「黒酢+発酵にんにく+卵黄+etc」サプリ業界も多剤併用療法の時代に突入だぁ❗笑

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抗がん剤を使用してがんを治療する場合、複数の薬剤を併用することが多いです。その大きな理由として違った作用機序の薬によって効果を高める、がん細胞の増殖サイクルのポイント、ポイントを薬によって邪魔をして増殖を抑え込む、抗がん剤に対する耐性を獲得する細胞を防ぐ、などの効果を期待して使用されます。そんな多剤併用があのサプリ業界でも始まっています。

サプリ業界もがん治療と同じように多剤併用療法の次元に突入⁉

例えば黒酢に卵黄をプラスする、にんにくを発酵させて卵黄をプラスするなんていう商品が続々登場しています。

抗がん剤の多剤併用療法に使用される薬それぞれには絶対的な条件があります。

単独でも抗がん効果が認められているという、言われてみれば当たり前の条件がつくのです。様々な体に良さそうな成分のサプリを複数組み合わせた場合、抗がん剤同様に効果が高まるのでしょうか?

発酵黒酢にんにく_-_Google_検索
黒酢とか発酵とか卵黄とキーワードを入れて、画像検索すれば同じような画面に出くわすはずです。

卵黄や黒酢や発酵にんにくは果たして単独で効果があるのか?

高血圧の治療も多剤併用をする場合があります。血圧を高くする原因も複数あるため、それぞれの原因を薬によって阻害して降圧効果を高めるのです。その利点として一剤を効果をより出すために大量に使用した時に予想される副作用を減らすことが可能です。

しかし欠点として組み合わせることにより副作用を増強、あるいは知られていなかった副作用を生じてしまう場合もあります。もっとも降圧剤に限らず医療で使用される多剤併用療法は単独でも効果があることが、絶対条件となります。では黒酢や卵黄やにんにくや黒にんにくは単独でどんな効果があるのでしょうか?

サプリの場合、薬ではないので薬事法で効果・効能を宣伝できませんので、ネット上、テレビCM、折り込み広告などから、言わんとしている効果・効能(本当は言っちゃいけないのですけど。w)を推測してみます。
○黒酢⋯血液をサラサラにする。抗酸化作用がある。血圧を下げる。ダイエット効果。
○卵黄⋯ビタミンEが豊富なのでコレステロールを下げる。抗酸化作用。肌荒れ防止。がんの予防。

○ニンニク⋯ビタミンB1と同じような成分があり、疲労回復に効果ある。

○黒ニンニク⋯普通の白いニンニクを熟成・発酵したもので、ニンニクの刺激臭が少なく、効果はにんにくと同じ?

それぞれの食品というかサプリに上記のような効果・効能を期待していて、とりあえずまとめて入れちゃおか、ってわけではないのでしょうが、お得感を醸し出すために多剤併用サプリにしたような気がしないわけでも⋯。

そもそもサプリは本当に効果があるのか?

サプリは健康に対して全く効果がない、なんてことは言いません。卵黄でも黒酢でもにんにくでも、含まれる成分の効果を医学的に実験した論文も多数あります。しかし、近藤誠先生ではありませんが、「抗がん剤は細胞を殺すんで毒」という極端な考え方をしなくても

効果があるのなら副作用もある

可能性も大です。自然界にある植物や食物で、人間の体に何がしかの効果のある成分を抽出したのが薬であり、その成分を人工的に大量生産するのが製薬メーカーです。現在、スタンダードな医療で使用されている薬剤のなかでも非常に珍しい貴重な自然界に存在するものから抽出した薬もあります。効果のはっきりしている成分を選んでいるのが薬剤なのです。

ということはサプリは食品ですので、効果がない成分、つまり余計な成分が入り混じっている可能性もあることになります。漢方薬の場合、複数の食物・植物・鉱物がごっちゃになっていて、ある病気に対してどの成分がどんな働きをしているのかというエビデンスに乏しいものもありますが、長〜い伝統医療の経験値の積み重ねから多剤併用になったんでしょうね、多分。

スタンダードな医療で使用される薬を極端に嫌う人がいますが、サプリで効果を求める場合、余計な成分も一緒に取り入れていることは気にならないのでしょうか?確実な効果を求めるのなら普通の薬の方がデータの蓄積もたっぷりありますし、作用機序も明確になっていますので、安心だと思いますけど。

多剤併用療法の弊害

例えばAとBという薬を併用した場合、効果は1+1=2となる場合もあります。しかし、1+1=1.5の場合もありますし、お互いに効果を打ち消して1+1=0なんて結果になる場合もあります(理系のオッサン、=じゃ、ないじゃんってツッコミは無しでお願いします)。逆にマイナス、組み合わせることによって副作用が出現することも多々ありますので、軽々しく多剤併用することは控えるべきです。

先日、排尿障害を主訴として他院に通院している患者さんが「全然効果が無い」とのことで当院を受診しました(私、実は専門は泌尿器でして)。その方の飲んでいる薬をみてビックリ仰天❗現在、保険診療で許されている排尿障害の薬が全て処方されていたのです。精神科での多剤併用が問題になっています。副作用を消すために薬がプラスされ、その組み合わせで出現する副作用に対応するためにさらに薬がプラスされているようなことが実際に行われています。

山本太郎議員、精神科の薬を飲んだふりして吐いてはいけませんよ❗

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精神科における多剤併用問題は対岸の火事ではなく、自分の専門分野にも飛び火していたのです。サプリの多剤併用療法?も同じような効果は半減、副作用は2倍なんてことが起きる可能性もあります。

しかし、サプリ会社の方、体調に異常を感じたら医療機関を受診してください、って能書き止めてもらえませんか?だって、そもそもどの成分がどんな効果があって、何と組み合わせるとどんな弊害があるのか知っている医師ってかなり少ないですよ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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