「添加物は危険」と言っている方へ(その2)⋯お餅がカビないのは保存料を含んでいるからですか??

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お正月に食べるお餅は昔は多くの家庭は近所のお米屋さんに頼んでいました。中には自宅で餅つきをした方もいます。

つきたてのお餅は美味しさは格別なのですが、お餅というと「切り餅」を焼いて食べるのが一般的です。

そしてお餅で厄介なのはカビです。お餅はとってもカビやすいのです。

お餅がカビないのは保存料がたっぷり入っているから??

今ではよっぽどこだわりのない限り、お正月に食べるお餅はスーパーやコンビニで買うと考えます。ところで以前のお餅ってすぐにカビが生えていたのに、最近の切り餅ってなかなかカビが生えません。

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これって保存料やカビが生えないような食品添加物がいっぱい入っているから、なんて勘違いしている人いませんか?このカビない理由ってヤマザキパンがカビない理由と同じく製造過程でバイキンが混入しないような、非常にクリーンな環境で作られているという単純なことなんです。食品がカビない=保存料などの食品添加物がいっぱい、は完璧に間違いです。

市販されている切り餅の成分表示をよく見てみよう❗

手元にある切り餅の原料名には「水稲もちこめ(島根県飯南町産)」としか記されていません。年末に買ったものですが賞味期限は「16.10.22」とありますから、一年近く美味しく食べられるということですね(賞味期限と消費期限は別物です)。

一年近くカビも生じないで美味しく食べられるお餅を食品添加物恐怖症の方は絶対に保存料や防腐処置がされている❗と考えるんじゃないですか?

少しばかり食品の成分表示に詳しい方は「小さな包装の場合は表示を省略して良い」のだから、切り餅のパックには食品添加物が記載されていないのは当たり前、っておっしゃるかもしれません。

でも、違うんだな〜、それは。2015年4月に食品表示法が改善されて以前は包装の面積が30平方センチ以内なら表示しなくてもOKだったのがある程度の情報は表示しなければならなくなったんですよ❗

さらに切り餅の一個一個は小さくても、それが大きな袋に入っているのですから、当然法律で定められた原材料・添加物は少なくとも表示されています、以前から(その他に保存方法やアレルゲンなども現在では表示しないと違法です)。

つまり保存料を使用しなくてもパック詰めの切り餅はカビないのです。

でも、窒素ガスをパックに入れているんじゃないの?

真空パックでなく膨らんだパックに入った切り餅を見かけます。真空ならなんとはなしにバイキンが増えないようイメージは浮かびますが、膨らんだパックだと切り餅がカビちゃうような気がするし、カビないのなら食品添加物が含まれている、と疑ってしまうかもしれません。

あの膨らみを作っているのは「窒素ガス」です。ほら見ろ、変なガスをパックに充填しているじゃん、と鬼の首をとったように指摘する添加物恐怖症さんもいるのかな。

でもさー、窒素ってそんなに危険なんですか?みんなが呼吸するときに吸っている空気の80パーセントは窒素なんですけど。

ちなみに水素が体に良い、との風潮がありますが、普段呼吸している空気に水素は全くと言っていいいほど含まれていません。

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知り合いの農家の方が送ってくれるお餅は数日でカビだらけになってしまいます。この写真はまだカビは生えていません(いろいろな穀物が入っているので白くない)、美味しんだなあこのお餅❗

お餅のおこげを削って食べる必要はありませんが、カビたお餅はかなり危険です

食べ物のこげた部分に発がん性物質が含まれるとの説を未だに信じている人はかなり多いのではないでしょうか?

確かに「おコゲ」は発がん性と強い関連が指摘されていた時期がありました。がんセンターは以前「がんを防ぐ12か条」でこげた部分は発がんリスクがあると言っていましたが、2011年に発表した「がんを防ぐための新12か条」ではおコゲに関しては普通に食べる量ではがんの発生と関連性がないとされ、おコゲ問題は記載から外されています。

それはそれとしてお餅にカビが生えているとカビの部分だけ削って食べちゃう人っていませんか?表面上のカビを取ったとしても、カビは奥深くまで侵入している可能性が高いのです。

例えがちょっと汚いかもしれませんが、水虫の場合、治療して皮膚の表面が綺麗になった思ってもすぐに再発するのは、水虫菌が皮膚の奥まで根を生やしているからなんです。つまり、お餅のカビを目で見える表面だけ削り取っても、中はカビだらけ、って場合もあります。

少しもったいないかもしれませんけど捨てちゃいましょう。食べ残したお餅は乾燥させて油で揚げると美味しい「揚げ餅」になりますから、カビる前に決断してください(決断ってほどじゃないけど 笑)。

豆知識

昔『おせちに飽きたらカレーもね!』ってCMがありました。コンビニが今ほど普及していなかった頃、年始営業していない店が多かったのでレトルト食品は家庭にとっては救世主のような存在でした。カレーを作るのが面倒な人は食品添加物有害論の方が大っ嫌いなコンビニでレトルトパックを買っちゃいましょう。長期間保存が効くレトルトパックはそれはそれは大量の保存料が入っていると思い込んでいるのではないですか?

レトルト食品には保存料は全く使用されていません。だってレトルトパックに食材を詰め込んだ後に加圧と加熱(手術器具も同じような加熱加圧で滅菌します)によって雑菌がいない状態になっているので、保存料自体全く必要としていないのです❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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