ベジタリアン系でビーガンは理解できないけど、マクロビオティックはどうかな?

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ある一定の食事方法が健康に良いと考え、偏った食事をすることを「フードファディズム」と呼びます。

極端な偏食を補うためにサプリの摂取を勧める食事療法もあるようです。動物愛護精神もプラスされている完全菜食主義のビーガンは残酷で衝撃的な画像をネット上で表記しているために、シーシェパードのスポンサーとされいるボディーショップの広告手法にインスパイアされているのでしょうか?

ビーガンの思想にはついていけないけど、マクロビならついていけるかも?

肉食中心の生活は生活習慣病を引き起こすだけでなく、発がん性も指摘されています。一般的な宗教において食のルールはありますが、絶対肉食はダメ、との人類が厳しい環境の変化を耐え抜いてきた食の歴史を否定しかねないものは見かけません。肉食禁止の厳格な食事制限を強いる宗教もあるかもしれませんけど、新興宗教の部類に属すはずです。飽食の時代における先進国のある意味贅沢な食事方法がビーガンであると考えます。

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頂点にmeatってあるんで、肉は少しは食べていいということですね。

マクロビオティックは絶対肉食禁止、ってわけでもないのは、四季に恵まれ、それなりに豊富な食材がある(あるいはあった)日本の豊かな食生活と白黒はっきりつけるのがあまり得意ではない日本人にとってはゆる〜い食事制限方法ですから、馴染みやすいと考えます。さらに日本発の食事療法であるマクロビオティックなのに、東洋思想に憧れる欧米人、特にハリウッドセレブが行っているために、おしゃれ感もあり、海外セレブはマクロビオティックを取り入れていることに惹きつけられている方も多いようです。

しかし、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブスがあまりにもベジタリアン系のマクロビオティックを行っていたために死期を早めた、なんて考えの方もいますので、マクロビオティックとはどんなもので、どれだけ健康に良いのか?などを考えていきます。

そもそもマクロビオティックは日本で考案された食療法です

調べた範囲では明治時代の軍医であった石塚左玄さんが、食養という考え方をして健康な体と健康な心は正しい食生活にあると唱えました。その食養学の基本は

・食本主義

・人類穀食動物論

・身土不二(しんどふに)

・陰陽調和

・一物全体

というものです。人類穀食動物論は賛否のあるところですが、人間の体は食べ物に影響される食本主義は言われてみれば当然の話です。身土不二というのは地産地消の元祖的な考え方で「土地柄にあった季節季節の食べ物を摂りましょう」という意味です。ここでかなり鋭い指摘がなされています。

陰陽調和⋯これはカリウムとナトリウムの関係に注目したものであり、塩分いっぱい(ナトリウム大量)はダメ、カリウムも積極的に摂り入れましょう、という「ナトリウム・カリウムポンプ」の本質を捉えているのです❗減塩醤油はナトリウムの代わりにカリウムが入っていますし、カリウムは過剰なナトリウムを追い出します。このナトリウム・カリウムポンプを発見した人々はノーベル化学賞を受賞しています、それも1997年に❗

このカリウムをしっかり摂りましょう、との考えが野菜中心・玄米食というマクロビオティックの基礎を作り上げているのです。生理学・生化学における画期的な発見の数十年前にこの考えを取り入れた石塚左玄先生って素晴らしい人物であったことは間違いありません。

マクロビオティックを世界に広めた桜沢如ーさん

マクロビオティックの創始者とされる桜沢(おうさわ)さんは、石塚先生の考え方をさらに発展させて貿易商であったことがアドバンテージとなりマクロビオティックを世界に発信させました。陰陽という欧米人の琴線に触れるキーワードで説明されるマクロビオティックは世界中に拡散されたという歴史となっています。

陰陽思想?に裏付けられたマクロビオティックは科学的なナトリウム・カリウムポンプ理論から、独自の発展を遂げアルカリ食が健康である、菜食主義それも極端なほど健康に良い(例 ビーガン)など元となった理論を生み出した石塚左玄先生や桜沢如一先生が予想しなかった展開と多種多様なアレンジを加えた流派が乱立しているのが現状のようです。

マクロビオティックで体調を壊した⁉

ウェブ上にはマクロビオティック絶対主義者のサイトが多数あります。その一方でマクロビオティックを実践して体調を壊した、と書かれたサイトもあります。さらにご自分でマクロビオティック専門店を開業しながら、自分自身が体調を崩したという笑うに笑えない話もあります(「僕が菜食をやめた理由」)。

健康を害して時にマクロビオティックや民間療法で対応をしていたけど、回復しないし、沖縄に移住(3・11の前であり、たまたまとのこと)しても体調は良くならない。菜食にしたら虫歯が増えた、全身に激痛が走る、低血糖症などなどに悩まされて、菜食主義をやめたそうです。

ここから考えられることはマクロビオティックを始めるならば、理論をあみだした石塚左玄さんの本、あるいは桜沢如一さんの本などの一次ソースを読み込んでから、自分にあった流派?を取り入れたらどうしょうか?

一見、健康食のマクロビオティック、入門したら入信、って落とし穴があるかもしれませんよ❗

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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