よくマッサージとかカイロプラクティックを受けるとき「骨盤が歪んでいますよ」的なこと言われませんか?
中には骨盤の歪みが万病の元であり、歪みさえ治せば、肩こり・腰痛・頭痛・胃の病気・不妊まで治っちゃう❗と主張するところもあります。
中には「骨盤の歪みが気の流れを不安定にしているんで、将来がんになりますよ」的なことまで言い出しているところは即アウトのトンデモ系ですから今回は無視しますね。
あくまで骨の歪みが病気と関係があるのか?というフィジカル面のお話です。
本記事の内容
医師でも使う「骨盤が歪んでいます」は鍼灸・柔整・整骨・カイロ専門家の間でも論議されている状況です
果たして骨盤って歪むのか?歪まないのか?に関して、標準的な医学と鍼灸・柔整(国家資格)と整骨・カイロプラクティックの考えの違いをハッキリさせようと思います。実は「歪む」という医学的な定義はありません。
医学的な考えとしては骨盤は歪みはしないけど、角度は変わるよ❗
これがスタンダードです。「骨盤が歪む」からイメージできる言葉は「歪む」「曲がる」「ずれる」「位置が変わる」くらいでしょうか?
英語だと「Distort」「Bend」「Deviated」「Change position」です。整形外科(美容じゃないよ)の間では「アライメント(Alignment)」が使われています。
骨盤が歪む、に対する解釈は同業者間でも違っているようです
関節と関節の位置関係がズレている場合、医学では「アライメントが乱れている」的な使い方をします。今論議を呼んでいる「骨盤の歪み」と一般の方が耳にした場合は、次の画像のようなイメージをされるはずです。
でもこれは背骨が湾曲してるだけであり、骨盤は傾いているので「骨盤が歪む」という表現は無理です。
骨盤自体が歪むとなると次のような状態でしょう。
このような骨盤の歪みは交通事故などで骨盤がグシャグチャになるか、あるいは先天性や成長上の異常によるので、姿勢が悪いことで「骨盤の歪み」が起こるとは考えにくいです。
出産で骨盤は歪むよね??
出産時には赤ちゃんが産道を通過するとともに骨盤の変形が起きます。それは「骨盤が開く」正確には「恥骨結合が緩んで坐骨が開く」です。全く左右対象に開くわけではないので、出産後左右の骨盤の一部である坐骨の位置関係は出産前と同等ではなくなる可能性があります⋯これを「骨盤の歪み」と表現している医療関係者が混乱を引き起こしています。
でもこれは普通に考える先ほどの図で示した本来の意味での「骨盤の歪み」とは全く違いますよね。
出産時は骨盤が開くけど、歪むとの表現は誤解を生みやすい
私はこのように考えます。出産がきっかけで腰痛を感じる方も多いかと思います。それを骨盤を構成する骨の位置関係が全体的に歪むことが原因ではありません。赤ちゃんの面倒を見るため抱っこしたり、おっぱいをあげたりする姿勢と十分な休養が取れていないことが大きな原因の筋肉系による腰痛と考えます。
「骨盤は歪む」という表現自体が誤解を招くので正しい表現が必要
骨盤は歪むか否か問題に関して、鍼灸・柔整・カイロ専門家の方達の間では、結構、過激な応酬が見受けられます。
パーソナルトレーナーの安藤さんは「骨盤は歪みません❗」とサイト(http://andohiroyuki.com/bodymake-up/2014/2113.html)で述べています。ここに記載されている「骨盤が左右あるいは左右に傾いているだけで、歪んではいない」説を医師として支持します。
一方で「産後骨盤は必ず歪みます」と骨盤矯正専門の癒し家、のなかの だいすけさんは書かれています(https://www.kotubankyosei-iyashiya.com/health/sango-3/)。これは出産時に骨盤が開くことを詳しく説明していて医学的にも正しいことが多く述べられています(一部同意しかねる記述もあります)。この癒し家さんは多くの方にわかりやすいように「骨盤が歪む」と表現しているようです。
「骨盤リセットストレッチ」(https://ameblo.jp/tyama03/entry-11167957811.html)で骨盤の歪みについて述べられているウォーキング・姿勢ガイドの長坂 靖子さんの話は全く理解できません。これは単に筋肉の緊張を緩めているだけで、骨盤が歪んでいることを矯正できるわけがないのです(女性に辛口コメントして嫌われるのはわかっているんですけど、間違いは間違い それにそれを仕事としているわけだし)。
結論として「骨盤は歪む」との表現は誤解を招きます。正確には「骨盤の角度が変わる」です。
↑これは明らかなニセ医学です、用語の解釈違いとかではありません。