「リョウシンJV錠」は本当にツライ痛みに効くのか?

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私は長年、首痛・肩の痛み・腕の痺れに悩まされています。「パパ!これ良さそう!」とかなり以前から家庭内で推奨されていたのが「リョウシンJV錠」です。

リョウシンJV錠はキミエホワイトの大ヒットでCMがCSから地上波に進出を果たした富山常備薬グループの商品です。

リョウシンJV錠って本当に効果あるの?

リョウシンJV錠の新聞広告

こんな新聞広告が目にとまりました。富山常備薬グループといえばキミエホワイト(現在はキミエホワイトプラスと名称が代わりパワーアップした模様、詳細は知らないけど評判はよいのかな?)はシミができて性格まで暗くなってしまった母親(キミエさん)のために開発された第3類医薬品。詳細はこれをどーぞ。

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キミエホワイトをdisったわけじゃないけど、なんとなーく胡散臭い、怪しげなムードを醸し出しているように感じてしまうリョウシンJV錠、果たして「ツライ痛みに効く」のか非常に気になります。医師として厳重にチェックしてみます。

既視感ありありのリョウシンJV錠開発秘話が怪しい

キミエホワイは商品開発事業部部長が自分の母親のために開発したはず。リョウシンJVは富山常備薬グループのCEOが高齢のご両親のために開発したのがきっかけとCMでは伝えています(http://toyama-jobiyaku.info/ryoshin_index5_r_ycd/などを参照)。リョウシンは両親の意味なのでしょう。

まあ、親孝行な社員の多い富山常備薬グループなんですが、開発秘話を表に出すのは商品をヒットさせる常套手段だからどこまでホントなんだろう?と怪しげに感じているのは私だけではないはず。

リョウシンJV錠は既存のありふれた薬がてんこ盛り

私たち医師が処方する薬と違って、通販で購入可能な薬は第3類医薬品に分類されていまして「日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調・不調の起こるおそれがあるもの」と厚生労働省は定義しています。

第3類医薬品は副作用のリスクは高くないけど、効果も高くない

医療関係者はこのように考えてしまうのです。気になるリョウシンJV錠の主成分は次のようになっています。

リョウシンJV錠の主成分

  • フルスルチアミン塩酸塩 (ビタミンB1誘導体) フルスルチアミンとして100mg
  • ピリドキシン塩酸塩 (ビタミンB6) 100mg
  • シアノコバラミン (ビタミンB12) 1,500μg
  • トコフェロールコハク酸エステルカルシウム (ビタミンE) (dl-α-トコフェロールコハク酸エステルとして) 100mg
  • パントテン酸カルシウム30mg

と、医師としてはリョウシンJV錠はありふれたビタミン剤がてんこ盛り❗と考えてしまうのです。少なくとも「痛み止め」の成分は入っていません。

体の内側から飲んで効く医薬品」と大騒ぎするほど開発に苦労はしていないように感じちゃうんだよねえ。

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リョウシンJV https://toyama-jobiyaku.co.jp/shop/products/1051101

ビタミンB12って神経の損傷を回復して痛みを改善するとして処方薬としてもあるのですが⋯ビタミンB12って神経痛や末梢神経障害に本当に効果あるの⁉なんてことを記事にして整形の先生の怒られたことあったりする私です。

リョウシンJV錠のキモはこの成分なんじゃないの?アリナミンEXと同じじゃん疑惑

痛み止め成分らしきものは含まれないで、ビタミン類がてんこ盛りのリョウシンJVですが、私が勉強不足のためか、見慣れない成分がリョウシンJV錠には含まれています。それがγ (ガンマ) -オリザノールです。

γ-オリザノールはどのような薬効があるんだろう?

リョウシンJV錠の主要成分がありふれたビタミン剤じゃん、との発言は一旦取り消します。私の薬学の知識ではカバーしきれないのが、γ-オリザノールです。このγ-オリザノールを調べてみるとちょいと怪しげな副作用は大丈夫かい的な心配が出てきてしまいました。

処方薬でもガンマオリザノール(Gamma Oryzanol ハイフンは入っていないけど)あるんですねえ⋯一見、高脂血症薬なんですけど、それこそ裏技的な効果・効能があるんです。

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大塚製薬「ハイゼット錠25mg・ハイゼット錠50mg」添付文書 より

リョウシンJV錠の隠し味的成分ガンマオリザノールの適応症は心身症❗なんだよねえ⋯。

膝・腰・肩の痛みは心身症の1症状の可能性が大❗

私の首痛・肩の痛みに関して、首の手術で非常に高名な医師は、「先生さあ、これ多分精神的な痛みなんじゃないの?ほら、ストレスとかで。デパスとか飲んだことある?」とのご高診をいただいたことがあります。私は速攻でブチギレ、「えっ、私の症状ってプ◯コですかあ⋯」。

デパスは依存性や認知症との関連性をメディアが大喜びで取り上げるベンゾジアゼピン系の抗不安薬です(私は個人的には認知症との関連はほとんど懸念していません)。

デパスは不安や緊張をやわらげて、神経症やうつ病や心身症に効果があるとともに、筋肉の緊張を取る作用があるために、肩こりに対して処方されることがあります。

もちろんデパスは医師の診断と処方箋が無いと入手は不可能である一方で、ガンマオリザノールは植物由来であるために海外ではサプリメントとして販売されています。

このガンマオリザノールは、みなさんご存知のアリナミンEXにも含まれています。

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タケダ健康サイト アリナミンEXプラス https://takeda-kenko.jp/products/vitamin/al_ex.html

リョウシンJV錠はアリナミンEXプラスと全く同じじゃん

ここまでお読みになられた方、タケダ薬品のアリナミンと全く同じ成分なのに開発秘話ってなんの開発なの❗とお思いかもしれませんね。

目の付け所がシャープであり、あったらいいなをカタチにしてしまう富山常備薬グループの次の通販可能な第3類医薬品の登場を待ちわびてしまう私です。

富山常備薬グループ、限りなく小林製薬に近づいていくようですね(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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