必要以上に化学物質を恐る風潮を醸し出している、「ケミカルフリー」と呼ばれる人々がいます。
自然派信奉が強いあまりにケミカルフリー生活を提唱する人にワクチン忌避派が多い傾向があるようです。自分でケミカルフリーな子育てと暮らしのマイスターと名乗る方は致命率が高いことで知られる破傷風の予防接種さえ否定的に捉えています。
ケミカルフリーさんは何を根拠として、破傷風はレアな病気であり小児には関係のない病気であると考えてしまっているのか?ケミカルフリーさんの迷惑な勘違いを検証してみます。
本記事の内容
ケミカルフリーさんは何を根拠に破傷風は子供は発症しない、と断定するのか?
私が定点観測対象としている自然派を拗らせた方がいます。ご自身を「ケミカルフリーな子育てと暮らしマイスター」と称しており、自然派とケミカルフリーをビジネスとしていますので、素人さんでは無いと判断してブログの俎上に載せますね。
意識高い系の方々が定義自体があやふやなケミカルフリーや自然派を信奉して、日常生活を送るのは多様性の一つであり、個人の自由との考え方もできます。しかし、破傷風という死亡リスクが高い重篤な感染症予防方法であるワクチン接種をあまりにも愚かな、あまりにも勉強不足でありながら、批判・否定するのはいかがなものでしょうか?
なんとなーく、お洒落っぽい意識高い系のライフスタイルに魅了されそうになっている子育て中のママがちょっとでもコッチ側に戻ってくれるようにとの願いを込めて、思考回路停止状態のケミカルフリーさんの危なっかしさをお伝えします。
破傷風が「レアな病気」になっている理由を一瞬でも考えたことがあるの?
ケミカルフリーさんはアメブロでこのようなご意見を開陳しております。
外遊びの季節☆「破傷風」って、実は小児病じゃないの。恐れないで!https://ameblo.jp/chemifree/entry-12460197983.htmlそして、
「レアな病気」に気をとられ過ぎていると「新しい病気」になるよ!https://ameblo.jp/chemifree/entry-12460788276.htmlとも。
ケミカルフリーさんの主張は破傷風に子供は罹患することは無いレアな病気であるから、予防接種なんて必要無し、ってことのようです。
その複数の小児病の本の中に、「破傷風」という章はありませんでした。「破傷風ワクチン」の情報はありましたが、破傷風という病気については掲載なかったです。
そもそも、ケミカルフリーさんが破傷風に子供がなることは無いと判断した根拠はこんなレベル。
ご自身の情報収集能力の乏しさと偏った思考回路に問題があることには全く気がついていないようです。
ケミカルフリーさんの複数の小児病関連の蔵書を揃えているのか非常に興味深いです。
私の専門は泌尿器科で、小児科は非常に不得意としています。私が診察机の横においてある子育て中の方におすすめしている一般向けの本として、「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」(森戸やすみ、宮原篤 著)があります。しかし、ケミカルフリーマイスターさんの蔵書ってどうなっているんだろう???
拙著 “意識高い系”がハマる「ニセ医学」が危ない! もよろしければお買い上げくださいませ。
破傷風ワクチンの効果は100%近い → 破傷風ワクチンは定期接種 → ワクチンの効果は10年程度 → ゆえに破傷風を罹患する子供は稀
との単純な結論に至らないケミカルフリーな子育てを推奨するマイスターさんの情報収集方法と思考回路を考えてみますね。
破傷風が少ないのは予防接種があるから、との単純な理由に気がつかない思考回路
日本における破傷風の発生状況は年間40人程度であり、95パーセント以上が30才以上となっていて、確かに子供にとってはレアな病気と言えなくは無いです(参考 国立感染症研究所 「破傷風とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.htmlなど。
でもさあ、なんで95パーセント以上が30才以上である理由をケミカルフリーさんは考えたり調べたりする習慣がないのかなぁ。
破傷風を予防するワクチン(正式名は破傷風トキソイド)は1994年以降は定期接種になっています。つまり、1994年以前に生まれた人は破傷風のワクチン接種をしていないから、日本の破傷風の罹患者の多くが30才以上になっていると普通は考えると思うよ。
破傷風は2024年に新1000円札の肖像となる北里柴三郎が1889年に培養に成功しました。破傷風ワクチンは1924年に開発され現在ではWHO Model List of Essential Medicines(WHOが必須医薬品としているリスト)にも掲載されています。
致命率80パーセント以上でも、破傷風はレアで怖くない病気と述べる無責任さ⋯。
予防接種が定期接種となった日本では稀な病気と考えられる破傷風ですが、1950年には感染者1915人のうち死亡者が1558人という、致命率85%の感染症でした。1953年に任意接種として破傷風の予防接種が導入されたことにより、1960年代以降は感染者・死亡者はガンガン減少して、1994年に予防接種法が改正され三種混合ワクチンとして接種が行われています。
※現在では日本では抗破傷風ヒト免疫グロブリンの開発などによって致命率は10%くらいになっていますが、それでも恐ろしい疾患です。
ケミカルフリーさんは次のように前掲のアメブロに書いています。
ネットでwikiで破傷風を調べると、なんだか、怖い写真が掲載されている。。。難しい専門用語がいっぱい。なので、わからなーーーーい! なんだか、怖ーい!
と自然派ケミカルフリーブログ読者の情報収集方法の特徴を捉えつつ
私も仕事だから、深く調べようという習慣が出来ているけど
と述べていますけど、
ケミカルフリーさん、仕事なのにあなた自身が全然調べていないじゃん❗
という状況です。
破傷風は予防接種を受けることで100%近く抗体ができます。一方で抗体の持続は10年程度とされていますので、破傷風は人から人に感染はしないで、破傷風菌が傷口から侵入することによって感染します。汚染された土壌中で怪我した場合などの汚染した外傷に対して破傷風ワクチンを追加接種することはマニュアル化されています。
破傷風をレアな病気である、ワクチン接種の必要性は無いとの考え方をお持ちのケミカルフリーさんは、自分がドブ等に転落して怪我をしたときはきっとホメオパシーのレメディで破傷風を治しちゃうのでしょうね⋯だって、このケミカルフリーさんってホメオパシー信奉者なんだもん❗
通常のトンデモさんのような可愛げのある点が全くなく、健康被害が出てしまう破茶滅茶な話を根拠なくアメブロに掲載してしまうケミカルフリーマイスターさん。
そして、何の根拠もない話で下手すりゃ命に関わる犠牲者を出しかねないと数年前に炎上したのがこれ❗
これですから、当然私の定点観測対象となり続けるでしょうね。