オルニチンというアミノ酸を含んだサプリの広告をよく見かけます。
「なんとシジミ300個分のオルニチンがたった一粒に」という感じのキャッチコピーなので、「おおー、シジミ300個分もオルニチンが入っている❗」と単純に驚いてしまいます。
シジミの味噌汁を二日酔いの朝に飲むとシャキッとする、なんて感じのことは昔から言われていますし、気の利いた小料理屋(こんな言葉というかお店は死語かな)でも、飲んだ後に女将さんが小さなお椀に入ったシジミの味噌汁をだしてくれたりしました。
本記事の内容
そもそもオルニチンというアミノ酸はどのような働きをしているのか?
お疲れモードのオッサンが飲み疲れて、二日酔いしないで翌日リフレッシュして仕事に励めるのをサポートする働きがシジミ、つまりシジミに含まれるオルニチンに期待してしまう効果です。それを裏付けるかのようにオルニチンを含むサプリの宣伝では
1:家族の健康を気づかう方
協和発酵バイオ
2:毎日を忙しくお過ごしの方
3:若々しさを心がけたい方
4:健やかな朝を迎えたい方
5:夜のお付き合いが多い方
このようになっています。これは協和発酵という元々「コニール」という降圧剤を作っていた製薬メーカーがキリンに合併吸収されて協和発酵バイオという会社になって、以前ほど医薬品には力を入れないで、サプリに走ってしまった結果の広告です。
タイトルは「この疑い深い私がオルニチンを飲む理由」となっていて有名漫画家(私は彼のファンです)がイメージボーイ?キャンペンボーイになっています。 オルニチンはサプリメントですので、薬事法の関係で効果効能をはっきりと表示することができませんので、ここで使われているサプリ広告用語を本当はどんな状態の改善にオルニチンが効果を示し、効果はどのようにして作用するのかを私なりに余計なおせっかいで解説します。ちなみにオルニチンはアミノ酸ではありますが、人間が自分の体内で作ることができないために、食べ物として摂取しなければならない「必須アミノ酸」ではないことを明記しておきます。
家族の健康に気づかう方、毎日を忙しくお過ごしの方へオルニチンが効果的
家族の健康を気づかう方
これはオルニチンを飲んでいると「体か軽くなって調子がよくなる」ということから、家族の健康を気にしているなら、家族にオルニチンを薦めなさいよ、という意味と解釈します。ご自分で実感があるから自信をもって家族の薦められますよ、ということでオッサンだけでなく奥様にもオルニチンを飲ませなさい、あるいはオッサンだけがオルニチンを飲んでいると、不埒なことを目的としていると勘繰られる可能性があるので、オルニチン愛好者に対する協和発酵の愛情あるアドバイスなんでしょうね、多分。
毎日を忙しくお過ごしの方へ
これはオルニチンの疲労回復効果を訴えている表現ですね。オルニチンは肝臓に到達したら(シジミのオルニチンがそのまま肝臓まで届くとは思えないですけど)、オルニチンサイクルと呼ばれる人体にとって毒である、アンモニアを代謝する仕組みに取り込まれ、アンモニアを尿として排泄させる役割のお手伝いをします、お手伝いという微妙な言い回しは決してこのオルニチンサイクルと呼ばれる尿素回路(医学部の生化学で学びます)の主役ではないからです。つまり、肝臓は解毒作用を司っているために、疲労がたまると肝臓にも負担がかかる、だからオルニチンを飲んで肝臓の負担を解消して、毎日多忙によって蓄積した疲労を回復しよう、ということを主張したいのです。しかし、疲労ってそんな簡単なシステムで蓄積されるものではないので、リポビタンDを飲んでファイト一発的に元気になる、というかなりプラセボ効果がなせる技と考えるのがスタンダードな医学的解釈です。
若々しさを心がけたい方にオルニチンは効果的です
若々しさ心がけたい方
まさにエイジングケアにはオルニチンが効果的である、ということを伝えたいのです。ひょっとして見た目の若さではなく、筋肉のついた男らしい体をイメージしていることが考えらえます。オルニチンをサプリとバカにしてはいけません。オルニチンが筋肉を増やす作用がある可能性は医学論文で示唆されています。「Effects of arginine and ornithine on strength, lean body mass and urinary hydroxyproline in adult males.」(J Sports Med Phys Fitness. 1989 Mar;29 (1) :52-6.)という医学論文は成人男性22人にオルニチンを登用して筋トレをしてもらったら、筋肉量が増え、さらに脂肪量が減少した、とう内容を報告しています。
つまり、オルニチンで筋肉もりもりの若いたくましい肉体を手に入れることができるかも、と伝えたいのですね。
健やかな朝を迎えたい方にオルニチンは効果的です
健やかな朝を迎えたい方
これは少々難問でした。健やかな朝を迎える、ということは熟睡感を得られる良好な睡眠が取れると読み下しましたが、脳神経系にオルニチンが影響をあたえて睡眠障害を改善した、というような内容の医学論文は見つけることができませんでした。協和発酵バイオのオルニチンサプリの宣伝もしきりに「朝にしゃっきりと目が覚める」場面が漫画で表現されています。小料理屋の女将が気を使ってくれて二日酔い予防にシジミの味噌汁を出してくれて、翌朝二日酔いなしにしゃっきりと目が覚める、という考えもできます。これと疲労回復効果を合わせて、「健やかな朝が迎えらる」という表現になっている可能性が大きいようです。
夜のお付き合いが多い方のオルニチンは効果的です
夜のお付き合いが多い方
これは明らかにお酒を飲む機会が多い人は悪酔防止、二日酔い防止にオルニチンが効果を発揮するという意味ですね。不埒な用事で夜な夜な出かけているオッサンのためにオルニチンが効果的ですとの意味ではないです、多分。万が一夜の帰宅が遅いご主人・彼を待つ女性が不審に思わないように、奥さん・彼女にもオルニチンんを薦めることを協和発酵バイオのオルニチンは初っ端に訴えていますものね。
でもね〜、オルニチンとアルギニンは非常に密接な関係があってアルギニンがEDを改善する、とう話もあって海外ではアルギニン=男の為のサプリ、という捉え方をしているんですぜ、奥さま・彼女たち。昔、若山富三郎(脂ギトギトのテストステロンむんむんのおじさん)が「パワーこそ男の武器だ、アルギンZ❗」て感じのCMをやっていた記憶があります。
この図にでてくる左端の一酸化窒素はNOと化学式では書かれて、まさにED改善薬が効果を発揮するツボなんです。
シジミ300粒のオルニチンを含むサプリですが⋯
サプリとして摂取したオルニチンが消化吸収の過程で他の成分に分解されないで、肝臓に達して尿素回路をサポートして、アルギニンに影響をあえていれば、非常に有効なサプリメントであると考えても差し支えありません。特にオッサン必需のサプリメントになる可能性も期待できます。
でも、あまり声を大にしてい言いたくないのですけど、オルニチンがある程度効果を発揮するためには、1日400mgから1000mg必要と考えられていて、これはシジミ1200個から3000個分に相当するという計算もあります。となると協和発酵バイオのオルニチンは一個250mgのオルニチンを含んでいますので、1日6粒飲むことをサイト中の説明では推奨しています。
さらにシジミよりより多くのオルニチンを含む食べ物がありまして、それはだだ茶豆なんです。
シジミ100gに対してオルニチンは10から15mg含まれている一方で、だだちゃ豆の場合は100g中20〜40mgのオルニチンを含んでいます。となるとシジミとだだちゃ豆をそのまま食べた場合は1000mgのオルニチンを得るためにはシジミは3000個、だだちゃ豆は2.5キロ食べないといけないという50歩100歩の勝負になりますので、「だだちゃ豆500個分のオルニチンを含むサプリメント」なんてものが近々登場するかもしれません。
とにかくオルニチンがサプリ、あるいは食物として消化代謝の過程でオルニチンのまんま、目的の器官に到達することがあったとしたら、オルニチンパワーって感じになるはずなのですが、確実に目標に到着した、って話は寡聞にして知らないのは私の勉強不足のせいでしょうか?