【睾丸破裂】イタタタ、おお痛い‼男にしかわからないあの痛み。診断と治療について。

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聞くだけでも痛そうな「睾丸破裂」。どのような場合に睾丸は破裂して、どのくらい痛いのか、そしてその治療方法を解説します。

警察の発砲により睾丸破裂

ネットをふらふらしていたらこのようなニュースが目に入ってきました。

景観にゴム弾で撃たれて睾丸破裂した男

「Man claims Aurora police munition ruptured his testicle」(https://kdvr.com/news/man-claims-aurora-police-munition-ruptured-his-testicle/)

米国コロラド州で不法侵入した男性が警官の発砲したゴム弾が睾丸に命中して、睾丸破裂になったために警察を訴えたとの報道です。

睾丸破裂は泌尿器科医が遭遇する稀な外傷ですが、患者さんとしては猛烈な痛みのために、「睾丸が潰れちゃったかも」と心配して外来を受診することは珍しくはありません。特に少年が学校で友達とふざけていて股間を蹴られた、あるいはスポーツ中に睾丸にボールが当たったため、心配した親御さんとともに来院することが当院の場合は多いです。

睾丸破裂の症状は?

睾丸破裂(testicular rupture)は精巣破裂、精巣損傷とも呼ばれています。陰嚢及び睾丸が強い衝撃を受けることによって、睾丸(精巣)を包み込んでいる白膜( tunica albuginea of testis)が裂けることことによって生じます。フグやタラの白子って薄い膜に包まれていますよね、あの膜が裂けて中身が飛び出てくる状態をイメージしてください。

症状としてはもちろん強烈な痛みが特徴ですが、睾丸は体外にぶら下がった状態であるために生体の防衛機能として挙睾筋反射(クレマスター反射)や睾丸自体が動きやすくなっており、痛みはひどくても実際にはなかなか損傷されないような仕組みになっています。

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睾丸破裂は猛烈な痛みに伴いショック症状を引き起こすことさえあることは、男性ならば経験値から想像がつくと思われます。

睾丸破裂の視覚的に捉えることができる特徴としては陰嚢の皮下出血(一般的には内出血と呼ぶかな)と陰嚢の腫脹です。精巣は血液が豊富に流れている臓器であるために睾丸破裂になってしまうと当然血液が漏れ出てしまいますし、漏出した血液によってびっくりするくらいに陰嚢が腫れあがってきます(いわゆる「たぬきの金玉」状態)。

医療機関で睾丸破裂と確定診断する方法

「睾丸が潰れたかも」との精神的なダメージが大きな睾丸破裂疑いの患者さんの診察は困難を極めます。ショック症状には至らなくても猛烈な痛みや刺激症状のために嘔吐をしてしまう人もいますし、そもそも医師が触診によって触って睾丸の状態を把握することさえ痛みのために容易ではありません。

私が実際に有効活用している診断方法は「エコー検査」です。

睾丸破裂エコー画像

https://www.hindawi.com/journals/criem/2019/7058728/fig1/より

通常のエコー検査にカラードップラーという検査を同時に行うことによって、血液の流れを把握が可能になり、睾丸破裂と似たような症状である精索捻転症(睾丸がねじれてしまう病気)や精巣上体炎との鑑別診断も可能となります。

睾丸破裂の治療方法は

万が一、睾丸破裂と診断された場合は当院のようなクリニックレベルでは根本的な治療は不可能です。なぜなら、裂けてしまった白膜を縫合するか、あるいは残念ながら睾丸自体を摘出する必要があるためで、当然の流れとして病診連携をしている大病院へ紹介・搬送をします。

治療をするなら2日以内がベスト

不幸にして睾丸破裂になってしまった場合、大急ぎで治療を開始する必要があります。血の塊(血腫)があろうとなかろうと、裂けてしまった白膜を縫い合わせるか、あるいは損傷した睾丸の摘出術をしなければならないからです。

積極的な治療をしないことを「保存的治療」と呼びますが、睾丸破裂で血腫を伴った場合は損傷部位が感染したり、壊死したり、将来的に精子を作る力が落ちたり内分泌機能(男性が男性であることの証であるテストステロンは睾丸でつくられます)が低下したりします。

CTやMRIを備えた大病院を直接受診することは避けるべきことであり、救急車を呼ぶのも躊躇してしまう場合も少なくない睾丸破裂及び睾丸破裂疑い。

近くの泌尿器科を受診して、的確な診断を得て治療をするなり、積極的な治療をしてもらう病院を紹介してもらうことをおすすめします。

しかし、米国の警察を訴えた人って、そもそも非合法なこと試みたためにゴム弾で撃たれたわけで、実弾じゃなくて良かったねと思ってしまうけど・・・それよりあまりの痛さが訴訟という行動にさせたのかもね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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