タニタに続き「カゼインが体内でボンドと同じ働きをする」と栄養士さんが爆弾発言!に対する考察(笑)

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先日、タニタの栄養士さんが「生クリームは食べるプラスチック」とツイートして大炎上になりました。

そのタニタ栄養士さん発言に対するJ-CASTニュースの取材に登場した管理栄養士さんのコメント「乳製品に含まれる成分『カゼイン』が体内でボンドと同じような働きをする、とおっしゃる著名な先生方もいます」の方が私的には気になって仕方がありません。

これじゃSTAP小保方さん事件に対して識者として、あのiPS森口尚史さんにインタビューしたようなものです。ちなみにカゼインとは、牛乳を温めると表面に膜が出来ますよね、あの膜がカゼインというタンパク質です。

「カゼインが体内でボンドと同じ働きをする」発言を紐解いてみる

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http://scienceehs.blogspot.jp/2010/11/moo-glue.html

これがカゼインです。

タニタの栄養士さんがなぜそのような発言をしたのか、ブログで謎解きしてみました。

カゼイン → 印鑑の材料として使用される → カゼインプラスチックとも呼ばれる

これがタニタの栄養士さんの思考の流れを先日のブログで読み解きました(変な一派の影響を受けていない場合限定)。トランス脂肪酸が一部の添加物ゼッタイ反対派の間で「プラスチックオイル」と呼ばれることに起因している、と謎解きした方もウェブ上で見かけましたが、多分私の解釈の方が論理的です(たまには自画自賛させてください)。

大炎上タニタ「生クリームは食べるプラスチック」発言の栄養士さん、こんな勘違いしちゃったんだよね?

大炎上タニタ「生クリームは食べるプラスチック」発言の栄養士さん、こんな勘違いしちゃったんだよね?

しかし乳製品に含まれるカゼインが体内でボンドと同じような働きをするという話の方が理解不可能なトンデモ系で、自分の持っているニセ医学・疑似科学関連、正統派医学書、医学誌・科学誌など数百冊を昨夜から本日夕刻までチェックして元ネタを捜索しました。

カゼインが体内でボンドの働きをするに関する書籍・論文は皆無??

読んだ本なら内容の詳細は覚えていなくても「あれっ?」と思った部分は記憶は残ります。「カゼインがボンドの働きをする」とのスタンダード医学・科学から、かけ離れた記述があれば記憶に残っているはずです。

カゼインに関することが書かれていた本をやっと見つけました。「酵素を摂れば、元気な身体がよみがえる」(N・ウォーカー著 船瀬俊介・酒井美保子監修 徳間書店)です。監修者の中に船瀬俊介さんの名前を見つけてイヤーな予感がしました。船瀬さんと言ったらあの「グーミン」医師と共著を出しているし、電磁波の恐怖について有る事無いことを振りまいていますし、ニセ医学・疑似科学を背景にワクチンは危ないと主張していますからね。→電磁波による健康障害、でもIH調理器で健康は害しないだろうけどね❗

牛乳有害論者のスピンオフ、牛乳の成分カゼインはボンド原料説かな?

牛乳って有害なんじゃない、と言われだしたのは私が知る限りは1984年に発行された「牛乳を飲むとガンになる」(森下敬一著 ペガサス)がきっかけだと考えます。この本の中に「カゼインが人体中でボンドの働きをする」との表記は発見できませんでした。

この牛乳有害論をリサイクル利用したのが「病気にならない生き方」(2005年 新谷弘美著 サンマーク出版)じゃないかな?出版社を見てニヤリとした方はかなりの事情通です。あの波動系さんの育ての親ですからね。

今回の「乳製品に含まれる成分『カゼイン』が体内でボンドと同じような働きをする」発言の栄養士さんの経営される会社及び関連サイトを見てみると「酵素」を学んだと記されています。

そこで「長生きの決め手は『酵素』にあった」(鶴見隆史著 河出書房新社)を読み返してみると牛乳は「成長期には大切な飲み物」と書かれています。欠点としてカゼインタンパク(カゼインはタンパクなんですけどw)が多く消化不良を起こすことを挙げています。どうやら酵素栄養学でさえ「カゼインはボンドと同じ」なんて意味不明のことは述べていません。

長生きの決め手は「酵素」にあった⁉は理解不可能 酵素栄養学は間違いなく疑似科学です。

長生きの決め手は「酵素」にあった⁉は理解不可能 酵素栄養学は間違いなく疑似科学です。

やっと見つけた船瀬さん監修の本でさえ「カゼインは人の消化管での吸収にむいていない」というような内容だけであり、「牛乳ではなく生クリームを食べましょう」的なアドバイスさえありますので、カゼイン=ボンド説はこのこの本がネタ元ではありません。

私の蔵書からカゼイン=ボンド説を見つけることは断念して、グーグルさまに頼ってみました。すると出るわ出るわ、「乳たんぱくがボンドの原料」「カゼインという物質は木工用ボンドの材料に使われて」などの記事が⋯もちろん全て伝聞形かつ一次ソース明記なし、引用先不明であり、牛乳は有害であるという説の裏付けとして誰かが言い出したに間違い無いのですが、一次ソースかつネタ元は確認できませんでした。「カゼイン=ボンド説」もちろん医学データサイトではかすりもしませんでしたけどね。

追記(2016年4月16日)とうとう元ネタの本を見つけました❗やっぱりあの酵素栄養学の権威??鶴見隆史さんの「朝だけ断食で、9割の不調が消える!」(学研パブリッシング発行)のP38に「カゼインタンパクはのりやボンドを薄めたようなもの。牛乳を飲むことはイコールボンドを飲んでいるようなものだと言えます」との記述がありました。2015年8月11日発行ですから、この管理栄養士さん的にはできたてホヤホヤの情報だったんでしょうね。

牛乳有害論のスピンオフとして乳製品に含まれるカゼインはボンドと同じ働きをする説が作られたのです、多分。

火に油を注いだ栄養士さんの思考を予想してみます

好きなブランドに「HelmesとZARA 」と書いちゃうお茶目な一面もあるボンド発言栄養士さんですので、蓄積した知識がごっちゃになっちゃったのでしょうね?(オッサン用解説:Hermesは正しくはLではなくRと書く超高級ブランドです。ZARAはどちらかというとスペイン産のカジュアルブランドでユニクロのイメージ)。社会人になってから管理栄養士の免許を取得した努力家ですから、多くのインチキを含む勉強会に参加して知識を積み重ねたことが多いに考えらえます。

カゼインが体内でプラスチックの働きをすると取材でおっしゃってしまった管理栄養士さんは多分

乳製品にカゼインが多量に含まれる → カゼインは接着剤として使用されている → 接着剤といえばボンド

と連想してしまった可能性を考えました(変な一派に洗脳されていない場合限定)。しかし、取材記事中に「カゼインが体内でボンドと同じような働きをする、とおっしゃる著名な先生方もいます」と書かれています、となると

著名な先生方って波動方面のあっち側に行ってしまった某先生や某某先生がそんなウソをこの栄養士さんに教え込んでいた

この可能性も否定できません。波動系添加物なんでも有害派が栄養士さんまで取り込んでいたら、それこそ大問題です。

豆知識

「カゼインはボンド」発言ですぐに頭に浮かんだのはコーヒーフレッシュのCMです。コーヒーにミルク様のものがグルグルと渦巻くCMって記憶にありませんか?実際にコーヒーフレッシュを入れてもあのグルグルはできないので、撮影時には「ボンド」を使用したんです。これはカメラマンの裏技として秘密のテクニックですので一次ソース、引用文献、引用サイトは明記いたしません(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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