意外と知られていない「ギンナン中毒」って何?子供は特に注意が必要です❗

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銀杏中毒⋯恥ずかしながら、この中毒しりませんでした。

子供が小さい時、居酒屋なんかで出される銀杏、バンバン子供に食べさせていました。

無知は罪、なんて言葉もありますが、医師でありながらオッサンの好物である炒った銀杏を幼子に食べさせるなんて、それこそ犯罪です❗と今だから言えますけど。笑

銀杏中毒って聞いたことありますか?

Ginkgo_nut_-_Google_検索

https://japanfoodstyle.com/ginnan-ginkgo-nuts/

今までブログで普通の人が安全だと思っているサプリの危険性を声を大にして訴えてきた私ですが、銀杏の毒性に気付いたのはある母親同士が「銀杏って子供に食べさせちゃだめなんだよね〜」との会話を耳にした時です。「銀杏で中毒なんてあるわけないじゃん、たんにそれはカブレタだけだろうよ」的に聞き流していました。でも、気になったので私の愛読書「健康食品中毒百科」(内藤裕史著)を紐解くとなんと載っています、それも銀杏には痙攣誘発物質が含まれる❗それで銀杏中毒が起きるとの記述が。

でも、内藤先生の本には優しく「日本人の食べ方で中毒をおこす人はなく、ギンナンを毒物と思っている人はいない」とも書かれています。銀杏中毒を知っている人自体が少ない(私も含まれる)と読み取れます。

ギンナンに含まれる4-O-メチルピリドキシンが痙攣を誘発する原因なのです。銀杏中毒の症例としてはてんかんの治療中の高齢者がイチョウの葉エキスを服用したところ、てんかん発作が連続して起きてしまい、ギンナンの実に含まれるメチルピリドキシンが原因だったものが掲載されています。

このメチルピリドキシンが原因⋯つまりギンナンを食べて痙攣発作を起こした例は以下になります。

  • 三歳児が20個ギンナンを食べて全身痙攣を起こした銀杏中毒の症例
  • 一歳児が10個ギンナンを食べて強直性痙攣を起こした銀杏中毒の症例

このような報告されています。

つまり子供にギンナンを食べさせると中毒が起こる❗これが銀杏中毒ということは紛れもない事実なんです。

ギンナン中毒のメカニズムは?

子供がギンナンを食べる、あるいは食べ過ぎて銀杏中毒症状が出現することは、おばあちゃんの知恵的に古くから言われていたようです。銀杏中毒のメカニズムはさすがのおばあちゃん知らないでしょうから、いろいろな文献を当たって調べてみました。

4-O-メチルピリドキシンは略してMPNと呼ばれますが、ピリドキシンって名前は皮膚科等で処方されるビタミンB6のピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンと似ています。それもそのはず、ギンナンに含まれる4-O-メチルピリドキシンを摂取すると、ビタミンB6本来の機能を妨害して、結局はビタミンB6が欠乏した状態になってしまいます。ビタミンB6が欠乏すると皮膚炎・リンパ球減少・うつ状態・脳波異常・そして痙攣発作が起きるのです。

気になるギンナン中毒を引き起こす年齢としては5歳未満は非常にリスキー、10歳未満でもリスクはある、と考えて良さそうです。

さらにどれだけの量を食べれば中毒になるか?という点では実際に人体実験をするわけにはいかないので明確な基準はありませんが、5個でも危ないという報告もあります。

小児にギンナンは避けるべきなんじゃないかな?

ギンナンに含まれるMPNが神経の伝達系に影響があり、神経系に異常によって痙攣発作が起きるのがギンナン中毒。ギンナンを好物とする小児は少ないと思われるので、お父さん・お母さんがお酒のおつまみにギンナンを食べるときに興味本位でお子さんにギンナンをあげることはやめといたほうがいいです。

じゃあ、子供の好物(今の子供は好物じゃないかな?)の茶碗蒸しにギンナンって入っていますが、これはどうでしょうか?茶碗蒸しに入っているギンナンって多分一個でしょうから、これくらいは食べて安全範囲と考えて差し支えないでしょう(絶対安全とは言い切っていませんのでご注意ください)。

ギンナン中毒の治療方法

お子さんが食事中に急に体調の不具合を訴えて、痙攣発作を起こしたとき「こりゃ、ギンナンが原因だ❗」と判断する親御さんは少ないと予想しますし、医師でも判断がつかないことが予想されます。

しかし、不幸中の幸いで「ギンナンで中毒症状が出る」という知識があれば、治療もすんなりと行えます。

ギンナン中毒はビタミンB6欠乏症が原因ですから、ビタミンB6を投与することが効果的とされています(北海道医療大学サイトより)。PLP療法という言葉で記されているサイトも見かけましたが、ピリドキサールリン酸(Pyridoxal phosphate 略してPLP) を投与、つまりビタミンB6を投与するということですね。

この場合は痙攣発作を引き起こしているので注射薬が選択されます。しかし、痙攣発作中の小児に対して静脈注射をするのはかなり高度なテクニックが必要となりますので、お子さんにはギンナンをたべるのは控えてもらうほうが賢明だと考えます。

良い子の皆さんは、炒ったギンナンの美味しさは大人になるまでのお楽しみにとっておきましょうね❗

このブログ、子供が読んでいるとは思えないけどね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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