「添加物は危険」と言っている方へ(その1)⋯おせち料理はどうしているのですか?

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お正月早々にこんな話題もいかがなものか、とのご意見もあるかもしれませんが「おせち料理は危険」なんでしょうか?

コンビニ弁当は食品添加物でいっぱいだから危険、コンビニおでんは保存料が入っているから危ない、加工食品は保存料が入っているから寿命を縮める、などをあらぬ恐怖を煽っている自称食の専門家が多数存在しています。

食品添加物を必要以上に怖がる評論家さんのおせち料理はどうなっているの?

ある程度の期間保存がきいて、見た目も色とりどりのおせち料理は危険なんでしょうか?⋯食品添加物恐怖症の「食の専門家」の方々はどのようなお正月を迎えているのか、大きな疑問があります。

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これらをいちいち食品添加物は入っていないか、とチェックしているのかな???

例えば毎日の食卓には並ばないと思われる「紅白のかまぼこ」。これは彼らが食品添加物と呼ぶものが多数含まれています。食品添加物が危ないと主張する方は「うちで食べる紅白のかまぼこは自然由来のものだけでできています、だから無添加です」と答えるでしょう。色をつけただけで「添加物を含む」ってことになっちゃうんだけどな〜。

第一「無添加の食品です」と表示しなければならない義務自体ないのですから、「無添加」をあえて大きく表示している食品は消費者に単にアピールしているだけなんです。それに無添加の定義自体かなりあやふやです。

食品ジャーナリスト達は「コンビニおでん」いじめが旬のようです。でも根拠は間違いだらけだよ❗

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食品添加物は危険、無添加だから体に良い、は本当ですか?

表示する必要のない「無添加」をあえて食品に使用しているのは、一般の方が「食品添加物は危険」との思い込みに対するメーカー側の過剰サービスとも考えらえます。食品添加物は「食品の加工」「食品の保存」を目的に使用されます。着色料は「見た目をきれいにして食欲を刺激する」ために使われます。

大昔の人は一度収穫した食品をどれだけの期間保存できるか、いかに美味しそうな食べ物にするかの工夫をしてきました。それが保存料であり、着色料の始まりです。

「うちのおせちは食品添加物は全く入っていません」とおっしゃる専門家は多分、食品添加物=化学的に合成されたもの、と考えている可能性が大です。実は天然のものでも「食品の保存目的」や「食品の加工」で食品製造過程で使用されたら立派な「食品添加物」なんですけど。

保存料はカビなどの病原菌が繁殖しないために、使用されています。保存料を全く使用しない食べ物は病原菌が繁殖している可能性があります。保存料が入っていない食品の方がリスキーという考え方もできますよね。それとも食品添加物過敏症の方のおせち料理って毎日、毎日作るのでしょうか?

天然は安全、化学物質は危険という思い込み

どんな物質も化学式で表すことができます。人間の体も化学式で表せます。でも「化学物質」とき聞くとなんだか人工的で危なっかしいイメージが付きまといます。逆に「天然物質」「天然由来」と聞くと安全と考える傾向が見受けられます。

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食品添加物の場合、天然物質であろうが化学的に合成されたものでも、1995年の食品衛生法によって「使って良いもの」が指定されています。これを「ポジティブリスト」と呼びます。大きく分けて「指定添加物」「既存添加物」「天然香料」「一般飲食物添加物」に分類されています。詳しくは厚生労働省の事業者向けの「食品添加物が使用できるかどうかを確認したいのですが?」の使用できる添加物の品目についてをご覧ください。(よくある質問 事業者向け)。

繰り返し行われる食品添加物の安全性の確認

よく食品添加物は危険と主張する方に見受けられる「動物実験で発がん性があった」「この添加物を食べると死ぬ」とサイト上や著作物に記載されている方多いですよね。この方達は安全性を確認する工程をご存知なんでしょうか?

まずADI (Acceptable Daily Intake)という用語があります。人間が毎日一生食べ続けても、健康を害することがない物質の最大摂取量を意味しています。このADIの決め方は

  1. 動物実験で害がない、最大の摂取量⋯無毒性量を決めます
  2. 動物実験で安全とされた量の100分の1をADIとする
  3. これを人間の体重1キログラムあたり、1日あたりのミリグラムで表す

人間と実験動物の生体内の違いを考慮して100分の1とかなり少ない量を1日あたり摂取しても、一生食べても安全ですよ、との目安がADIなのです。食品添加物が危険、危険って言っている人のほとんどが、このADIを無視して実験動物にこの添加物を与えたらこんな悲惨な結果になりました、と主張します。

人間の体重あたりに換算するとまず通常の食生活では食べきれないような大量の食品添加物を含む食品を食べないと健康を害することがないようなものまで俎上に乗せるのです。

ところでおせちの紅白のかまぼこに使用されている食品添加物はどうなの?

話を戻します。滅多に食べない紅白のかまぼこかまぼこ、これは一般的にこのような添加物が入っています。

  • 保存料⋯ソルビン酸
  • 着色料⋯コチニール色素、食用赤色106号
  • 調味料⋯グルタミン酸

この辺りが一般的です。食の専門家はおせちに紅白のかまぼこを添えるために、自宅でかまぼこを作っているのでしょうか?

もともとおせちって主婦が年末年始くらいは楽しようよ、と保存がきいて見た目も鮮やかな食品をみんなで楽しみましょう、との考えで利用されているはずです。女性の社会進出をどうにか促進できないか、が日本の大きな問題です。食事の用意は女性がするもの、と考えている男性もまだまだ多いのが現状です。

さらにおせち作りに電磁調理器を使用したら大変なことになっちゃいますよね〜、電磁波恐怖症の方はほとんど食品添加物恐怖症の方とダブっています(笑)

電磁波による健康障害、でもIH調理器で健康は害しないだろうけどね❗

電磁波による健康障害、でもIH調理器で健康は害しないだろうけどね❗

食の専門家が必要のない恐怖を煽ってなんでもかんでも手作りをすすめるとしたら、それこそ女性の社会進出を拒む大きな障壁になることに気がつかないのでしょうかね?とにかく自称食の評論家っていい加減です。
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フードプロデューサーさま、ニセ医学系の健康に関する異説を唱えるなら、せめて1次ソースを調べてからにしてくださいませ。

その2 「添加物は危険」と言っている方へ⋯お餅がカビないのは保存料を含んでいるからですか??

その3 「添加物は危険」と言っている方へ⋯母親に無用な危機感と罪悪感を持たせる手法だけは止めてね❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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