えーっと、シツコイようですが酵素について述べさせていただきます。
「酵素」っていうとなんとなく体に良いイメージがあります。そこで酵素でダイエットしよう、酵素で健康な生活を、酵素を飲んで元気な毎日的なスローガンの元、日夜酵素ジュースと称する、下手すりゃ食中毒を起こしかねないレシピを拡散している善意あるサイトが存在しています。
本記事の内容
酵素の嘘を信じる人がこんなに多いのだろう?消費者庁まで酵素ジュースのレシピを紹介する始末(笑)
先日、国民の味方であるはずの消費者庁が「クックパッド」でその酵素ジュースのレシピを掲載してしまいました。もちろん賢明なるツイッター愛好者の指摘によって速攻で削除された模様です。笑
酵素ジュースを放置したら、そりゃ食中毒になりますって。
なんで酵素は効果がないのか、酵素の嘘について
消化酵素として知られるアミラーゼは確かにデンプンやグリコーゲンを体内に吸収されやすい形に分解する働きをします。とくに日本の高峰譲吉が発見した「タカジアスターゼ」は麹菌からアミラーゼを抽出した胃腸薬であり、消化を助ける働きがあります。でもこのタカジアスターゼは細胞内に入って、体に良い働きをするわけではなく
消化管内で消化を助ける働きをする酵素
であることに注意が必要です。
もともと胃薬好きとされる日本人にとって麹菌から抽出された安心感とお餅を大根おろしにまぶして食べると消化がよくなるというおばあちゃんの知恵とが上手くマッチングした製剤で三共製薬を一流の製薬会社に育てあげました。しかし、巷に溢れる酵素の効果っていったらこれはインチキ・嘘・疑似科学・ニセ医学のオンパレードになってしまっています。
酵素だって体内に吸収されたら、酵素本来とは全く違い物質になるんだけどね❗
まず、食品として体内に入った酵素の多くは胃酸の働きによって効果を失います。酵素ってタンパク質ですから、食べた酵素は消化管内でバラバラになってしまって、当然元の形とは似ても似つかない物質に変化しちゃうんです。さらにタンパク質はアミノ酸が基礎となってできる高分子化合物ですから、酵素が体内に吸収されて体の細胞内に取り込まれる時点ではアミノ酸になっています。
ということは、酵素として様々な効果・効能があったとしても、消化管でバラバラになり、体内に吸収された時には酵素の「こ」の字は影も形もなくなっちゃうんです。
酵素と酵母を混同してしまう傾向
酵素に似た名前で「酵母」というものがあります。酵母は酵素とはにても似つかない物質で「真菌」の仲間、つまりカビの仲間です。
今回のやっちまった消費者庁の酵素ジュースがどんなものだったのか、現在サイトが削除されていますが、今までクックパッドのなどで見かけた「体に良い酵素ジュース」の紹介文で、驚いてしまった表現があります。
酵素ジュースは常温で一定時間放置しておくとより効果的です
って何に対してより効果的なのか意味不明な文章。さらには
酵素ジュースは常温で放置しておくと、プクプクと泡立つ音が聞こえます。生きている証拠です❗
なんてトンデモない文章もありました(記憶によるんで詳細は違うかもしれませんけど)、生ものを常温で放置しておけば、そりゃプクプクと腐敗する音が聞こえますって、そんなの飲んだら食中毒になっちゃうよ❗
発酵と腐敗の違いは微妙なんだけどね
2015年10月に京都女子大学の公開講座が「情報に振りまわされない食生活」というタイトルで怪しげな健康ブームに警鐘を鳴らしました。ここでは極端な食生活、ある一定の食品にこだわる「フードファディズム」にも言及しています(詳細はこちらを2015年10月 公開講座–京都女子大学)。ここでも当然、消費者庁がやらかしちまった酵素について酵素は死にます❗というという衝撃的なある意味当然の捉え方を紹介しています。
これらの高橋久仁子さんの主張は私の考えと同じです。
酵素ジュースを常温で放置したり、手でかき回したりすれば当然、常在菌が繁殖することが十分に予想されますし、食品として取り入れた酵素の多くは胃酸で死んでしまいます。発酵と腐敗の違いは単に食品として体に悪影響があるか、無いかの違いで区別しているだけであり、明確な分別方法は存在しません。
しかし、酵素関連健康食品の多さって困ったものです。
さすが楽天って感じでこんな沢山の全く効果が期待できない健康食品が並んでいます。でも、考えようによっては自宅でじっくり腐敗させた酵素ジュースを飲むよりは食中毒の危険は回避できるでしょうけどね。