健康であるための「食事のガイドライン」⋯糖類は総エネルギーの10パーセント以内に

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健康的な食事⋯これは様々な意見がありますよね、糖質を限りなく0に近づけたり、肉ばっかりでも大丈夫とか、ベジタリアンとかビーガンとか極端なものまであります。

私はおばあちゃんの知恵的な「季節季節のものを少しずつ、いろんなものを食べようね!」が、正解なんじゃないかな、と主張してきました。

食事のガイドラインが発表されました

5年ごとに米国では「健康的な食事のガイドライン」が農務省と保健省とが一緒に研究して発表されています。今回2015ー2016年の健康的な食事の目安が発表されましたが、その中で

糖類は1日当たりの総エネルギーの10パーセント未満に制限を❗

と今までにはなかった糖質制限ダイエット支持者が大喜びするコメントが記されています。

2015-2020_Dietary_Guidelines_-_health_gov

https://health.gov/our-work/nutrition-physical-activity/dietary-guidelines/previous-dietary-guidelines/2015
とにかく肥満が原因とされている心臓や血管の病気や糖尿病が死因の上位を占めている米国としては、肥満を招く過度の糖類の摂取を今更「制限するべき」と強い口調で表明したこと自体が驚きではありますけど(笑)。

糖類を控えることでなりにくいことがわかっている病気は?

甘いものをたくさん食べれば太ることは誰でも認識しています。穀物に含まれる糖質も取りすぎると肥満になりますので、糖質制限ダイエットが効果的であるという考えかたが出てきたのです。極端な考え方のダイエットとしては「糖質0ダイエット」的なものまで出てきています(これはさずがにやりすぎというのが一般的な医学)。

糖類を制限することでリスクが下がる病気は以下の3つ。

  • 心血管系の病気
  • 糖尿病
  • 虫歯

これら3つは確実視されています(研究方法としてはランダム化比較試験・コホート研究)。でもさすがに糖類を0にした研究した長期の論文は今の所見当たりませんので、糖類を1日当たりの総エネルギーの10パーセント未満宣言は目安としては良いものと考えます。

糖質と糖類って違うの知っていますか?

今までのブログでも糖質と糖類を微妙かつ慎重に書き分けていきまさいた。その理由は糖質と糖類って厳密には違ったものなんです、実は。

  • 糖質⋯炭水化物から食物繊維を除いたもの
  • 糖類⋯単糖類・二糖類

このような違いがあるんです、って言われても分かりにくいのでちょっと解説します。

三大栄養素は炭水化物・タンバク質・脂質から構成されています(今更なんて言わないでね)。炭水化物の大きな部分を占めるのが糖質です。この糖質には多糖類・アルコールによって構成されています。さらに糖類も糖質の構成要素です。数式で表すと以下のようになります。

  • 炭水化物=糖質+食物繊維
  • 糖質=糖類+多糖類+アルコール
  • 糖類=単糖類+二糖類

このようにお考えください。

今回の米国の「健康的な食事」は「糖類を10パーセント未満にしましょう❗」ということですから、糖質制限をしましょう、って意味ではないんです。「アルコールは制限ないんだ❗」ってぬか喜びするオッサン多数のような気がしますが、ガイドラインではアルコールへの提言も原文にはありますのでご注意を。

If alcohol is consumed, it should be consumed in moderation—up to one drink per day for women and up to two drinks per day for men—and only by adults of legal drinking age

前述ガイドライン内より 

米国のガイドラインにおける「糖類を制限しよう」の真意は?

単純に言えば糖類の入った飲み物やお菓子を控えようね、アメリカ国民の皆さん、ってことを今回のガイドラインは言っている、と考えます。一部のおっさんが苦手とするオシャレなスターバックスのフラペチーノってのがありますよね⋯あれって糖類が50グラム近く入っています。

スタバのフラペチーノは糖類摂りすぎになる可能性大

糖類っていうより、砂糖が50グラム❗これだけで200キロカロリーになるので、標準的な女性の場合に必要な2000キロカロリーの10パーセントになってしまうのです。女性は高カロリーを意識してあまり飲まないでしょうけど、若者が好むコカコーラは500ミリリットル入りだと、糖類は65グラムになりますので、260キロカロリー⋯2600キロカロリーを必要とする30ー40歳代の男性の仕事としてあげられるのは建設業や漁業の人くらいのものです。少なくともこのブログを日中にデスクトップで読んでいる方はまず間違いなく、コーラ1本は健康的な食事を送るためには飲みすぎ、ってことになります。

コーラを一本飲みたい人、オシャレにスタバのフラペチーノを飲みたい人はその日は糖類(糖質じゃないよ❗)はそれ以上摂取するのはやめましょうね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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