前立腺肥大症って何?どのような症状があるの?放置したらどうなるの?

更新日:

「近い」「夜ソワソワする」「回数が気になる」などの言葉で遠回りなキャッチコピーは前立腺肥大症のサプリメントでよく見かけます。

患者さんの前で「前立腺肥大症」という言葉を使っていますが、泌尿器科医同士では前立腺肥大症との言葉はあまり使いません。というのも、前立腺が肥大していたとしても、症状が伴わないことが少なくは無いからです。

前立腺肥大症の症状はまとめて「男性下部尿路症状」と呼びます

筆者も所属する日本泌尿器科学会では「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診察ガイドライン」というものを出しています。このガイドラインでも「前立腺肥大症」が使われています。しかし、前立腺肥大症の定義として、このような説明が記載されています。

前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害を呈する疾患で,通常は前立腺腫大と下部尿路閉塞を示唆する下部尿路症状を伴う

これの意味するところは、前立腺が良性に過形成していて、下部尿路機能障害を生じる病気が前立腺肥大症だよ、です。

つまり、前立腺が大きくなっていても、症状が伴わない場合は厳密には前立腺肥大症と呼べません。前立腺が肥大していないのに、下部尿路症状が伴っていない場合も前立腺肥大症とは呼べません。

しかし、すでに日本では「前立腺肥大症」が医師・患者さんの間で使いまわされているために、しかたないけど、あまりアカデミックじゃ無いけど、前立腺肥大症として話を進めますね。

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の症状と同じような症状を伴う病気として「過活動膀胱」というものがあります。

どちらも頻尿が主な症状であり、夜間におしっこに起きる点も同じです。前立腺肥大症なのか、過活動膀胱なのか、見分ける方法として、国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score、略してIPSS)、過活動膀胱症状スコア(International Prostate Symptom Score、略してOABSS)があります。

過活動膀胱と前立腺肥大症の違い

残尿感があれば前立腺肥大症、尿の勢いが悪ければ前立腺肥大症、お腹に力を入れないとおしっこが出なければ前立腺肥大とざっくり考えてください。

夜間頻尿の回数は寿命に反比例する!

寝ている間におしっこに起きることを、歳のせいだから、と考えている方が少なくありません。しかし、多数の研究によって夜間頻尿は死亡リスクを高めていることが報告されています。

例えば「The Impact of Nocturia on Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis」(PMID: 31364920)では、夜間頻尿があると死亡リスクが1.3倍になることを明らかにしています。

日本においては東北大学の研究結果が有名で、「Impact of nocturia on bone fracture and mortality in older individuals: a Japanese longitudinal cohort study」(PMID: 20727545)では、2 回以上の夜間頻尿あると、1回以下の人と比べて死亡率が 1.98 倍になるとの結果になっています。

とにかく、夜間におしっこに起きることは寿命を縮めてしまうのです!

多くの前立腺肥大症の方は「夜間頻尿」を伴っています。逆に言えば、夜間におしっこに起きてしまう生活パターンをお持ちの方は前立腺肥大症が強く疑われます。

前立腺肥大症は患者さんの年齢や生活背景、持病やライフスタイルに合わせて多種多様の治療方法があります。生活習慣を見直すことで症状改善も可能ですし、食生活でもある程度の改善は可能です。

おしっこが近い、おしっこが出にくい、睡眠中に何度もおしっこに行ってしまう方は前立腺肥大症を疑って泌尿器科医にご相談くださいね。

治療法や生活習慣の見直し等については、今後書き足していく予定です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・形成外科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
木・日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック