靴下の破れと病気の関連性、あるわけ無いじゃん❗「冷えとり」体験レポート⋯その2 

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「冷えとり」というヘンテコな健康法があります。

体から毒素が排出されて、その毒素を繊維が吸収することによって靴下が破れちゃうそうです(笑)。

心霊治療で病気の人の「悪い気」を治療する祈祷師の体が吸収する、自己を犠牲にするオカルト療法がありますが、そのかわりを靴下にさせちゃうということですね。冷えとりのガイドブック?では繊維が毒に負けるから破けると説明されています。

冷えとり健康法で靴下が破れる理由⋯擦れるからに決まってんじゃん❗

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小指部分が破けると「前立腺・睾丸などの病気」があるらしいです、私の専門は泌尿器科ですけど(笑)。

絹の靴下を一番最初に履くことが「冷えとり健康法」のお約束です。絹の靴下って破れやすことが欠点であることはみなさん当然ご存知ですよね。

病変部が足の裏と関係していると考えるのは足裏マッサージが元ネタを考えられます。しかし、多くのリフレクソロジーでツボとされる箇所(反射区と呼ばれる)と冷えとり系の毒素が出る場所ってかなり違いがあるんですが、どうしてでしょうか???

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東洋医学では小指は「副鼻腔」のツボであり、前立腺は踵付近とされています。靴下重ねばきより、足裏マッサージに通った方がよっぽど気持ちいいと思うのですけど(治療効果については不明)。

足の裏から毒素が出るのなら、手袋重ねてもいいのではないですか

ありえなけど、万が一「冷えとり」理論が正しい場合、なぜ靴下を重ね履きするのか?という素朴な疑問が湧いてきます。頭寒足熱だから、と回答される可能性もありますが、比較対象実験として東洋医学では手のひらもツボが集中しているとの考え方もありますので

手袋を重ね履きしても、毒素は手のひらから排出されて、当然手袋も破ける?

通常の靴さえ履けないような、靴下重ね履きの冷えとりですから、手袋を4枚以上重ねた場合通常の生活を送ることはまず不可能と考えます。しかし、足の裏に内臓と直結しているとの理論を背景に冷えとりの有効性を実証???してるのですから、比較対象実験は毒素の排出を証明するには理科系の理屈っぽいオッサンには非常に有効な手段である、と提案しておきます。

ニセ医学は治療のチャンスを逸する可能性があるから問題なのです

どう見てもニセ医学である「冷えとり」健康法。冷え性の方があったかいお風呂に入るとか、厚手の靴下や手袋をする、従来の冷え性予防方法とは全く違うものです。

万病を治す、と噂される民間療法のあっち側極端に寄りすぎ派によって撒き散らされているインチキ健康法と考えずにはいられない生き方・生活習慣までお節介をする自己啓発系健康法と考えられます。

不定愁訴の改善ならプラセボでも価値はあると考える柔軟な思考を持つ人でも「不妊症が治った」「がんも治った」と言いふらされ、「末期ガンでさえ、腹水が溜まっていても冷えとりで治る」と驚きの発言を元祖冷えとり専門家は著作やインタビューで述べています。しかし、冷えとりという限りなくニセ医学に近い治療法は大問題を抱え込むのです。

「冷えとり」はスタンダードな医学で解決出来る病気を治療するチャンスを失わせる可能性が大きいのです

だからこそ「冷えとり」の盲信が危険である、とこれも余計なお世話かもしれませんが、強く主張したいところです。

冷えとり専用の靴下ってちょっと高いかも⋯悪質と感じる部分もあります

冷えとり専用の靴下セットを4セット用意して今回の体験レポートを行っています。1セット4500円程度ですから、4セットだと約2万円かかります。冷えとり教本には常に靴下の重ね履きをするべきである、と書かれていますので入浴時以外は常に4枚の靴下を履いて実験に臨みました。履きっぱなしだとそれなりに汚れて悪臭を放つ危険があるので、開業医というある意味客商売ですから、身なりは大切ですからね。普通、靴下って安いのだと3足1000円とかですから、かなり高額な靴下になってしまいました。これで健康が得られれば納得なのですが、今のところ全く「好転反応」も「めんげん」もありません。冷えとり専用の靴下を4セットも購入することは家計に影響しますので、多くて2セットを使いまわした場合、絹の靴下は破けやすいので、当然どこかの箇所が擦れて破けることが強く予想されます。

冷えとり系のガイドブックにこんな注意があります。

  • 靴下が破れて「モッタイナイ」と思ってはダメ、毒を出さないと大病になる
  • 病院にかかるより「冷えとり」した方が安上がり
  • 破れた靴下を見てすぐに病院にかかってはいけない、毒の早期発見は病院では不可能

冷えとりを実践してある部分が破けたとします。これは自分が気付いていない疾患の毒が排出されてためだ、と感じて病院で検査を受けに行くこと自体が無駄であると読み取れます。医療機関受診を抑制していますよね、これ絶対に。

当院の場合、トンデモ系の方の受診は大歓迎ですので(院長診療に限る)、破れた箇所に応じて現代医療を駆使して精査を行う用意があります。当院で精査不可能な場合も病診連携先の大病院・大学病院をご紹介します。多分、こんな対応をして何にも悪いところが見つからなくなった場合、冷えとりを提唱している方はおっしゃるのでしょうね

病院で検査する前に毒素が排出したんで、病気が冷えとりで治ったのよ❗

ああ言えばこう言う、典型的な対応って「FAQ 予想問題集」として用意されているような気がします。

「冷えとり」で毒素が出て、病変部に対応する「靴下が破ける」現象はある方法によってインチキであることが完璧に証明できます。その証明は後日発表しますね、乞うご期待❗

「冷えとり」体験レポート⋯その1 ニセ医学御用達の好転反応「めんげん」は本当か??

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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