「冷えとり」体験レポート1/3ニセ医学御用達の好転反応「めんげん」は本当か??

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世の中に溢れるかえる健康法「あの有名人も効果を実感」「芸能人の誰々がこの健康法で病気を回復」などマスメディアで取り上げられると信奉者が一気に増加します。

その一つにベッキーや松居一代さん(ああ、やっぱり)、そしてあの石原さとみさんも実践しているとの噂の靴下を重ね履きするニセ医学「冷えとり」があります。

頭寒足熱は健康法の基本中の基本。それを実行するために最低でも靴下を4枚重ね履きしなければならないニセ医学の可能性が高い「冷えとり」を実験・体験しましたので報告しますね❗

芸能人・有名人も実践している「冷えとり」という不思議な健康法

ニセ医学「冷えとり」用靴下

このような「冷えとり」専用公式グッズのちょっとカッコ悪い靴下(4,968円税込)を手に入れ、実験に使用しました。絹、綿、絹、化繊の順で履くのがコツとのことです。

なお、冷えとりにも流派が存在するようなので、参考は元祖「これが本当の『冷えとり』の手引き」(進藤義晴・進藤幸恵著 PHP研究所発行)と「冷えとりガール」なる言葉を流行らせつつある教祖的存在の方が書かれた「冷えとりガールのスタイルブック」(服部みれい企画・編集 主婦と生活社発行)を使用しました。

ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの!?

ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの!?

ニセ医学にはつきものの「好転反応」が冷えとりにもあるんだそうで

冷えとりの基本的な考え方は「頭寒足熱」であり、冷えとりを実践すると人間が本来持っている元気になる力が自然に動き出す⋯免疫力を高めるそうです。

さらには「冷えとり」は万病にも効果があり、

体内の毒素が排泄されて、その影響で重ね履きしていた靴下が破れる

現象を目にすることができるという、効果の現れがわかりやすい健康法です。

まずは靴下4枚重ね履きしてみます

冷えとりに使う4枚の靴下

こんな感じで足がでっかくなってしまい、出勤するために靴を履こうとすると、

冷えとり用靴下を重ねばきすると靴が履けない

当然、通常履いている靴では入りきれません。

デザインだけで買ってしまいブカブカなスニーカーを履いてクリニックまで行きました。冷えとり指導者の方は足首を包むものがオススメです、とおっしゃっているので翌日からはこんなのを履いて過ごしました。

冷えとり用靴下を履いてぶかぶかのスニーカーを履いてみた

ご推奨のように「本革」であり「足首まで包む」タイプです。

冷えとり方面の方にはなぜか素材にヒエラルキーがあるそうで化学素材なんてもってのほかであり一番偉いのは

     

絹 → 本革 → 綿 → 麻 → ウール

 

と左に行くほど素材としては偉くなくなるようです(笑)。

この靴下4枚重ね生活を続けていくと「好転反応」として

  • 発熱性の病気の場合は猛烈な高熱が出る
  • アトピー性皮膚炎の場合は重症な湿疹が全身に出る
  • 自律神経失調症の場合は咳・鼻水・湿疹・涙・胃痛

などの疾患の基本的な症状が一見悪化した状態になるそうです⋯これを「瞑眩」「めんげん」、あるいは「メンケン」と呼び、病気が良くなる前の状態であり「好転反応」と解釈されています。

好転反応である「瞑眩」「めんげん」「メンケン」は古代中国の本が出典ですが、ある東洋医学の大家によれば「めんげん」と呼んでいるのはインチキで、本来は「メンケン」と読むのが正しいそうです。

鍼灸師さんの中でもこの用語を頻用する人がいるそうですが、治療に際して副作用とも考えられる好転反応「めんげん」の発生率は1000人に一人程度であり、好転反応「めんげん」多発の代替医療はニセ医学を考えて良さそうです。

私の場合、血圧少々高め、コレステロール値高め、大腸ポリープあり、でどれも数値化、あるいは見える化できる持病ですから、靴下重ねばきの「冷えとり健康法」を入浴時間以外は継続して、健康になるための日々を開始しました。

心の乱れも冷えの原因だそうで⋯好転反応を待つ私

ある冷え込みがきつい朝、足元がポカポカしていることに気がつきました。「やった❗冷えとりの効果が出てきた」と騒ぐ私に家人の冷たい言葉「今日から床暖使い出したからあったかいでしょ」

冷えとり靴下で足元がぽかぽか

床暖房の上に悲しくたたずむ、私の靴下4枚重ねばきの両足

冷えとりの教えによれば 「傲慢」「利己」「強欲」「冷酷」という4つのこころの乱れの原因だそうです。

冷えとりを実践するとこの4つの性格(こころの乱れかどうかは知らんけど)が治るわけではなく、文章を読む限りでは性格が冷えを生み出している、と読み取れます。このあたりから冷えとり健康法の怪しさを感じ取った方はかなりのニセ医学バスターの素養がありますよね。冷えとりで健康状態が良くならない場合

あなたの性格が万病の元である冷えを招いている、性格から直さないと病気も治らない

とニセ医学方面の方がお得意とする論法に巻き込まれてしまいます。

原因と結果、因果関係は存在しませんし、相関関係さえ医学的・科学的データが存在しないところに論争の根拠の担保とする彼らニセ医学・擬似科学信奉者独特の言い回しに引き込まれてしまいますので、注意が必要です。

体の毒素が靴下を破る??

好転反応である「めんげん」が出ないかと、毎日毎日血圧測定と採血を繰り返していますが、検査値に全く変化が見られません。冷えとり健康法も見える化を発表しています。

体から出た毒素が靴下の繊維に吸収され、病気に応じた箇所が破れる❗

と非常にわかりやすい判定方法があるんだそうです。病気に対応した足のツボ?があり、病変部から毒素が排出されて、一番最初に履く「絹の靴下」が破れる、現象を目視することが可能なのです「冷えとり健康法」では。

靴下を履き替えるたびに「どこか破れていないかなあ?」「消化器の病気は親指から毒素が出るんだあ」なんて毎日楽しみに靴下を眺めてるのですが、一向に破れる気配はありません。

冷えとり信奉者さんに相談したら絶対言われるだろうね、

「それはあなたの性格が傲慢で、利己的かつ強欲、さらに冷酷だからです。まず性格をなおしなさい❗」

って。

不定愁訴に対して効果があるのならプラセボでもいいんじゃない、と「謙虚」であり、自分が不調でも一般の患者さんの保険診療をここなっている「利他」主義であり、自腹を切ってみなさんにニセ医学への注意を促している「寡欲」な部分もあり、「温厚」な町医者として知られている私です(このように自己評価する点がイカンのかも)。

なんですけど、冷えとりの効果はまだ現れません⋯毒素が出るか、好転反応が出るまでこの体験レポート、実験報告はまだまだ続きます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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