神奈川歯科大学の大学院が統合医療学講座なるものを設けたことがトンデモウォッチャーの話題になっています。この講座が様々な仕掛けが施されたものであることに大学当局は気がつかないのか、批判に対して開き直った声明を出しています。
統合医療学講座中の一コマである「エドガー・ケイシー療法」は医療ではなくてトンデモ系ニセ医学であることを説明しておきますね。
本記事の内容
エドガー・ケイシーとは何者?
医学とは無関係、まったく科学的な手法には裏付けられていないオカルト系スピリチュアル系啓蒙セミナーの代表格がエドガー・ケイシー(Edgar Cayce, 1877年3月18日 – 1945年1月3日)であり、エドガー・ケイシーが始めた民間療法をがエドガー・ケイシー療法と呼ばれています。
日本人の99%はエドガー・ケイシーさんの名前をご存知ないと思います。Wikipediaによれば肩書きは予言者、心霊診断家です。トンデモ系ウォッチャー、オカルトウォッチャーの間ではエドガー・ケイシーさんといえば「霊能力者」「詐話師」「元祖セミナービジネス」という言葉が浮かんでくるはずです・・・各人の頭の中をチェックしたのでエビデンス的には弱いけどね(笑)。
エドガー・ケイシー(Edgar Cayce)さんは1877年に米国ケンタッキー州で生まれた方で、20歳を過ぎた頃に奇病に冒されて当時(19世紀じゃん)の医師に見放されてしましました。ところがどっこい独自に瞑想なのか催眠術をかけることによって治療方法を自分でペラペラしゃべりだし、その口述通りに利用をしたら健康になっちまったんだってさ。
つまりエドガー・ケイシーさんの寝言通りにすれば病気が治っちゃうようですね。
催眠術を自分にかけて誰が口述を書き残したの?という素朴な疑問なんて無視しながら、ケーシーさんは啓蒙活動に励んだご様子です。たしか、私が尊敬する懐疑論者であるジェイムス・ランディはエドガー・ケイシーのことを超能力ビジネスと読んでいたと記憶してます。
神奈川歯科大学は統合医療学講座を受診側主導医療と主張しているけど・・・。
超能力者・心霊術師が編み出した治療法を医学系大学で教えて良いものなんでしょうか?
神奈川歯科大学はどうみても開き直ってこのような声明をウェブサイトに掲載しています。
これって論点のすり替えじゃん!!まったく受診者つまり患者さんの役に立たない療法を講座というよりはセミナービジネスにより近いかたちで開催することに疑義の念を抱いているのであって、文科省がどうのこうのはその後の話になるはず。
このあたりの詳細はJ-CASTニュースも注目して取材を行っていますので、そちらをご参照ください → 神奈川歯科大・社会人講座に「ニセ科学」指摘 大学側は「正当性」主張の構え https://www.j-cast.com/2022/06/15439487.html?p=all
まあ、なかには神奈川歯科大学の統合医療学講座を受講すれば文科省のお墨付きがもらえると早とちりして受講しちゃった人もいないわけじゃないけどね。
エドガー・ケイシー関連の総元締めEdgar Cayce’s A.R.E. のサイトを覗いてみよう(笑)
神奈川歯科大学の統合医療学講座の講師の方のウェブサイトを俎上に乗せて批判すると当然の如く物々しいお手紙が来る可能性があるので、安寧な生活を送りたいと考えている私は本家本元の「Edgar Cayce’s A.R.E. 」のウェブサイトをご紹介しますね。
全文に目を通すのはめんどくさい方はこのページにこの言葉に注目してください。
“meditation,” “spiritual growth,” “auras,” “soul mates,” and “holistic health” would become household words?
https://www.edgarcayce.org/edgar-cayce/his-life/
「瞑想」、「精神的成長」、「オーラ」、「ソウルメイト」、「ホリスティックヘルス」というトンデモ系ニセ医学やスピリチュアル界隈で使用される言葉を一般に知らしめた功績が讃えられています(そんなもん讃えるなよ)。
ちなみにエドガー・ケイシーさんはアトランティス大陸とかアトランティス人がいまでも生き残っているという輪廻転生なのか、頭の中がぐーるぐるなことも言っていたか、書いていたと私の記憶のどっかに残っているなあ。そういえばヒトラーやスターリンもアトランティス人とケイシーさんは言っていたよ・・・そうなると当然プーチンもアトランティス人だよね。
これらを考えるとエドガー・ケイシー療法はたま出版あるいは月刊ムーで取り扱う案件であり、大学がニセ医学のトンデモ案件として講座を設けるのならアリだけど、これが「受診側主導医療」になりうるわけ無いじゃん!!
効果がないことを証明するには「悪魔の証明」に引き込まれるかも?
無いものを無いと証明することを「悪魔の証明」と呼びます。私がニセ医学を批判する時に必ず信奉者から投げかけられる言葉が「効果が無いことを証明しろ」「効果がないことのエビデンスは?」です。
信頼度の高い論文を根拠としてニセ医学を批判しても、信奉者はある意味で洗脳されてるので「効果がないことを証明しろ」を繰り返します。
じゃあ、こっちから言わせてもらえば、「効果があることを証明しろ!!」です。
大学や研究機関では様々な事象を研究テーマとすることは、学問の自由として守られるべきですが、ニセ医学の学ばせてお墨付きをあたえるような行為が許されてよいのでしょうか?
文科省も学問の自由を遵守するために、神奈川歯科大学のトンデモというより異常な行動には口出しはできない可能性があるので、この案件は非常に厄介なものになっています。
ニセ医学は効果がないばかりではなく、まっとうな医療による治療の機会を失ってしまう可能性があり、生命を左右する大問題です。