的なブームだったのね、と思っていたらところがドッコイ、密やかに民間療法としてヒタヒタと身近に迫っていました。先日、「第1級気功師」だったかそんな表現で、西洋医学で治らない病気も気功で治しちゃう治療家の駅の広告を見つけちゃいました。
以前、国から助成金をもらっている気功の研究についてブログを書きました。
定点観測的な対象ではありますのでちょっとばかり再調査をしたところ遠隔ヒーリングっていう、気功の遠隔療法がちょっとばかりブームのようです。
基本的なスタンスとして医療関係者以外のニセ医学に関してはイジらない方針ですが、今回見つけちゃった気功の遠隔治療は看護師と名乗る方のものですから、徹底的に検討してみますね。
ちなみに当院でも遠隔診療(オンライン診療)をはじめました。
怪しげな遠隔治療と同じように受け止められないように願います(苦笑)。
なぜ気功で遠隔治療しても医師法違反にならないのか⋯
看護師さんだから医師法違反にならないワケではありません。治療するには診断が必要になるのは当然ですが、診断は医師のみに許されたものであり、いくら医療関係者であっても看護師さんは診断してはいけないのです。
その方のブログには「診断した」ことは書かれていませんのでセーフではあります。でもさあ、いくらなんでも気のパワーだかなんだか知らないけどを電話やスカイプで送って、病気が治っちゃうってのはさすがに問題発生なんじゃないかい???
万が一、医師法違反の疑いがかけられたら「医療の相談にのっていた」ってことにしちゃんでしょうね、多分。その看護士さんオススメの気功は「TDEエネルギー」と称する方法で、これまたかなり危なっかしい民間療法なんです。
例の手かざしにインスパイアされたんでしょうね、きっと
今回見つけちゃった遠隔治療は医師法に違反しない可能性を例の手をかざす新興宗教の戦前の対応策を参考にしていることが予想されます。
第二次世界大戦時の日本において新興宗教は危険分子とされ弾圧された歴史があります。新興宗教の中には病気を治したい人に対して、直接手を触れて治療というか施術をしていたところがあり、医師法違反を使って弾圧する方法を当時の行政は考え出しました。その対応策として、直接病気の人に触れないで、手かざしという方法が取られた模様です。つまり、
直接患者さんに接しない施術は医師法違反にはならない との理論が確立されたのです。
電話やスカイプを使用した気功の遠隔療法のアイディアも弾圧という苦難の歴史を乗り越えた先人の知恵を拝借したことが多いに予想されます。かなりズルイ理論だとは思いますが⋯。
例の看護師さんのブログ(http://ameblo.jp/tmiilove/theme-10091831720.html)によれば
TDE(Transcen Dental Enagy)エネルギーは25年前以上の実績がある目に見えないパワーです。心身の健康、チャクラ活性、人間関係の改善、ストレス解消、開運、美容など生活に役立つヒーリングです。
だそうで、チャクラ活性とか開運とか明らかに病気とは関係ない効果が書かれていますので、金運が向いてくる数珠だの、ミラクルパワーのゲットできる不思議な石の広告が健康雑誌に掲載されいますので、医学専門誌ではなく一般の民間医療を取り上げた健康雑誌にかなり影響されている看護師さんなんでしょうね。
これは完璧に触っていますんで、日本だったらアウトですね。
遠隔療法で前立腺がんも治っちゃった、ってワケないじゃん❗
看護師さんのブログは多分、まだ患者さん、じゃなかった信者さんは少ないようなんでそれほど問題にはならないでしょう(犠牲者が出てからでは遅いので、一応警告はしておきますけどね)。でも、この方はさすがにマズイんじゃないでしょうか?外気功療法さ◯た◯院様。
そのサイトの中には「気功治療の反応と効果」と明記されていますので明らかに効果・効能を謳っています。さすがに症例という言葉は使用していませんが、お客様の声的な引用として前立腺がんに対しての「気功治療カルテ」を見つけちゃいました。どう見ても症例報告に見えちゃいますよね、普通の人にとっては(一定レベルの常識と知識がある方を除く)。かなりあっち方面に行かれてしまった治療家(なんじゃこれ)のように見受けらえますので、自己責任でサイトを見つけていただけますか?
なんでも前立腺がんと診断された58歳の男性がこの気功師さんの治療を受けた様子です。最終的に手術をなさったようなので転移はなかったですが、グリーソンスコア9だったのが、手術後の前立腺の病理診断ではなんと、「Gleason分類ができない」ほどだったというのです。
気功の治療ではなくホルモン治療の効果では?
気功の治療によりがん細胞が壊死していた、とこの治療家はおっしゃっていますけど、申し訳ないですけど、58歳の男性はホルモン治療を併用していますよね、これってホルモン治療の効果なんじゃないんでしょうか?前立腺がんの場合、手術前にホルモン治療をする事があり「アジュバントセラピー」として確立しているんですけどね。
こんなスタンダードな治療による効果をご自分の気功のせいにしてしまうお茶目な気功方面の方もいらっしゃいます。万が一、前立腺がんの予後が思わしくない場合は多分おっしゃるんでしょうね「信じる心が足りなかったんです」「西洋医学を併用したあなたが悪いんです」って。
お知らせ
遠隔療法を行うことができませんが(笑)2020年4月24日よりオンライン診療はじめました