注意❗新型コロナ感染症だけじゃなく、結核の集団感染が発生しています。

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新型コロナ感染症禍の最中に地味に結核の集団発生が報じられています。

結核は過去の病気、昔の感染症のイメージと考えている人も多いようですが、最近でも毎年2000人前後が結核で亡くなっています。

結核の予防方法としてBCG接種があっても、なぜ結核に感染して死亡する人がでてしまうのでしょうか?

新型コロナだけが死に至る感染症じゃないよ

2020年は7月になっても感染症と言えば、新型コロナの話題ばかりがメディアで取り上げられます。

この記事を読んだ方、かなり少ないのではないでしょうか?

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https://mainichi.jp/articles/20200715/ddl/k40/040/428000c

毎日新聞 「北九州市で7人、結核に集団感染 1人死亡 /福岡」

さらに、これも読んだからは少ないのでは。

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https://www.sanyonews.jp/article/1030209

山陽新聞 「岡山市内で結核の集団感染 60代女性、同居家族など計6人」

これは小学生が感染源と集団発生が発生したことを報じています。

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https://mainichi.jp/articles/20200710/ddl/k27/040/282000c

毎日新聞 「結核集団感染、東大阪で発生 市が発表 /大阪」

北九州の結核の集団感染は昨年末に発生したもの、岡山の結核の集団感染は今年の4月に発生したもの、東大阪の集団感染は今年の2月に発生したものです。

新型コロナ関連の派手な報道の陰で、地味であっても確実に集団感染を引き起こす感染症があることに注意が必要です。

BCGって名称が問題かも、「結核の予防接種ってないの?」と勘違いされてしまうことも。

昔は結核は死に至る感染症であり、亡国の病であるとも考えられていました。日本では国を上げての結核撲滅計画が功を奏して、結核なんて昔の病気じゃん、と思われてしまうようになりました。

日本で結核の感染を減少させた大きな要因はもちろんワクチン接種です。でも、結核予防ワクチンってあまり聞かないですよね。結核の感染を防ぐワクチンはBCGと呼ばれているものです。BCGって最近耳にしませんでしたか?

例えば先日もこのような報道がありました。

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/bcg-2.php

ニューズウィーク 「『BCGは新型コロナ感染症による死亡率の軽減に寄与している可能性がある』と最新研究」

BCGが新型コロナ感染になんらかの良い影響があることは、かなり前から取り沙汰されています。その件に関しては明確な回答は出ていない段階である点にご注意ください。

残念なことに、早まってこんなことをしちゃった医師がいます。

BCGを新型コロナ予防のために注射⁉非常識にもほどがある(怒)

BCGを新型コロナ予防のために注射⁉非常識にもほどがある(怒)

トンデモさんなのか、無知な医師だったのか。

BCGはあくまで赤ちゃん専用のワクチンであることをご理解くださいね。新型コロナ感染予防としてBCGが使われると赤ちゃん用のBCGが当然不足してしまいますから。

結核の感染を予防するために、ワクチンとしてBCGが接種されているのに、なぜかBCGのことを一般的には結核予防ワクチンとは呼びません。子宮頸がん感染を予防するHPVワクチンを子宮頸がんワクチンとは正式には呼びません。

なぜそのようなわかりにくい名称が正式なものになったのか、不思議といえば不思議ですが、名称のために、自分は結核を予防するためのワクチン接種をしていないかも、と勘違いしている方もいなくは無いようです。

BCGで結核予防しても、感染するし死亡者もでるのはなぜ?

2020年7月16日現在、新型コロナによる死亡者数は983名。昔の感染症と思われている結核、しかし、ここ数年でも毎年2000人前後の方が亡くなっています。

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政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報

平成30年(2018年)は2206人の方が結核で亡くなっています。

BCG接種によって防ぐことのできるはずの結核で死亡者がゼロにはならないのかと素朴な疑問がでてきます。

人類が制圧に成功した感染症として天然痘があります。1977年にソマリアでの感染者が人類最後の天然痘感染者となり、1980年にWHOは天然痘の世界根絶宣言をだしたのです。

日本では1976年まで天然痘の予防接種(定期接種)は行われていたので、肩のあたりに種痘の痕があることによって、年齢がばれちゃいますね。

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https://www.healthline.com/health/smallpox-vaccine-scar#vs-bcg-with-photo

ちょっと前置きが長くなってしまったけど、BCGという予防接種を行なっていても、なぜ結核に感染してしまうのかという素朴な疑問がでてきます。

厚生労働省のウェブサイトには、以下のような傾向が記載されています。

結核罹患率は、70歳以上の高齢層で高くなっている。60~69歳の罹患率は10.0で全体の罹患率より低いが、70~79歳で19.7、80~89歳で51.2、90歳以上では82.8となっている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00002.html

BCGの効果は一生モノでは無い点が問題であり、いまだに結核が蔓延している国々もあるため、海外から入り込んできた結核が免疫がおちた高齢者や持病がある人に感染するのではないかと考えられます。

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https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name65.html

世界を見回してみると、結核は昔の病気では無いことがわかりますよね。

結核の感染経路は空気感染です

新型コロナの感染経路は飛沫感染・接触感染です。ごく一部で空気感染する可能性もあるように言われていますが、現時点で新型コロナの感染経路として空気感染はあったとしても、主ではないと考えられています。

一方の結核の感染経路は空気感染であり、飛沫感染や接触感染ではありません。

結核の場合、感染したからと言って全員が発病するわけではなく、感染して発病するのは1〜2割程度です(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/tb/などによる)。

結核は予防効果のあるBCGという予防接種があります。以前は乳児検診時にまとめてBCGの接種は行われていましたが、現在は個別接種になっています。BCGの対象年齢は生後1歳のお誕生日の前日までとなっています。

おまけ:BCGの痕って残らないよ、と説明をしている医師もいるようです(っていうか、私は自分の子供の予防接種時にそのように説明された)。BCGの痕(はんこ状の接種機器を使用)は個人差があっても残ることが多いため、目立たない場所への接種をリクエストする親御さんがいるようです、でも、これはダメ。

薬事法上、BCGは上腕外側の中央部分に接種と決められています。目立たないように、肩にお願いします❗って方もいるようですが、肩はケロイドになりやすい部分なので、決められた位置で接種を受けましょうね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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