日本で開発されたマラリアのワクチンがアフリカで大活躍する可能性が大いに期待できます❗

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マラリアといえば、熱帯地方での感染症というイメージが強いのではありませんか?実は韓国でもマラリアは発生していて、温暖化が進むと日本でもマラリアを媒介する「ハマダラカ」が繁殖するのではないか、と危惧されています。

日本で開発されたワクチンがアフリカで大活躍する可能性❗

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KBS World Radioより

マラリアといえばその致死率の高さから、アフリカの幼児の命を多数奪ってきています。

●マラリアは、寄生虫によって起こる、生命に危険のある疾患で、感染した蚊に刺されることにより人に感染します。
●2012年には、推計で62万7,000人(47万3,000人から78万9,000人までの不確実性の範囲があります)がマラリアで死亡
し、そのほとんどがアフリカの小児でした。
●マラリアは予防することができ、治療できる疾患です。
●マラリアの予防と制御対策が進み、多くの場所でマラリアによる負荷が劇的に減少しています。
●マラリアが常在していない国から渡航する免疫のない人が感染すると、非常に脆弱です。

厚生労働省検疫所

そのマラリアの対策としてワクチンの開発が急がれていました。抗マラリアワクチンが昨年2014年にグラクソ・スミスクライン(ワクチン否定論の方には気になる会社ですよね、あの子宮頸がんワクチンを開発したメーカーですから)よりEU圏内で薬事の申請が提出されました(これって確か防御率30パーセントくらいだったんじゃなかったけ?)。

実は大阪大学がBK-SE36マラリアワクチンを開発して、実際にマラリアの危機に面しているウガンダで使用されて、その途中結果が発表されています。その発症防御はグラクソのものより二倍以上なのです。マラリアワクチン開発は海外の巨大メーカーより日本の方が先を行っているのです。

マラリアの72パーセントに効果があった、大阪大学開発のBK-SE36というワクチン

日本が開発途上国に貢献できることの一つとして、医療援助が挙げられます。多くの子供の命を奪うマラリアを日本が開発したワクチンが効果を発揮したら素晴らしいことになります。いくら効果があっても、副作用があってはいけません。

大阪大学の開発したワクチンは

2010-2011年にウガンダ政府当局の許可を得てウガンダ北部リラで第Ib相臨床試験を実施しました。安全性を確認した後にワクチン接種者66名と対照群66名(若年者6-20歳)について1年間に亘り健康状態と血中原虫率を観察し、マラリア発症に及ぼすワクチン効果を観察しました。マラリア発症は血中の原虫数>5000/μLと37.5℃以上の発熱を同時に見た場合として計測されますが、ワクチン接種群においては図3に示すように72%の発症防御効果が観察されました(p=0.003)。この効果は、世界中でこれまで発表されてきたどのマラリアワクチンよりも高いものです。

www.jsps.go.jp

以上のように対象人数は少ないながら素晴らしい効果を上げています。今年2015年から1年かけてブルキナファソでも臨床試験が行われる予定です。

日本が平和的に世界に貢献できる方法の一つとしての医療活動

日本は憲法の問題があり、内戦状態にある開発途上国への援助や国際紛争地での軍事的貢献は現状では不可能です。また、ただ単に食料援助と称してお金だけで貢献する方法も海外からは冷ややかな目で見られています。平和的(この言葉は使用上の注意が必要です)、人道的支援として医療という選択肢もあります。明らかに他国の製薬メーカーが開発したマラリアのワクチンを援助するのは、憲法でがんじがらめ状態の日本が優先的に選択していいものだと考えられます。

ワクチンの特徴としてブースト効果というものがあり、幼児の場合インフルエンザワクチンを二回接種するのもその効果を期待しています。今回の大阪大学が開発したBK-SE36マラリアワクチンもブースト効果が認められています。

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PLoS ONE 「Phase 1b Randomized Trial and Follow-Up Study in Uganda of the Blood-Stage Malaria Vaccine Candidate BK-SE36」 (May 28, 2013DOI: 10.1371/journal.pone.0064073) より
二回接種をしたグループとしなかったグループを比較すると、上記グラフのように大きな差がでてきます。

日本発のワクチンの優れた点

ワクチン反対派が嫌う水銀は含まれていません。添加剤は水酸化アルミゲルだけであり安全性は高いものです。アルミニウムがアルツハイマーと関連しているのではないか、という疑いは100パーセント否定はできていませんが、アルミニウムを接種あるいは摂取したことがアルツハイマーの原因である、という判断もできていません。

江戸末期に日本に持ち込まれた持ち込まれた天然痘ワクチンは子供に接種しながら、その種を日本中に広めていきました。子供をワクチンの貯蔵庫的に使ったことは今では人道的に許される行為ではありませんが、その天然痘ワクチンで救われた人の子孫が私たちであることも間違いのない事実です。

アフリカの現状を考えると将来非常に考えにくいことではあるのですが、万が一アルツハイマーの発症が今回のマラリアワクチンが原因であったとしても、今そこにある死の危険から救うことが抗マラリアワクチンは出来るので、積極的に使用することを否定することは難しいと考えます。

今回使用されたワクチンは凍結乾燥剤ですから、安定性が高い、価格が安い、接種を受ける側の免疫機能によってワクチンの効果が弱まる可能性が低い、というかなり優れたワクチンです。陰謀論ではありませんが、世界的巨大医薬品メーカーがこぞって開発している薬は抗がん剤とワクチンです。そんな巨大医薬品メーカーの先を越した日本発のワクチン、まさに「頑張れ日本の医療研究者❗」ではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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