AERAさま、いくらなんでも衝撃結果「陽性率4割」とは煽りすぎなのでは?

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新宿で新型コロナのPCR検査を行ったら陽性率が4割!とAERAは報じています。

まずこの4割という数字はAERAのスクープでもありません。そして新宿という事前確率が高いエリアにおける数字だから当たり前とも解釈できます。

このようなセンセーショナルな数字だけを独り歩きさせることは、新宿で飲食を営んでいる方々とって大変迷惑な記事だと思います。

AERAは新宿のPCR検査センターの陽性率が4割、と煽るけど⋯。

メディアは煽ってなんぼ、視聴者数や読者数を稼ぐのが仕事の一つであることは理解しています。

しかし新型コロナ感染症禍の最中にミスリードで必要以上の不安を煽る姿勢は批判されるべきだと思います。AERA dot. (アエラドット) は少しばかり度が過ぎているぞ❗と感じざるを得ません。

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https://dot.asahi.com/aera/2020071300057.html?page=2

新宿区PCRセンターで「陽性率4割」の衝撃結果⋯桁違いの跳ね上がりに「感染拡大は明らか」と医師

は、煽りすぎのタイトルだと思うのです。

そもそも、陽性率が37.3%ということは他誌が3日前に記事にしているのでAERAの記者がスクープしたものでも無いですし、毎日毎日陽性率が4割に達しているわけでもありません。この記事を書いた記者はなんでひとりで「衝撃結果」と、いきり立っているのか不思議です。

次亜塩素酸水で消毒している医療機関の意見を聞いてもねえ⋯。

ウイルスが付着した備品の消毒に次亜塩素酸ナトリウムが医療機関や家庭で使用されています。次亜塩素酸水という次亜塩素酸ナトリウムと似た名前のウイルス消毒剤が販売されていても、まっとうな医師は次亜塩素酸水を消毒(正確にはウイルスの不活化)には使いません。

AERAの記事には

診察室の中の机や椅子を次亜塩素酸水で消毒する回数も、決められた時間だけではなく、できるだけ多くするようにするなど、「個人的な“警戒レベル”も上げています」(医師)。

と、書かれています。この記載を見た医師の多くは、「次亜塩素酸水で机や椅子を消毒するような医師の話を聞いて参考になるかねえ⋯」と苦笑していると思いますぜ。

もしもこの医師が次亜塩素酸ナトリウムと言ったことを、記者さんが次亜塩素酸水と同じものと思い込んで「次亜塩素酸水」と書いちゃった可能性も考えられても、次亜塩素酸水が様々なメディアで議論されてかれこれ数ヶ月は経過しているだけどねえ、AERAの記者さん、大丈夫ですか?

そもそも、冒頭の都内病院に勤務する女性医師は

「今回こそ本物の波が来るかもしれないという雰囲気は漂っています」

と語っています。そもそも「本物の波」って何?今回こその「こそ」って何とイヤな絡み方をしたくなってしまう記事です。

AERAが入手した驚くべきデータ、全然驚かないのですけど⋯。

AERAの記者さんは、驚くべきデータを入手しちまったようです。

感染拡大の震源地となっている新宿区だが、アエラが入手した資料には、さらなる危機を感じさせる、驚くべきデータが記載されていた。

につづき

5月の連休前、検査数は54~62件程度で、陽性率は2.0~8.2%で推移していたが、その後の陽性率は跳ね上がる。6月30日~7月3日の期間は検査数92~140件で、陽性率は29.2~37.3%と文字通りの桁違いだ。

あの〜、新宿のPCRセンター(新宿区新型コロナ感染症検査スポットが正式名称だと思われます)のデータなんて以前から公開されているですけどねえ⋯。

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https://www.m3.com/news/iryoishin/781612より

たまたま陽性率が37.3%の日があったために、「陽性率4割」❗ってこの記者さんは衝撃の結果と受け止めたようです。

アエラの記事は7月14日付、でもさあ、3日前の7月11日付の日経では既に

東京都医師会によると、今月3日には37.3%となった。検査を行っている国立国際医療研究センターは「緊急事態宣言が出される前の状況と似ている。市中感染が心配だ」という。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61425070R10C20A7EA2000/

と報じていますので、別にAERAの記者さんが独自にスクープしたデータでは無いですね。

一般的には検査数を増やせば陽性率が下がると考えられています。新宿の場合、検査数を増やしているのに陽性率が上がっているは、不思議に感じられます。

しかし、新宿の場合はめちゃめちゃ事前確率が高いところにターゲットを絞って検査をしているのだから、通常より陽性率が高いのは当たり前じゃん❗と解釈することも可能です。

自民党支持者の中で安倍政権を支持しているのは、衝撃結果4割❗って騒いでいるのと同じようなことだと思うのです。

陽性率が37.3%であっても、特出した数字は通常は平均への回帰という現象によって(AERAの記者さんはご存じないでしょうけど)、最終的には落ち着いた数字になっていきます。世界一の感染者数を記録している米国では7月14日の時点で、検査数は4331万2360件、桁違いの衝撃的感染者数は348万3362人で陽性率は約8%であることを補足しておきます(https://www.worldometers.info/のデータを使用)。

追記:AERAの記者さんはご存じないだろうけど、厚生労働省の公表されたデータには、東京都全体の陽性率が38.1%だった時期があります。

陽性率38.1%のよっぽど桁違いじゃん❗

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https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000625188.pdf

厚生労働省のデータでは、新宿という限られた地域の37.3%どころじゃなくて、東京都全体で38.1%の陽性率ですぜ❗

社会心理学の専門家が指摘していることに気が付かないAERAの記者さん

この記事でしっかりと社会心理学の専門家は述べています。

手っ取り早いのは特定の人たちを選んで攻撃することです

新宿という特殊な地域におけるPCR検査の結果を陽性率4割❗衝撃結果として扱っていることが、特定の人たちへの攻撃になってしまうことに気が付かない、鈍感な記者さんなんですね。

新宿の感染症のプロはこのように述べているけどなあ⋯。

AERAの記者さんが陽性率4割と騒いでいるのは6月30日~7月3日のデータ。この衝撃結果(笑)が出ている最中に新宿の感染指定病院に勤務する感染症のプロ中のプロはこのような記事を書いています。

新型コロナ感染症の新規患者が連日入院しているものの、病床が足りなくなるほどの状況ではなく、休日のオンコール当番の日であっても午前中からこのような記事を書くことができるほどです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200705-00186454/

この記事を書いているのは、忽那賢志先生です。忽那先生は国立国際医療研究センターの際感染症センターに勤務する、新型コロナ感染の最前線中の最前線で活躍しているプロ中のプロは余裕なんですけどね。

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前掲m.3より

さらにAERAの記者さんが「新宿のPCRセンター」と書いているのは、「新宿区新型コロナPCR検査スポット」のことであり、このスポットって、忽那先生が勤務されている国立国際医療研究センター病院の敷地内にあるんだよ。

新宿の対象者を絞り込んだ検査の結果に一番近い場所にいる忽那賢志先生がYAHOO!ニュースの記事を書くほど時間があるよ、と書いている日付は7月5日。 AERAの記者さんがの衝撃の結果❗って騒いでいるのが6月30日から7月3日のことでしょ。忽那先生は「4割陽性❗」ってパニックにはなっていないようですね。

人の嫌がることを率先してやりなさい???

人生訓として「人が嫌がる仕事を率先してやりなさい」があります。もちろん、嫌がらせを率先してやることではないですよね。AERAの記者さんは居酒屋さんが自分たちとホストクラブやキャバクラを一緒くたにするような都の発表に憤っていることを取材しておきながら、陽性率4割、とセンセーショナルなタイトルを付けています。

新宿のホストクラブやキャバクラ関係者以外の夜に営業している飲食店の方々は強く憤ってAERAのこの記事に抗議をしてもいいのではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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