風邪と一般的に呼ぶ病態の原因はほとんどがウイルスです。200種類くらいのウイルスがかぜの原因になるとされています。
一方、細菌も風邪の原因になります。有名なところとして百日咳菌・インフルエンザ菌があります。このインフルエンザ菌は予防接種を行うインフルエンザとは違い、ウイルス性のインフルエンザに罹った人から検出された菌であるため、インフルエンザ菌と命名されました。
かぜ症候群と呼ばれるくらい様々な病態があります。鼻づまり・鼻水・喉の痛みの上気道の症状だけでなく、気管・気管支そして肺の症状も出ます。風邪だと思っていると実は肺炎に❗ということもありますので肺炎とかぜの簡単な見分け方をご紹介します。
あくまでご自分でできる範囲のものですから、風邪だと自己判断して放置することは危険です。必ず医療機関で診察を受けてください。
風邪と肺炎、風邪が原因となって肺炎になる可能性もある
症状が軽いのが「かぜ」、症状が重症なら「肺炎」という分け方は危険です
肺炎はかぜの重症なもの的に捉えると危険です。もちろん肺炎は生命を危険にさらす病気ですが、かぜでも思いっきり症状が重い人もいます。目安をお伝えしますね。
- かぜは症状が出てから1週間程度で軽快する
- 肺炎は一週間以上高熱・激しい咳が出る
- 全身症状がある場合は肺炎の疑いが強い
- 肺炎は呼吸器の機能にダメージを受けるために胸部痛・呼吸困難が起こる
このようにお考えください。
かぜは喉・鼻・気管支までの感染症で、肺炎は肺自体が感染した状態ということになります。全身症状を伴うインフルエンザと肺炎の見分け方は検査キットの使用で判断可能です。
かぜの症状が出て医療機関を受診すると聴診器を胸にあてるのが正しい医療なのですが、こんな問題もあります→診察時ブラジャーを外させるか否かで医師間で大論争が勃発している
肺炎であれば薄手の服の上から聴診してもある程度の見分けはつきます。また、患者さんの全身症状から大まかな判断はつきます。レントゲン写真も肺炎を見分ける方法の一つですが、近年検査による放射線被曝が原因で発がん問題がありますので、昔ほど安易に胸部のレントゲン撮影をしない医療機関も増えてきています。
もともと肺炎になりやすい幼児やお年寄りの場合は必ず聴診を受けるようにしてください。またお年寄りは高熱などが出にくい方もいますので、風邪だと思って放置しておくと実は肺炎で入院という事態になりかねませんのでご注意ください。
インフルエンザの原因はウイルス、抗生物質は効果ないけど処方される場合もある
ウイルスは原則的に二種類同時に人体に感染して重篤な症状を起こすことはありません。病原菌の干渉という作用によってインフルエンザとノロウイルスに同時に感染はしないのです。
インフルエンザとノロウイルスは同時に感染するか?という素朴な疑問
半可通の患者さんは「あそこの医者は風邪で抗生物質を出した、勉強不足」と考えます。「米国では風邪で抗生物質を出すなんて考えられない」ということをおっしゃる方もいます。風邪の患者さんに必ず抗菌剤を処方するのは考えものです。しかし、診察して肺炎になりやすい、二次感染を起こしている、肺炎の可能性も否定できない場合は当然抗生物質を処方します。米国でも風邪と思われる症状に対して抗生物質を処方することは普通に行われています⋯万が一肺炎で後で訴えられたら大事になりますから。
特にインフルエンザの場合は高齢者や幼児は体力を消耗しますので、肺炎(原因菌の多くは肺炎球菌)になりますので、注意が必要です。肺炎が死因の上位を占めるようになったために、65歳以上の方に肺炎球菌ワクチンを受けてもらいやすくするために各自治体が助成制度を採用しています。
医師がこの患者さんは肺炎のリスクが高い、と判断するポイント
カゼから肺炎になりやすい持病があります。糖尿病、腎不全、心不全が持病の方は感染症に弱いので、肺炎になっていないか聴診をします。持病の治療のためにステロイド薬を服用(塗り薬は除外)している方も免疫力が低下している可能性があるので、単なるかぜと自己判断はされないで医療機関を受診してください。喘息を持っている方も要注意です。かぜと同時に喘息発作が起きていると呼吸困難になり体中の臓器が酸欠状態になってしまいます。さらに肺炎を合併すると入院治療が必要となってきます。
日々肺を痛めつけているスモーカーも肺炎のリスクが高いですし、アルコール依存が強い人も肺炎になりやすいからオッサンたちは要注意❗