ワクチン接種を科学的思考から大きく外れて、つよくワクチン接種反対を主張してる人たちがいます。ワクチンの効果は100%では無いですし、副反応のリスクも0%ではありません。
ワクチンも薬もリスクはあります。リスクのない薬やワクチンは存在しません。ですが、ワクチンの人類に対する貢献は、紛れもない事実です。これは、どのような信頼できる資料やいかなる論文でも否定できるものではありません。
人類の英知ともいえるワクチン接種反対派に巻き込まれそうになっている方、巻き込まれてしまった方はぜひもう一度なぜ自分がそのような考えにいたったかを再考してみてください。
一度はワクチン接種忌避であっても、いつでも多くの医師はワクチン接種を歓迎します。
本記事の内容
反ワクチンを唱える扇動家は本当にあなたやあなたの家族の心配をしているのでしょうか?
インフルエンザワクチンをお子さんに接種しなかったことをいまでも悔やんでいる親御さんが患者さんにいらっしゃいます。
ある反ワクチンを唱える団体の言葉を信じてインフルエンザワクチン接種をお子さんにしなかったことによって、お子さんが重度のインフルエンザ脳症に罹ってしまい重い後遺症になってしまいました。そのお母さんが私に涙ながらに訴えました。
「あの時、自分が子育てで悩んでいたときに、優しく寄り添ってきた親切な人がワクチンの危険性をお話してくれたので、相談する相手が他にいなかったので心から信じてしまいました。あの時、ワクチン接種を受けていたらこの子も後遺症にならなかったのに」と。今ではこのお母さんは障害者の団体の役員を務め、素晴らしい活躍をしていますし、お子さんも作業所で毎日クッキー作りをしています。
ワクチン接種をしないことを強く勧めた人はいまは連絡が取れない情況とのこと、ワクチン接種特にお子さんへの接種のリスクを洗脳的に伝えた人たちの無責任さに呆れ返ってしまいます。
しかし、ご主人(某省のキャリア官僚)が多忙であり、子育てにほとんど関わらない状態であり、転勤続きでなれない土地での生活を送ってきたこのお母さんは適切な相談相手がいなかったことにより、後悔の念とともに一生悩み続けています。ご主人は数年前に退官されて、いまでは障害をお持ちのお子さんの面倒に残りの人生を捧げている姿が救いだとお母さんはおっしゃっていました。
※個人が特定されない為に詳細はぼかしていることをご理解ください。
ワクチン忌避は自分で考えた結果ですか?世間の噂と風潮に惑わされていませんか?
どのようなワクチンであっても100%安全であり、副反応が0とは言い切れません。また、ワクチン接種したからといって感染する確率が0とも言えません。ワクチン接種の重篤な副反応に悩まされている方がいることも知っています。
しかし、ワクチン接種による副反応が起きる確率は少なく、重篤な後遺症を残すような副反応は希にしか起こらないことが多くの科学的医学的研究によってわかっています。
希にしか起こらない重篤な副反応であっても、実際に副反応の被害を受けた方にとっては確率でお伝えしてもall-or-nothingであり、0か100となってしまいます。
だからこそ、ワクチン接種による利益と不利益については正しい情報が必要となってきます。相談する相手がいない、子育て中の孤独感に悩まされているときに、スーッと忍び寄ってくるのがワクチン忌避を唱える非科学的非医学的思想に洗脳された親切な人だったりするのです。
私達医師がワクチン接種の重要さを医学用語・専門用語・統計学用語で説明しても一般の方にはわかりにくいことがあります。ワクチン忌避派の人たちはワクチンの副反応のショッキングな映像や画像を優しく語りはじめます。講演会やセミナーの場合、実は周囲の人のほとんどは既にワクチン忌避にどっぷりハマった状態であることも多く見受けられます。
良書「反ワクチン運動の真実」はおすすめです❗しかし、悪書vs良書となると、残念ながら圧倒的に悪書が出回っているようです。良書は比較的高額であり、悪書は廉価であることが影響しているのかも。
医師や看護師や助産師や保健師がなんらかの理由でワクチン忌避の考えに捕まってしまっていることさえあります。ワクチンに関する公的情報もひょっとしたらフェイクかもしれない、と考えてしまう人も中にはいます。
ワクチンがどれだけ人類に有益であるのか、そしてワクチンが開発された時代にもワクチン忌避の立ち位置をとる人々に対して、ワクチンの有効性を伝えるためにどのような苦労を先人たちがしてきたのかを少しばかりお伝えしておきます。
命がけで全財産をかけてワクチン接種を行った先人達
人類初のワクチンは英国の開業医エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)によって開発された天然痘に対する種痘です。1797年に種痘の成果を論文として発表しました。
その種痘は早くも日本では1790年には施行されたとの記録があります(1789年との説もあり)。当時種痘は海外から輸入するしか入手方法が無く、種痘の運搬方法によっては効果が期待できないこともあり、江戸時代の日本で種痘の接種が行われるようになったのは1849年以降になってしまいました。
当時の日本の医療は漢方医が主流であり、西洋医学を学んだ医師は蘭方医と呼ばれ、信頼性は漢方医の方が高かったと考えらていました。しかし、1858年にコレラの大流行によって漢方医では歯が立たないコレラ治療に対して、西洋医学を学んだ蘭方医の水分補給と塩分補給といういままで日本人が考えもしなかった治療法の効果によって、西洋医学の信頼性が少しずつ高まっていったようです。
それに伴い、天然痘という高い致死率の感染症予防効果のある種痘の効果も脚光を浴び、1858年に江戸幕府が種痘を接種するための施設を許可して「お玉が池種痘所」が設立されました。この「お玉が池種痘所」は幕府の役人であった川路聖謨の自宅を提供したものです。複数の蘭方医が自腹で供出した資金によって「お玉が池種痘所」は設立運営されていました。
この種痘も当時は「種痘をすれば牛になる」との非科学的流言飛語によって、初期のころは種痘ワクチン忌避派も多数いたとのことが様々な医学史に記載されています。
現代のワクチンに関する流言飛語の多くは陰謀論が中心となっています。例えば「ワクチンを接種するとマイクロチップが埋め込まれて、巨大陰謀組織が人類を操る」とか「ワクチン接種の最終目的は人口抑制である」などの荒唐無稽のものなどです。中には地球は球体ではなく平面である、と主張する人々によってもワクチン忌避は取り入れられています。
日本でこのようなトンデモというより低レベルの流言飛語を信じている人あるいは信じている風を装っている人の多くは、なんらかの商売に結びつけようとしている輩ですから、今回のブログで考えている適切な相談相手がいないために孤立感のある方へ、優しく言葉をかけてくれる善意のワクチン忌避派とは明らかに違っていると考えます。
ワクチンを打ちにいつでも戻ってきてね、批判する医師なんていないから⋯
自分はワクチン接種はしません❗自分の子供にワクチンは打たせません❗と周囲に宣言してしまったとしても、じっくりご自分でワクチンに関して熟考してください。ワクチンを忌避する考えは本当に自分で考え判断したことなんでしょうか?
ワクチンの危険性は自分で調べて見つけた情報ですか?自分のため、自分のお子さんの為に調べた情報の元は信頼できるものでしたか?ネット情報化社会における情報格差は大問題となっています。しかし、フェイク情報も溢れかえっています。もしも、今まではワクチン接種を忌避していても、やっぱりワクチンは打った方がいいのではないか、と一瞬でも頭に浮かんだらぜひお近くの医療機関にご相談ください。
いつでもこっち側に戻ってきてください、いままでワクチンを忌避していたとしても、それを問題にする医師はいませんから。