サウナは寿命をのばす効果がある❗回数と時間に注意も必要です。

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サウナといえばフィンランドが発祥の地とされています。そのフィンランドの研究者によってサウナに定期的に通うと長生きするという研究が発表されました。高温の部屋に閉じ込めらえて、ウンウン唸りながら発汗し、その後水風呂に飛び込むサウナ。老廃物を体外に出し(デトックスという表現は×)、汗をダラダラ垂れ流すサウナですので、心血管系への影響が気になるところです。

サウナは健康に良さそうだけど、危険もありそうな気もするけど⋯

サウナって以前はオッサンが二日酔いから脱出するために利用していたイメージがあります。今では健康ブームやフィットネスクラブの普及によって女性でもサウナファンが増えています。

サウナ発祥の地とされているフィンランドの研究者によって「サウナに定期的に通うと長生きする」という研究が発表されました。

フィンランドの人の生活環境・生活様式・体質を考えると、この研究が即日本人にも当てはまるか、は若干の疑問が残ります。まずは今回の研究はどのようなものだったのか検討していきましょう。

サウナに定期的に通うと、行かない人と比べると長寿で心臓発作で死亡する危険が減少❗

今回の「サウナって健康にいいのよね〜」を裏付ける論文は「Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events」 (JAMA Intern Med. Published online February 23, 2015.) に掲載されています。

オンラインとはいえJAMAは権威ある医学専門誌ですので、信頼度の高い論文とお考えください。「サウナと心血管系の病気と全死亡率との関係」って感じのタイトルです。

この論文の内容をざっくりまとめると

  • フィンランドに住んでいる男性2315人を対象とした
  • 心血管系が関連すると考えられる病気が死因となった人数を調査
  • 突然死は週1回サウナに通う人と比べて、週4-7回通う人は63パーセント低下
  • 冠動脈疾患で死ぬ人は週1回の人と比べて、週4-7回通う人は48パーセント低下
  • 心血管系疾患で死ぬ人は週1回の人と比べて、週4-7回通う人は50パーセント低下

と、とにかくサウナは健康、心臓病で死ぬリスクも減る!とサウナベタ褒めの論文です。

さらに一番気になる長寿ですけどサウナに週1回通う人比べて、週4-7回通う人は40パーセント死亡リスクが低下するという、サウナ好き全面勝利の結果になっています。

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前述論文より

でも、ちょっと注意が必要ですよ、この論文

サウナに入ると、先に入っていた先住民的オッサンより先には出ないぞ、と無駄な競争意識を持つことありませんか?今回の論文は頻回にサウナに通えば、たまにしかサウナに通わない人より、心血管系の病気で死ぬことも少なくなるし、死亡全体のリスクも減らすという内容です。

でも、サウナに入っている時間に関しては注意が必要です。入浴時間が11分と19分超に分けた場合、長時間サウナに入っていた人ほど、突然死のリスクは低下していましたし、冠動脈疾患、心血管系疾患の死亡リスクも低下していました。しかし、なぜか全体の死亡リスクにはサウナに入っていた時間は関係なかったのです。

長く入れば入るほどサウナは健康にいいと勘違いすると、こんなことにもなります。

フィンランド・ヘイノラ(Heinola)で7日に行われたサウナの我慢大会で、決勝に進出した2人が病院に搬送され、うち1人が死亡する事態となった。
「サウナ世界選手権(Sauna World Championships)」のOssi Arvela代表は、「ロシアから参加したVladimir Ladyzhenskyさんが亡くなった」と発表した。 不調を訴えたもう1人のフィンランド人のTimo Kaukonenさんは、ヘイノラより大きい都市ラハティ(Lahti)の病院に搬送されたという。この大会は、摂氏110度のサウナ室内で時間を競うもので、1999年から毎年、首都ヘルシンキ(Helsinki)の北138キロにあるヘイノラで開かれている。今年は15か国から135人が参加しており、Kaukonenさんは前年の大会覇者で、死亡したLadyzhenskyさんも、優勝候補の1人だった。

フィンランドのサウナ我慢大会で死者

亡くなった方は気の毒ですけど、どこの国でも無意味な競争に命をかけるオッサンがいるようです。

正しいサウナの入り方

長寿を目指してサウナを利用する場合は時々ではなく、毎日通ったほうがよさそうな結果がフィンランドの論文から示唆されます。お国自慢的な論文の可能性もありますけど、日本のサウナ利用者が気をつけないといけない点は以下のとおり。

  • サウナ後の水風呂は心血管系にストレスをかける可能性があるので、水シャワー程度にしておいたほうが安全
  • 脳への血液が十分に行き渡らない可能性があるので、食後のリラックスした状態でのサウナの使用は控える
  • 発汗による脱水を予防するために、十分な水分を補給する(サウナから出て体重計に乗って、減ったとよろこんで、その体重をキープしようとして飲水を控えてはダメ、特に女性は注意)

以上、このような注意をしながらのサウナなら、心血管系の死亡リスクを低下できるはずなんですけど、サウナには必ず次の注意書きがあります。

心臓病、高血圧症、皮膚疾患、お年を召した方、病気療養中の方、薬服用中の方は、医師にご相談ください

今回の論文を読んでしまった相談された医師は心臓病の死亡リスクをサウナが下げることを知っているばかりに回答に迷ってしまいます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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