「酵素栄養学」という不思議なニセ医学を主張されている方が「朝だけ断食すると、免疫力がアップしてほとんどの体の不調が消える」と著作で書かれています。しかし、ニセ医学ではなくスタンダードな医学研究によれば
「朝食抜き」は脳出血の危険が36パーセントも高くなる
ことがわかってしまいました。どうするんでしょうか、酵素栄養学一派の方は⋯。
本記事の内容
脳出血のリスクを考えると「酵素栄養学」に基づいた「朝だけ断食」ってマズイんじゃないの??❗
朝食抜きが脳出血のリスクを高めることは海外でも話題になっています。
この研究は磯博康大阪大教授と国立がん研究センターなどで構成されるチームによって「Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease」というタイトルで医学専門誌(「Strok」)に掲載されています⋯しかし、多くのメディアがなんで元の論文を記載していないのか、新聞記者の方も一次ソースは必ず目を通してもらいたいものです。
朝食抜きと脳出血の関係⋯本当の医学はこのように述べています
今回の日本の研究者の論文の内容は
- 80000人以上のガンや心臓病の既往がない人を対象として研究
- 1995年から2010年の間に上記の男女(45から74歳)をフォローアップ
- 研究結果:朝食を週二回以下の人は脳出血のリスクが36パーセント高くなった
断食によって脳出血のリスクが高くなる大きな原因はお腹が空くとストレスから血圧が上昇して、その結果「脳出血」が引き起こされる、と解釈されています。
今までも朝食はしっかり摂らないと、逆に太りやすくなる、糖尿病になりやすいとの研究もありますので、朝食は食べたほうがいいよ、とスタンダードな医学では考えて間違いないですね。
ニセ医学系の「健康ために朝食は抜こう」の理論はどうなんだ??
誤解を招かないように、あえて述べておきますが「酵素栄養学」なる学問はスタンダードな医学分野には存在しません。
「栄養学」や「酵素」は真っ当な医学でも存在しますが、それを足し合わせた一見科学的に見える「酵素栄養学」はエドワード・ハウエルって人が編み出した自己流の学問?であり、医学専門誌ではく一般書籍として販売されたものが、今現在「酵素栄養学」を信奉する一派のバイブルとなっています。なんでもこの酵素栄養学に基づいた「朝だけ断食」は消化酵素として、酵素を使うと代謝に必要な酵素が足りなくなる⋯だから、朝食だけでも抜いて代謝に回す酵素を確保しましょう、という不思議な理論を背景に成り立っています。
でも酵素自体を「潜在酵素」「食物酵素」って分類したのは、ハウエルさん独自の見解ですし、人の酵素の総量は決まっていて「潜在酵素」の減少が万病の元であり、寿命を縮める、との論法もハウエルさんが勝手に述べたことなんですけど。つまり「酵素栄養学」自体がトンデモ系であり、それを金科玉条とした一見科学的に見えてしまうニセ医学と考えて差し支えありません。
ちなみにタニタの栄養士さんが「生クリームは食べるプラスチック」とツイートして炎上したことを受けて、某メディアの取材を受けたトンデモ系管理栄養士さんが「牛乳は食べるボンド」的な発言をしました。このボンド発言管理士さんの元ネタは多分「朝だけ断食で、9割の不調が消える」(鶴見隆史著 学研パブリッシング発行)と思われます。この本の38ページに「牛乳を飲むこと=ボンドを飲む」と記されています(こんなん面白い考え方する人、多分他にはいませんからね)。
朝食抜いて脳梗塞になるか?朝食抜いて免疫力を高めるか?究極の二者択一
万が一、朝食を抜いたら酵素栄養学によって免疫力がついて体調不良の9割が消える、とした場合、脳出血のリスクは36パーセント高くなります。脳出血のリスクが高くなっても免疫力を高めたい人は朝食を抜きましょう❗今頃焦りまくっている朝食抜き一派の方々は多分こんな反論をしてくると妄想いたします。
脳出血は空腹のストレスによって血圧が高くなる → 朝食抜きは慣れるとストレスにならない(前述著作に書かれいます) → ストレスが無ければ血圧は高くならない → 朝食抜きでも脳出血にはならないよ
こんな感じの説明をして信者さんの疑問に答えているんでしょうね、たぶん。そして自然には存在しないと主張される化学物質を否定しておきながらサプリを処方(販売っていうのかな)し続けるんでしょう。