アニメキャラになりたくて過激な美容整形をする海外の整形マニアがTV番組でたびたび取り上げられます。
健康上問題はないのか?おそらく誰もが感じる疑問でしょう。美容を扱っているクリニックの医師としてマジメに考察しました。
肋骨を6本切除してアニメキャラを目指した整形マニア
手術によって患者さんの望む姿かたちに変える美容方法を美容整形と呼びます。正式名称は「美容外科」なんですが、なぜか美容整形の方がポピュラーです。昔は有名女優さんに憧れて美容整形をする方が多かったそうですが、今は
アニメキャラを目指して全身美容整形❗
がネット上で話題になっています。顔の整形はよくありがちなものですが、極端にくびれたウエストを目指して、なんと肋骨を6本切除したとのことです。
医学的に肋骨を取っちゃうと健康上の問題が発生しないか、が最初に気になりました。理想のウエスト?を手に入れるために、肋骨まで切除しちゃうの?という点も気になりますよね。
ウエストが細いことに憧れるのか?
ウエストが細いシルエットに女性が憧れ、そんな姿を男性が望むという考え方は古来からあるものなのでしょうか?映画とかで昔のヨーロッパの女性が登場すると、ショックなことがあるとすぐに気絶する場面を見かけますよね。
あれはコルセットで腹部と胸部を締め付けているために、過呼吸気味になるとすぐに過換気症候群になるためと、医学的には予想されます。
あるいはかよわい女性を強調するための演出かもしれません。コルセットでウエストを締め付けるだけではなく、胸部を豊かに見せるために上に持ち上げる作用も求められるように発展しました。
コカコーラの瓶はウエストを締め付けた女性のシルエットをモデルにしている、と良く言われますが、実は都市伝説なんですけね。日本のマイナーな飲料で「コアップガラナ」というものがあるのですが(私は大ファンです)、この瓶のモデルは着物姿の日本女性⋯全然、ウエスト締まっていません。
「コアップガラナ」はAmazonでも買えるので興味ある方はぜひ(笑)
昔は欧米人はウエストが締まって、胸部がでかい女性を理想として、日本人はいわゆる安産型の女性が好まれたと考えます。
昔の人はこんな努力をしていたようです。明らかに肋骨が圧迫され不自然な形になっていますね。
肋骨を切除して健康上問題ないの?
美容整形のために肋骨を切除する、これは健康上問題ないか?と素朴な疑問が湧いてきます。
昔、結核が不治の病と考えられていた時に「胸郭成形術」という治療法がありました。今でも高齢の患者さんでお見かけすることがあります。結核に侵された肺を縮める「虚脱術」の発展型として、肋骨を切除して肺を縮める方法です。
この治療では片方の肺を取り巻く肋骨を4、5本切除することが多く行われて、結核に対して良好な成績を収めていました⋯だからこそ今でも時々この手術を受けられた患者さんに遭遇するんです。
しかし、骨を切除するという手術は高難度のものです。骨って出血しだすと、なかなか止血できないで焦りまくっている整形外科・呼吸器外科の先輩医師を何度か研修医時代に目撃しています。エラを改善するために骨を削る美容外科手術がありますが、術後に出血が起こり気道閉塞で亡くなった方もいらっしゃると風の噂で聞いています。
ひとさまの好みをとやかういうつもりはないけど
アニメキャラに憧れようが、セレブに憧れようがとやかく言うつもりはありません。
当院が目指している美容系の医療はその方がお持ちになっている良い点を引き立たせる、あるいは若かりし時代の姿かたちを取り戻すもので「アンジェリーナ・ジョリーにしてください」なんて患者さんはいらっしゃいません。アニメキャラにしてください、と患者さんがいらっしゃったら「テレビや漫画って一切見ないんで」と言って逃げる予定です。
しかし、今回のアニメキャラに憧れ全身整形した女性はこの方を知らなかったのでしょうか?
この女性はウエストなんと41センチ❗
コルセットを装着することで、ここまでウエストは細くなります。ピクシー・フォックスさんの写真もコルセットをしていますので、なにもわざわざリスキーな整形手術を受ける必要なかったんじゃないかな???